マインドハッキング: あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア

  • 新潮社
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感想 : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105071912

作品紹介・あらすじ

「トランプ大統領誕生」と「ブレグジット」の裏にはこの男がいた! ネット上の行動履歴から利用者の特性を把握し、カスタマイズした情報を流すことで行動に影響を及ぼす「マイクロターゲティング」。フェイスブックから膨大な個人情報を盗みこれを利用したのがケンブリッジ・アナリティカなる組織だ。彼らは何のために国家の分断を煽り、選挙結果を操ったのか。元社員による衝撃の告発。

感想・レビュー・書評

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  • 第八章まで読了。ケンブリッジアナリティカ社がアメリカ大統領選挙に対して行ったことの顛末が記されている。広範で多面的なデータと、データ解析の技術を用いれば民意や風潮といった抽象的なものさえも容易く操れるという部分が恐ろしくも現実的だと思った。居住地や年収などの個人の社会的属性よりも、個人の性格的属性値の方が政治的立場という目的変数に大きな影響をを及ぼしているという点は、データ工学を学ぶ身からしても興味深い知見だと感じた。

  • 登場人物がやけに多いのと、中盤のダラダラした展開がストレスで少々飛ばし読み。

    ただ途中のクリス青年がニックスという良心を持たないモンスターに毒されていく様は、まるでキアヌ・リーブスとアル・パチーノ主演の映画『ディアボロス/悪魔の扉』みたいだな... と思いながら読んでいた。

    今後どれだけ、シリコンバレーの悪魔には取り込まれないぞと思ってみても、AmazonとGoogle からは逃れられないのよねぇ

  • 2016年の英国のEU離脱、トランプ大統領当選の一助となったのは、ケンブリッジ・アナリティカという会社でフェイスブックがそのデータ元となった、程度の知識はあった。
    それでも自分自身はSNSに依存していないし、馬鹿げたフェイクニュースを簡単に信じたりしないという妙な自信で、他人事のように感じていた。
    しかし内部告発者による本書で、心理学者とデータ分析の専門家が先端的なツールを使って人の心をコントロールする様を見ると、その恐ろしさが良く理解できる。自身が無縁なんてとても言えない。今までと異なった時代にいることを改めて理解したい。

  • Netflixで「The social dilemma」・「スノーデン」を観た後に読破。
    テクノロジーも使い方次第だが、国家がその中心にある以上、彼らは是正に努めると口では言いながらもうわべだけ。
    個人ではほぼ無力だが、少しでも自衛に努める他ない。
    Facebookアプリはアンインストール...。

  • 鈴木傾城〈すずき・けいせい〉のブログで「フェイスブックを使うと個人情報がバレバレになる」との記述を読み、私は直ちに撤収した。半年ほどしか使っていなかったこともあり特に不便は感じなかった。少し経ってGoogle+のサービスが終了した。SNS覇権を制したのはフェイスブック、ツイッター、インスタグラムで、フリッカーやタンブラーは出遅れた感がある。
    https://sessendo.blogspot.com/2020/12/blog-post_22.html

  • 10代後半から20代前半でどれほどのことができるだろう?
    鼻ピアスに髪を染めた表紙のこの若者は、若くして車椅子での生活を強いられ、プログラミングにのめり込むと同時に政治にも興味を示し、とりわけオバマ陣営の選挙活動に感化され、母国カナダの政党に加わり党の選挙対策を進めるが、あまりの後進性に絶望し、イギリスに渡る。
    大学に通いながら今度は英国の少数政党に参画するが、党勢衰退を予測して煙たがれ辞める。
    次いで軍事コンサルタントのデータ分析官として働き始めるが、ある画期的手法で膨大な個人データを集めることに成功する。
    それを利用して、ターゲットに個別のメッセージを流布し、世論を操作するビジネスモデルを確立する。
    アメリカの大富豪からの資金援助を受け、全世界で明らかな違法行為に手を染める同社に次第に不信感を強め、昇給を固辞して会社を辞める。
    その後に起こったブレグジットや米大統領選でのトランプ当選に同社が深く関与していることを知り、告発を決意し、ガーディアンやニューヨーク・タイムズなどで不正の実態を話し、アメリカやイギリスの議会の公聴会で証言する。
    フェイスブックからは訴えられ、すべてのアカウント停止措置も受けている。

