- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105900304
感想・レビュー・書評
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非常に思い入れのある一冊。
新刊時に「これは!」と惚れこみ、決して安くはないし日本では無名の作家だし話題にもなってなかったけど、平台に積み続けて百冊近く売り伸ばした。
「これ売れてるんですよ!」と新潮社の営業に言ったら
「へー、誰が買ってるんですかね、こんな本」と鼻で笑ってスルーされた。
さすが『白い犬とワルツを』がベストセラーになったときに「いい本は放っておいても売れる」とほざいた出版社だけのことはある。
昔から営業は三流だけど編集と装丁は一流なのだ。
幸せな一家を襲った目に見えない魔物。
その正体がなかなか明かされないので、もどかしさと不安感が募る。
優しい母親に何が起こったのか。幼い娘の視点から、絶望に向かう物語が語られていく。
最後まで読ませる強力なリーダビリティと、読後に心に残る衝撃。
読者に一生モノの傷を残す、隠れた名作。
そしてもちろん新潮社が何もしないで放っておいたから絶版ですよ。
めでたしめでたし。 -
治療法も確立していない新しい病気に翻弄される、一家の物語。
子供にとって、母親はいつも愛しい存在だと認識させられる本。
話自体は、決して明るくはない。
けれど、心に残る本。 -
見事に記念碑的な私小説(?)。オランダ文学界にレナーテ・ドレスタインあり。これから幾度も読み返すことになると思う。素晴らしい小説でした。