ホテル・ニューハンプシャー 下 (新潮・現代世界の文学)

  • 新潮社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105191023

作品紹介・あらすじ

家族でホテルを経営したいという、風変わりでかつ魅惑的な夢に憑かれた父親、優しい母親と個性あふれる五人の子供たち、老いぼれ犬と二頭の利口な熊、そして三つの"ホテル・ニューハンプシャー"をめぐる、これは美しくも哀しい、愛と死と暴力とセックスのおとぎ話である…。袋小路の現代文学に、ベストセラー『ガープの世界』で殴り込みをかけ、物語を読む原初的な快楽をみごとに甦らせた、「今いちばん刺激的な作家」ジョン・アーヴィングが渾身の力をこめて放つ、'80年代文学の最高峰。

感想・レビュー・書評

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  • あぁ、面白かった。
    何からどのように感想を書いてよいのか頭の中がまとまらないのだが、とにかく面白かった。

    俯瞰して見れば、数少ない決まり文句のリフレインに過ぎず、物語の結び、「そのように僕たちは夢を見続ける。・・・」で始まる最終段落に全てが詰め込まれている。
    だがその物語の種を、リーダビリティを失わず、この分量まで広げ、一家族の歴史絵巻の中に周到に組み込み一級のエンターテイメント作品に仕上げていることに感動。

    ”エンターテイメント”と書いてしまったが、本作品、くくりとしては”文学”。
    タイトルの上には「新潮・現代世界の文学」とある。
    ”文学”という言葉からはちょっと小難しい印象を受けるが、本作は全くもって読み易い。
    そのことについてアーヴィング自身も、「よみやすい小説は芸術性がないと思われがちだが、・・・むしろ芸術は娯楽であるべきだ」との持論があることが、あとがきで触れられている。

    自分としても大変共感できることで、受け取り切れない芸術性を見せつけられても、背を向けざるをえないが、こう分かり易く差し出してくれると、そこで伝えたいことは何なのか汲み取ろうと考えたくなる。

    また、この持論に関するあとがきを先に読んでいたので、物語中、リリーが「強引で不自然で超難解なもののほうが、率直で、流暢で、わかりやすいものよりいいと思っているなんて」と叫ぶシーンが出てきたときには、その呼応に著者の熱い想いを感じ取った。

    人によってはフラニーへのレイプや、近親相姦とその乗り越え方について物語への必要性含め、描写に疑問を感じるかもしれない。
    ただ、そうしたとにかく次々に降りかかる災難を振り払い「開いた窓の前に立ち止まらず」「そのように僕たちは漕ぎ進む」ことが”人生”、というのが自分が受け取ったメッセージである。

    それにしても素晴らしい結び。
    物語中、『グレート・ギャツビー』の結びを褒め称えるシーンが多数あるが、絶対ひけをとらない美しさがあると思う。
    といいつつ『グレート・ギャツビー』実は未読なので今度また読んでみたいと思う。
    あぁ、また読みたい本が増えてしまった。。

  • 面白かった。
    長編なのに、最初から最後まで全く飽きさせず読ませる。
    家族の間で、ジョークのように合言葉のように繰り返される言葉は、未来を示唆している。
    ……するな、という忠告は、誰かがそれをやってしまう未来を含んでいる。
    フラニー、素敵だな。
    スージーも。
    この作家は男性だけど、素敵な女性を書ける人だ。
    お母さんも、リリーも素敵だった。
    久々に、面白くて止まらない本を読んだ。

  • 2015/02/13 読了

  • 人生はおとぎ話。ただい、怖いことも危ないこともあるけどね。

    John Irving好きを決定的にした本。
    これも大事な本なので、きちんとしたレビューは改めて。

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