    ここまで15歳から25歳までの出来事で、すべての内幕を暴露した本書出版時もまだ20代だろう。
    おそらく映画化されるだろうし、本書にも出てくるヒュー・グラントは、本人役で出演することになるはずだ。
    映像化も楽しみだが、本書の価値は単なる原作以上のものがある。
    告発内容も凄いのだが、とにかく全編に渡って入る著者の政治・社会学的分析が的確で、専門家も顔負けだ。
    選挙におけるマイクロターゲッティングの対象者の選定や、文化と過激主義の不思議な相関関係など、当事者の視点とは思えない深みがある。
    騒動が落ち着いたら、カナダのトルドー首相は、台湾のオードリー・タンのように、著者をデジタル担当大臣として登用したらいいのではと思わせるほどの有能さ。

    本書で最も意外で印象に残るシーンは、スティーブ・バノンとの初対面の場面だろう。
    いまのように誰もが知る存在になる前のバノンが、同社のターゲティング責任者である二十歳そこそこの若者に会いに、わざわざイギリスを訪れる。
    目は血走りやさぐれた感じの強面の男が矢継ぎ早にする質問に淀みなく答える著者。
    最初のミーティングから波長が合い、オタクな仲間同士、時を忘れ語り合う。
    「文化を変えたいんだ」とバノンが語れば、「では、どう文化を定義しますか?」と合いの手を入れる著者。
    意外に感じたのはこの部分で、短兵急な狂信者のイメージしかなかったバノンが、根本的な変革を志向していたと知り、恐ろしさはかえって倍増した。

    政治とファッションは根源的な部分で共通しているという指摘も面白い。
    他人との関係のなかで自分自身をどう見ているのかという微妙な構成概念に基づいているため、どちらも周期的に変遷する文化とアイデンティティだと捉えられ、同じ現象を違うやり方で明示しているに過ぎない。
    イスラム過激派にしても、ナチやKKKにしても、イデオロギーより彼らが信奉する美学やファッションを分析するほうが遥かに有益だと断言する。
    文化と過激主義はお互いを補完し合える関係なのだから。

    オバマ選対本部がパイオニアとなり、2008年のアメリカ大統領選挙で展開したマイクロターゲッティングは、大量の有権者データを取り込んで細かくカテゴリー化する機械学習アルゴリズムを使い、どの有権者を説得して、どの有権者を投票所へ向かわせるべきなのか、最適なターゲットを予測する。
    ターゲット対象は、「支持者でありながら必ずしも投票しない有権者」と「投票するが支持者ではない有権者」で、「投票所に行かない有権者」や「支持者になりそうもない有権者」はもとより、「支持者で投票もする有権者」でさえ対象から外される。

    ケンブリッジ・アナリティカ(CA)は上記を改変し、「投票所に行かず支持者になりそうもない有権者」も対象者に変えた。
    ターゲットとして最もふさわしいのは、神経症型か自己陶酔型の人間で、ストレスをもたらすナラティブに対して弱く、衝動的怒りや陰謀論に傾きやすい集団と定義する。
    CAは彼らに対して、フェイスブック上の広告や記事経由でナラティブを流し、感情に火をつける。
    フェイスブック上にフェイクページを作り、怒りに火をつけるようなビデオや記事を大量に見せるのだ。

    ただでさえ、ソーシャルメディアの登場で、アメリカ中央部の保守的な白人男性は、田舎者と揶揄され、さらし者にされやすくなっている。
    CAはそれを逆手に取って、「普通のアメリカ人」がからかわれるコンテンツを多用した。
    フォックス・ニュースの視聴者はトランプへの批判を見て、「トランプへの攻撃」ではなく「自分たちのアイデンティーへの攻撃」として内在化したが、この背景には、ポリティカル・コレクトネス=アイデンティティーへの脅威という認識がある。
    そのため、トランプ批判が起きれば起きるほど、ますます視聴者は意固地になった。

    選挙活動は、伝染病に対する公衆衛生対策と同じだ。
    1 個別にカスタマイズしたメッセージに感染しやすいグルーブを見つける。
    例えば、フォックスニュースを見て怒りを溜め込んでいる視聴者などがそれに当たる。
    2 伝染性ナラティブに影響されやすい特性を明らかにする。
    例えば、「医療保険コストが高くて生活が苦しい」など。
    3 ワクチンとして対抗ナラティブを流布させる。
    例えば、「悪いのは不法就労者やオバマケアだ」など。

