農業は人類の原罪である (シリーズ進化論の現在)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (95ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105423032

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  • 「農業は人類の原罪である」Colin Tudge

    人類が何らかの形で火を利用するようになったのは少なくとも50万年前。

    火は調理だけでなく、獲物の管理に利用されていた。

    農業人口が多くなればそれだけ人口も増加し、益々農業の必要性に迫られる。さらに、労力をかければそれだけの見返りがあるのでこれらの過程はさらに加速される。

    農業をする人々が労力を惜しまないのは、狩猟採集に比して楽だからではなく、成功と引き換えに犠牲を強いられているだけ。

    家畜化された動物は野生のままでいる近縁種と比べ、個体数が遥かに多い。

  • 著者は農業を園芸、耕作、牧畜の3つに分類し、食べられる植物を保護するレベルの園芸農業は、技術の進歩がみられる4万年前から始まったと推測している。

    ネアンデルタール人を絶滅に追い込んだのも、ホモサピエンスが農業を営んでいたからと著者は考える。農業によって野生動物が失われていったからだ。

    同じ面積の土地から得られるエネルギーやタンパク質の量は、牧畜の場合よりも小麦を栽培する方が少なくとも10倍になる。

    イギリスの混合農業は、18世紀くらいにさかのぼり、土地がフェンスや壁や生け垣で囲まれることで真価が発揮された。戦後、トラクターなどの近代技術によって1955年頃に花開いた。休耕地で作られた秋カブはヒツジの餌に、穀物のくずをニワトリに、ミルクをバターにした残りの乳清はブタに与えられていた。

  • 進化論が解き明かす盲目的人類が選んできた落とし穴
    これは狩猟採集という楽園を追われた
    アダムとイブに例えられた話しでもある

    螺旋的な悪循環でしかない農業という重労働による
    余剰生産物と人口増加が限りなく続く奴隷的農耕と牧畜に
    何故取り憑かれてしまったのか?!
    という我欲の問題を掘り下げて
    未来の人間が歩むべき道をも示す

    最もそれには勇気を出して依存環境から
    抜け出さなかればならないし
    視野を広くして意識を高めて
    自分自身の本音を見つけ出さなかればならない

  • 表題に惹かれて読み始めた。農業がいつから始まったのか?農業のもたらした功罪とは何か?を、独特のタッチで描いている。人類らしきモノが登場したのが、200万年前。今とほとんど変わらない人類は、10万年前にアフリカに登場した。定説では、農業が始まったのは、約1万年前である。著者は、農業は、それより前の4万年前から始まったという。狩猟を主とした人類から農耕をすることによって、より安定した生活ができ、人類が繁殖することができ、私は、良いことだと思っていたが、著者は、耕作することにより環境を破壊し、野生動物をほろぼし、食糧供給されることによって、人口が増大し、結果として病気などが蔓延することになった。農業技術を獲得したクロマニヨン人が、ネアンデルタール人を滅ぼす結果になった。アダムとイブが、ペルシャ湾の楽園にあったことなどの考察が、おもしろい。著者は農業は、人口を増やすが、そのことでさらに農業をしなくてはならないという悪循環に陥った。それをつづけることはいいのか?と問いかけている。この本の訳者(竹内久美子)は、そのことより『農業は人類の原罪である』と表題をつけた。しかし、農業の進展により1万年前は世界の人口が800万人ほどで、紀元前後は1億人から3億人、西暦2000年には60億人に達している。農業の進展は、環境を破壊し、生物の多様性を失わせていくことは確かである。

  • 実は農業はこれまでの常識よりも以前から始められていた。
    始めは狩猟と採集の片手間の仕事であったが、それは確実に人口が増えるきっかけとなり、
    やがて増えすぎた人口を支えるため本格的に農業を始めざるを得なくなった。
    これが作者の論理。
    一理あると思える箇所もないではないが、飽くまで読み物。
    「なかなか面白い考えだ」くらいに軽く読むのが調度いいでしょう。

  • 農業そのものが「原罪」であるという一冊。農業によって環境が破壊された点を指摘。考えさせる本だが鵜呑みにするのも問題がある。

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