その名にちなんで (新潮クレスト・ブックス)

制作 : 小川 高義 
  • 新潮社
3.93
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本棚登録 : 479
レビュー : 72
  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900403

作品紹介・あらすじ

若き日の父が、辛くも死を免れたとき手にしていた本にちなんで、「ゴーゴリ」と名づけられた少年。言葉にしがたい思いがこめられたその名を、やがて彼は恥じるようになる。生家を離れ、名門大学に進学したのを機に、ついに改名。新しい名を得た彼は、いくつもの恋愛を重ねながら、自分の居場所を見出してゆく。だが晴れて自由を満喫しながらも、ふいに痛みと哀しみが胸を刺す。そして訪れる、突然の転機…。名手ラヒリが精緻に描く人生の機微。深く軽やかな傑作長篇。

感想・レビュー・書評

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  • ジュンパ・ラヒリ 著
    小川高義 訳
    「その名にちなんで」という映画は もう、かなり前に観た映画で…良かったって思ってた気がするのに あまりに以前で 内容が朧げで忘れていましたが、ブグログのhotaruさんの感想を観て とても原作に興味が湧き 俄然読みたくなり
    やっと 読破致しました。古かったのか文庫は絶版になっており 探しまわり 何とか単行本を見つけ いざ
    日本にずっと暮らしている私には 何だか遠い世界の事のようにカルカッタとNY 二都を舞台に父母と子の二世代に渡る ルーツを淡々と素直に書き連ねてる 本当は難しい局面もあるだろうに 本当に淡々と語られるわりに怒りが殆ど見えなく 何故かスラスラ読んでいってしまえる本だった。
    移民の家族に切実であるだけでなく二世代という難しさ
    “ABCD”(American-born confused deshi )「アメリカ生まれで、わけがわからなくなってきているインド系の人間」という用語を聞くとそれなら自分の事だと思う ゴーゴリの気持ちが とても よく分かった気分になった
    インドとアメリカ どちらを向いて生きるという選択 どちらも 選べない 選択 立場は違えど 人は環境において やはり違うし、同じ人間として生きてゆくことは出来ないし、我慢したり 頑なになったり 何処かで線を引いたり でもきっと そんな思いにつまずき、考えてしまうことってあるなぁと感じた。他の事も 随分思い出すというか考えさせられた本だったと思う。子供の頃は嫌だった事が大人になって思い出したら懐かしかったり 子供だから平気でいられた事が大人になったら 困難になってたり…
    随分 原作読むのも遅くなりましたが 映画もいいけど、本を通じて 自分の心の声に耳を傾けずっしりきますね
    読んで 良かったです。

    • hotaruさん
      hiromidaさん、こんにちは。
      読まれたのですね!
      当然ながら映画とは違う部分もありますが、どちらもいい作品ですよね。
      でも、これだけ...
      hiromidaさん、こんにちは。
      読まれたのですね!
      当然ながら映画とは違う部分もありますが、どちらもいい作品ですよね。
      でも、これだけ色々と内容と詰まった原作を、翻案して優れた映画にしたことは、やはりすごいことだと思いますよね^_^
      2018/05/25
    • hiromida2さん
      hotaruさん ありがとうございます!感想を見せて頂き 本も読めて良かったです 映画も素晴らしかったけど、映画だけでは表せない世界観もあり...
      hotaruさん ありがとうございます!感想を見せて頂き 本も読めて良かったです 映画も素晴らしかったけど、映画だけでは表せない世界観もありますものね。本当に著者のジュンパ.ラヒリも翻訳した方もすごいですよね。
      2018/05/26
  • 前作 「停電の夜に」はとても読後感の良い短編集であった。その語この中編が出版されたのは知っていたが、「停電の夜に」が素晴らしすぎたので、「楽しみはあとで」の原則にのっとり、なるべくと読まないようにしていた。
    ところが、最近ベンガル人と仕事の話をするようになった。ベンガル人と言えば思いつくのはタゴールとラヒリ。再びラヒリを読みたい気持ちを抑えられなかった。
    実によい小説である。人には居場所と言うものがある。多くの場合、家庭と仕事場、家庭と学校など。特に人生を生きていくうえで、進学や転職など、自分の環境が大きく変わると、環境になじめないことがある。その自分と環境の接点はヒトガタの抜き型のようなものに例えられないであろうか。
    ラヒリは抜き型と自分の姿が合わないということを名前で上手に表現した。主人公は親のつけた名前がいやでいやでしょうがない。そうは言っても人生は続く。ようやく名前をかえてみたら今度はその改名したなまえがしっくりしない。

