- Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105900250
感想・レビュー・書評
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恋愛をして、結婚をする。
ふたりの間に子供が生れ、
家族の時間はゆるやかに流れていく。
夫婦という関係は、不思議だ。
長く暮らしていると相手のことを知っていると思う。
だが本当に、いつも目の前にいる相手を知っているのだろうか?
キャスリンとジャックは結婚し、ひとり娘がいた。
キャスリンは教師でジャックはパイロット。国際線を飛んでいる。
夫婦仲はよく、夫は勤勉で優秀なパイロットだった。
ある夜、ひとりの男がたずねて来て、夫の飛行機が墜落したという。
パイロットの妻として、そういう事故に遭遇することが皆無であると思っていたわけではない。
しかし、現実にそうだと聞かされると動揺する。
自分は夫を亡くし、娘は父親を亡くしたのだから。
事故の原因が解明されていくうち、夫が飛行機を爆破させたという真実が明らかになっていく。
なぜ? どうして?
理由を妻が調べるうちに、妻の知らない夫のもうひとつの顔を知ることになる。
この物語は結婚をして平穩な生活を送っている妻なら、そのストーリーに少なからず動揺してしまうだろう。
信じるということ、
ゆるやかに積み重ねてきた夫婦という時間と時に弛むことがあったとしても、切れることはないと信じている絆、そして、愛とは?夫婦とは?
全米でベストセラーになった小説。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【Entertainment】パイロットの妻/アニータ シュリーヴ/20141112(83/257)<R>
◆きっかけ
・先日、ペンギンの憂鬱を読了後、アマゾンの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」にあった本をチェック。
◆感想
・機長である夫が操縦する旅客機が墜落した旨を同航空会社の担当者が深夜に妻キャサリンに知らせるシーンから物語は始まる。生活を共にしてすべてを知っていたはずの夫。だが、たった一枚の不可解なメモから、夫という人間が次第に明らかになっていく。
・前半1/3は航空機事故によって夫が死ぬ、自殺説が取り上げられ、マスコミから蜂の巣にされる、多感な年ごろの娘と悲観にくれるが、実母と3人で乗り越えていく・・・重いが想定できる内容だが、夫という人間の秘密が次々に明かされるにつれ、その話に引き込まれて本を手放せなくなった。
★何年も共に暮らした人の事も、完全には知らない、知ることは不可能、という人間の悲しさや孤独を描き出している。それは仕方のないことと割り切れるか、頭で分かっていても分かりあいたいと思うのが人間の常なのか。
・悲劇にのみこまれない妻は強い。
・人間の絆の崩壊とそこからの再生。
◆引用
・愛に浸っているときは、相手のことを良く分かっている気がするが、しばらくたつと最初に思ったほどによく知らないことに気付く、そして自分のことを良く理解してもらえていなかったことにも気付く。最初の愛の陶酔も次第に色あせてくるのは避けられない。その一歩先を進むのは、自分を高めようと努力している限りは、いつの日か二人で子供を育てられるようにするための知恵。
・ある人物の行動の動機について、一刀両断に分析できる人間などいるのだろうか?
・いったい何が掛け値のない事実だったのだろうか?
・変化は過去のすべての価値を奪ってしまったのだろうか?
・何か災難があると、根本から変わって、それから適応していく。 -
あまり読まない種類の物語。
でも、夢中で読んだ。
この訳者さん、サラの鍵とおんなじだと途中で気づきました。
違和感のない日本語使いで、すごーく読みやすい。
クレストブック、これから読んで行きたいな。 -
早朝の訪問者により伝えられた突然の悲報。夫の操縦する飛行機の謎の墜落。そしてマスコミにより信じられない原因が報道され、キャスリンは2重の苦しみを味わう。そして夫の遺したメモから更に驚くべき真相が・・・。米テロ事件などで身近に起こっている墜落事故の陰でパイロットの妻たちの地味な苦しみが描かれます。数年前に日本のハイジャック事件でパイロットが殺害され、その自宅にマスコミが押しかけ、未だ何も聞いていない奥さんがTVに出てしまったことがありましたが、正に時を得た本でした。ヒロインが夫の秘密を知っていく過程で15歳の娘の知らない面も合わせて知っていく。そして娘に「知っているといってどこまで知っていると言えるの?」と言わせる場面は家族でさえよく知らない面がありうるという人間の孤独を思い知らせる深い小説でもありました。
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結婚して15年以上になる夫と主人公は静かな愛を育み、娘と3人でごく普通の生活を過ごしていた…。あの夜、ひとりの男が夫の操縦する飛行機の事故を伝えに来るまでは。
夫が突然いなくなり、少しずつ彼がまとっていた嘘がはがれてくる。足元に当然あると思っていた大地が崩れ落ちていくような恐怖と孤独、うずまく感情の嵐を読者はともに体験する。読んでいてなんともつらい、けれどどうしてもひきこまれずにはいられない力のある物語だった。 -
2002年4月9日読了。以下、過去の日記から抜粋。
これまたN尾女史から薦めていただいた1冊。
パイロットである夫が事故死してしまった妻が、
一緒にいる間は分からなかった夫の秘密を知ってしまう。
次々に明かされる真実に叩きのめされながらも、
必死で立ち直ろうとする(立ち直っていく)女性の物語である。
こう書いてしまうと単純(しかもありがちな秘密ではある)でも、
構成が上手いから、どんどん引き摺りこまれる。
いつの間にか展開が加速していて、気が付いたらやめられなかった。
確かにずっと一緒にいると全て知ったつもりになってしまうけれど、
実際のところ自分が知っている相手なんて氷山の一角でしかない。
何を思い、何を考え、何を抱えて生きているのかなんて分からない。
淋しいけれど、その事実を見て見ぬフリで生きているのだろうなぁ。
無意識に。
でも、自分が死んでからボロボロ秘密が発覚するのも恐ろしい話である。
ソレを思うと、当分死ねないなぁと思う(苦笑) -
亡くして初めて知る夫の秘密。
結婚とは・・・。夫婦とは・・・。現実にあり得そうなのが余計に怖い。
現在と過去を交互に織り交ぜながら明らかになっていく真相も
なかなかサスペンスに満ちていて楽しめた。 -
この落ちは、この設定なら当然だろうという感じが読んでいてしたので、
その書評とかに書いてある「知らざるべき謎」的なのには首を傾げます。
でも、誰かは誰かの全てを知っているのかというといは深いからつまり恐い。
感動して涙が出そうになったのは、
キャスリンがジャックが死ぬ瞬間「マティ」の名前を呼んだのだと
確信するところ。じわっと来ました。
キャスリンとマティにはなんとしても幸せになってもらいたいです。なれるだけでいいので。 -
2007年7月13日(金)、読了。