トマス・ピンチョン 全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection)

制作 : Thomas Pynchon  佐藤 良明 
  • 新潮社
4.10
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本棚登録 : 280
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (751ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105372125

作品紹介・あらすじ

世界文学史上に空前の伝説を刻んだ33万語、100万字超の巨篇――新訳成る! 耳をつんざく叫びとともに、V2ロケット爆弾が空を切り裂き飛んでくる。ロンドン、一九四四年。情報局から調査の命を受けたスロースロップ中尉は――。 ピューリッツァー賞が「卑猥」「通読不能」と審査を拒否した超危険作にして、今なお現代文学の最先端に屹立する金字塔がついに新訳。詳細な註と膝を打つ解説、索引を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 今年のGWは怪獣退治と洒落込もうかとこの超大作を手に取ったが、もう読んでて脳が沸騰するかと思った(特に第一部)。スロースロップ中尉が勃起した場所には必ずV2ミサイルが降ってくる―そんな精子と生死の駄洒落具合は相変わらずのピンチョン節だが、舞台がWW2前後のヨーロッパというのもあってか、他作品には見られなかった重圧な比喩、科学とオカルトと多数の組織がハイパーリンク的に絡まり合うその世界観にはとにかく圧倒させられる。それでも熱に浮かれたように読み進められてしまうのは、本作の引力に魅入られたが故か。いざ下巻へ。

  • 図書館で取り寄せてもらったら予想の五倍くらい体積があるブツが出てきてのけぞった

  • 【選書者コメント】新訳なら理解が出来るんじゃないかと期待大
    [請求記号]9300:1758:上

  • ヤバイ小説を読み始めてしまった、難解ってよりはヤバイという形容のほうが合う。
    >「ブーブーブー」楽しげにスロースロップが鳴く。
    というサイコーな文に出会った。
    下巻へ。

  • こちらも原文と読み照らしながら

  • 久々に読み応えのある本だった。隙間時間を使って読み進めたが、いい暇つぶしになった。

  • 20世紀アメリカ文学を代表する覆面作家、トマス・ピンチョンの作品の中でも最大級のボリュームを持つ本書の上巻をようやく読破。

    1944年、ドイツ軍によるV2ロケットの恐怖に覆われるロンドン、その調査にあたるイギリス軍人スロースロップを主人公に、科学技術、ポルノ、性的倒錯、歴史、オカルト、心理学・・・ありとあらゆる衒学が詰め込まれた物語は、恐らく読者の正しい作品理解というものが幻想であるという事実を読者に否応なく突きつける。

    ピンチョンは同じ佐藤良明翻訳による「ヴァインランド」を面白おかしく読めたので、本書も同じようなノリで読み始めたが、読んでも読んでも一向に理解できた気がしない。にも拘わらず、ページを繰る手は止まらず、「これは正しい読み方なのか?それとも誤読か?」という猜疑心の中で、自分なりの物語が生成され、その物語に沿って文章を解釈していく他ないという不安に満ちた読書体験を与えてくれる。

    上巻751ページの冒険を終えて、いざ下巻699ページへ突入。

  • 頭から50ページくらい読んでみて断念。
    読み続けられない・・・・

    書店での平積み。帯に惹かれて読んでみましたが、「ナニコレ?」って感じ。

    これを読了できて、評価できる人ってスゴイな。

    そんな作品でした。

  • 下巻へ

  • 決して読みやすくはない。それに長いし。旧訳にあった日本語として明らかにおかしい部分は直っているように思うものの、新訳だからといって特に読みやすくはなっていない。もともと原文を知らないので、訳について言及するのは避けておくが、欄外の註については一言ふれておく必要があるだろう。OSS等の略語や化学・工学に関する学術用語、映画や音楽の引用、言葉遊び、宗教学・神話学・隠秘学関連の知識等々が頻出するピンチョン・ワールドに少しでも近づきたいと思う読者には実に懇切丁寧な解説がなされている。

    『重力の虹』とは、ロケットの軌道が描く放物線の隠喩である。第二次世界大戦末期、英国に対する報復兵器としてナチス・ドイツが開発したV2号ロケットにまつわる国際的な陰謀を、想像を絶するスケールで描いた小説。場面が切り替わるごとに、とんでもない数の人物が登場しては、某議員なら「口にするのも汚らわしい」と口にするだろうSMをはじめスカトロジー、ペドフィリアなど異常性愛の百科全書完成を企図したかのような、ポルノ・グラフィーまがいの卑猥かつ下品な語句が機関銃のように連射される文章に交じって、ロケットやプラスティック開発に関する解説抜きの専門用語がぽんぽん出てくる小説で、万人向けとはとても言い難い代物。

    作者自身が持つパラノイア的といえる被害妄想や誇大妄想が、抑圧からの解放を待っていたかのように爆発的に展開しているのが最大の特徴といえる。ふつうなら、これだけ多様な挿話をひとつの小説内に封じこめるのは無理と考えて、いくつかに分けて別の小説にするものを、無理矢理、力ずくで一つの作品にしてしまった。旧訳についで新訳、と二度読んだが、正直なところ読み通すのが、つらかった。波に乗り、集中力が持続するときは、ドライブ感がある文章に乗せられて、ドーパミンが出まくり、とんでもなく面白いのだが、一つ躓くともういけない。卑語、俗語の多用に辟易してしまい、読み続けるのが苦行と化す。読むのにある種の体力を要する小説である。

    極めて映画的な小説でもある。映画に詳しい読者なら、作者が設定したキャスティングに従って脳内で映画化を試みるといいかもしれない。アメリカ人のグループが登場すると西部劇やらハリウッド映画が、ドイツ人たちにはウーファ映画からフリッツ・ラングやムルナウの作品、と有名な映像から男優、女優が多数招聘され、小説に華を添えている。

    作品の主題や作家の世界観を真面目に論じるのも気が引けるような破天荒な小説なのだが、馬鹿を承知で無理矢理こじつけてみるなら、「この<戦争>は、政治とは無関係。政治は完全にお芝居、民衆の注意をそちらに向けておいておく(ママ)ためのものであり…その陰でテクノロジーの要請こそが、専横的な力を揮い、事態を動かしていた…人間と技術とが一体となって、戦争というエネルギー・バーストを必要とする何者かに変化したのだ。表向きは「カネがどうした、わが国(どの国も挿入可能)の生存がかかっているのだぞ」と喚めきたてているものの、その意味は、おそらくこうだ」のようなところに見え隠れしているのではないか。

    ピンチョンに、アナーキストに寄せる偏愛があるのはよく知っているが、後にはストレートに示されるその傾向がネガティヴな形で噴出しているのが『重力の虹』ではないだろうか。誰にも愛される主人公があちこち引きずりまわされ、道化めいた扱いをされ続けた挙句ぼろぼろになってしまうあたりに、救い難い世界に対する苦味が強く感じられ、せっかくのヒューモアも打ち消されてしまっているように感じられてならない。「全小説」と銘打たれたシリーズが刊行され、次々とピンチョンの小説が訳される中、ようやく代表作の新訳が完成したことはまことにめでたい。訳者曰く「三度読めば分かる」そうだ。ファンなら、読むしかないだろう。(下巻も含む)

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