    ターゲットされた人々は、自分の問題を外在化して、厳しい現実 - 例えば雇用主が社員の福利厚生に無関心であること - から目をそらし、不法就労者やオバマケアへの敵意を募らせていく。
    もともとは左派である民主党側で生まれた手法が、右派の共和党陣営で扇情的な世論操作として形を変えたのだが、特定の有権者に対して特定のメッセージを直接届けるマイクロターゲッティングは、政治的メッセージを世の中に向かって広く発信するのではなく、プライベート空間に閉じ込める格好になる懸念があるため、公共性はどんどん失われていく。

    膨大なデータを使ってコンテンツを作り、ターゲットに向けて流布し、スケールアップして世論を操作するという手法は、必然的にターゲット集団の心理プロファイルへのアクセスが必要となるが、フェイスブック経由で必要なユーザー情報をいくらでも入手できることが判明する。
    同社のユーザーのプライバシーに関する管理体制が緩いことを利用して、たったの100万ドルで、何千万にも上る個人データを入手できたのだ。
    これからは、アンケートや電話による質問は必要ない。

    リアルタイムで自動生成する個人データを活用し、その中から特定のパターンを識別するアルゴリズムを書くだけだ。
    さらにその他のデータとして、国勢調査データ、住宅ローンの申請データ、航空会社のマイレージ情報、健康状態、銃の所持なども加味すれば、家族や友人でさえ伺いしれず、ひょっとすると本人でさえわからない全情報が、クリックひとつで呼び出せるようになる。
    ただ、アメリカでは利用可能なデータセットが海外では乏しいか利用できない問題があること、フェイスブックの穴が塞がれた今、今後も同様の手法が可能なのかさらに知りたいところ。

  • 東2法経図・6F開架:314.8A/W98m//K

  • 最近、世界中の指導者がフェイクニュースって言ってるけど、そのニュースがフェイクなのか、指導者がフェイク七日すらわからなくなってきた。


  • 最近友人にすすめられてNetflix のthe social dilemma というドキュメンタリーを見て、ソーシャルメディアによる選挙操作や政治的暴走に興味が湧いてきたところ、話題の一冊の邦訳が最近出ていたので早速読んでみた。

    本書は、Cambridge Analiticaという会社で主にFacebook のデータを使って、さまざまな選挙活動操作を行なっていた、若きエンジニアの内部告発本。

    Facebookのデータ、そして銀行口座やマイレージなど、その他のルートで入手したデータ、心理学的性格判断を組み合わせることで、高度にその人の思考、嗜好を予測できるようになる。そして、どのようなフェイクニュースを見れせば、クライアントが望むような行動に扇動できるのか、を研究して、実際にフェイクニュースなどをターゲットのアカウントに集中的に流して、選挙などの投票活動を操る。

    アフリカやカリブ海の小国、アメリカの州内選挙などで実験を繰り返して、要点を掴み、例えばイギリスのEU離脱選挙や2016年のアメリカの大統領選挙などでも行なっていたという。

    具体的には、各政党の固定支持層ではなく、これまで選挙に行かなかったような層を、ターゲットにする。特にアメリカでは白人男性のインセル(involuntarily celibate: 不本意の独身者, 恋愛や結婚などを望んでいるにもかかわらず、貧困などでそれができず、不本意ながら現実に甘んじている人たち)をターゲットに定める。特にソーシャルネットワークでは、怒りの感情が伝達しやすく、そのような層に集中的にフェイクニュースや陰謀論を流しつづけ、さらには実際にイベントなどを企画して確信を強めさせ、票を操作する。

    実際にアメリカの大統領選ではロシアの関与が疑われるなど、このような情報戦ではさまざな勢力の介入が可能なのだとか。

    Facebook は今やInstagram もWhatsApp
    も買収して破竹の勢いでデータを入手しつつあり、いくらでも悪用できてしまう。個々人のネットリテラシーとともに、グローバルなゆえに責任の追及するところが定め難い問題に対してどれだけ規制ができるのかがこれからの課題かも。


  • いま問題になっている軍事心理作戦(PSYOPS)についての本です。
    フェイスブックのデータを武器として、利用者がプロパガンダにさらされている様子が語られています。
    筆者は、この作戦を行った民間コンサルティング会社の元社員。
    24歳の若者が懺悔を込めて綴る内容には、なんとも言えない迫力があります。
    人々を守るために作られた仕組みが、ブローバックして、人の繋がりを引き裂いていく。
    もちろん、日本も他人事ではないでしょう。

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