    複数人の視点で、ベンガル人のニューヨークでの生活が語られるが、日本の私たちの生活となんて共通点が多いのだろう。そしてラヒリはなんて上手に人生を描くのだろう。
    文章の見事さに、筋立ての巧みさに、小道具の活かし方に感心した。そして最後は感動。
    よかったら皆さんもぜひ。

  • 短編集『停電の夜に』、中編に近い作を含む『見知らぬ場所』と読んできて、この長編に至りました。
    すばらしい。
    忘れがたい物語を読むことができて幸せです。
    訳がまた、いつもながら見事にたまらなくジュンパ・ラヒリのイメージを作りあげていて、ため息が出ます。
    主人公は父につけられたゴーゴリという名を嫌いついには改名しながらも生涯にわたり呪縛されるわけですが、「どうしてもっと早く話してくれなかったんだ」。
    2世としてアメリカに育ちインドを遠く感じながらもやはりアイデンティティの揺らぎを意識し続ける…といったことよりは、その名のほうがよほど彼のアイデンティティに危機を与える。
    生まれ育ったアメリカの文化があまりにも自然に身についており、出自についてはばしば外界から突きつけられるものだから、ということもある。

    映画化されており、そちらでは映像の力強さと母親アシマの存在感が評価されてもいるようす。ぜひ観てみたい。

    父にロシア作家の名を与えられたといえば、四方田犬彦もそうですね。
    (ゴーリキーを崇拝するお父様が剛己と名づけ、本名のローマ字表記では好んで「Gorki Yomota」と自署する…とWikipediaにも記載があります。)

  • 新潮クレストブックスの、質感やデザイン、フォントが大好きです。「本を読んでいる」という喜びを実感できる。映画もよかったけどやはり、原作の深みは伝わらない。アメリカに住んでもインドのしきたりを守る母、料理やセレモニーのシーンはとても興味深い。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「原作の深みは伝わらない。」
      ジワジワ沁みてくる読書と、一度に色々な情報が入ってくる映画の差は埋まらないねぇ。。。
      早く「低地」を読まな...
      「原作の深みは伝わらない。」
      ジワジワ沁みてくる読書と、一度に色々な情報が入ってくる映画の差は埋まらないねぇ。。。
      早く「低地」を読まなきゃ!
      2014/11/06
  • 長編小説。

    全然、珍しい話とか、突飛な発想とか、
    そういうものはない。
    そういうものはない話なのに、
    名前って不思議だなぁ、と深く思った。

    結局私たちは原点から離れられないのかも。
    あだ名があっても、改名できても。
    最初に呼ばれた名前にするりと戻っていく。
    そういうものなのかなぁ。

    うん。面白かったです。

  • 海外文学はあまり読まないけれど、ジュンパラヒリの本はすっとはいってくる。生活の描写がとても細やかだ。

    わたしは父親の転勤先で3歳から20歳まで育った。母は故郷の大阪に帰りたがっていて「わたしたちは根無し草だから」という言葉をよく言っていた。けれども私の根はその土地に根付いていたようで、そこに「行く」ではなく「帰る」感覚がある。

    人には原点という位置があって、原点から離れることで楽しいこと、わずらわしさから逃れられることもあるが、原点を意識せずにいられないように思った。両親のつけた名前であり、生まれた土地であり。

  • インドからアメリカに移住したインテリ層の一風景。インド風でもアメリカ風でもない名を付けられた主人公とその家族のアイデンティティがテーマになっているが、家制度のインドで育った親世代と、自由な男女関係のアメリカで育った子世代の対比などは紋切り型に感じた。ただ全体に散りばめられた日常の細やかな描写は印象に残った。

  • 誰かに勧めたくなる作品。ゆったりと、そして、きめ細かな描写で輪の中に溶け込めない姿が描かれる。同調できる部分と、違和感を感じる部分の微妙なバランスが読んでいて心地よく、すらすらと読むことができた。

  • 4-10-590040-4  350p 2004・9・5 3刷

  • JBCB

    ニキル「すべてを包み込む、まったき者」
    アショケ「悲しみを乗り越える」

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