ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)

制作 : 沼野 恭子 
  • 新潮社
3.72
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本棚登録 : 1343
レビュー : 185
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900410

感想・レビュー・書評

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  • とにかく愛おしくてたまらない。キュートな表紙と鬱病気質で狭心症なコウテイペンギン、ミーシャの存在だけでもうノックアウト。飼い主である売れない小説家・ヴィクトルは疑似家族の中でなんとか愛情や幸福を見い出そうとするが、それは薄い膜がかかっているように不透明で掴み取れない。「この人生、なんだかしっくりこない」と言う通り、生きるのが上手じゃないし、愛することにも向いてないんだと思う。わかる。ソ連解体後の不安定な政情に揺れるウクライナは暗い影を次第に広げていくけど、煙に包まれたようなこんな終わらせ方も悪くない。

  • 売れない作家ヴィクトルとペンギンのミーシャとの不可思議ながらも身近に感じられる物語。ヴィクトルは孤独で、ペンギンのミーシャも自分の本当の居場所には居ない。ある日、ヴィクトルに出版社から「追悼記事」の仕事が入り、そこから彼の人生が大きく変わっていくことになる……

    ロシア文学はあまり読みませんが、この作品は大好きです!続編も出ているらしく、欧米諸国では翻訳出版されたようですが残念ながら日本では和訳出版されていません。私はロシア語が出来ないので、続編の邦訳出版を期待しています!

  • 某北海道じゃない方の蔦屋書店で見かけて購入した本。
    ソビエト連邦崩壊後のウクライナで、えんえんなぞめいた死亡記事を新聞に書く仕事をする短編作家と、彼が飼っている憂鬱症のペンギンを主軸においた小説。
    キエフでの冬の生活感とかがかなり好き。カラマーゾフの兄弟(あっちはロシアでしかもずっと前だけど)でも思ったけど、こいつら気軽に昼間からコニャック飲み過ぎだろ。あとシャンパン好き過ぎだろ。こういう生活、全然憧れないけどなんか良い。コニャック。。。

    続編もあるらしいけど、訳者の先生があまり気に入らなかったのか邦訳が出ていない。英語版で読むしかないのか・・・?

  • 読みながら村上春樹だなーと思ってたけど、解説でそれ書かれちゃった。どうしよ。

    売れない小説家が憂鬱症のペンギンと過ごす話。
    ある日新聞社の編集長から有名人の死亡記事を書かないかともちかけられて……っと、物語はミステリーな展開に。

    ロシア作家のような淡々とした日常の描写や、憂鬱なペンギンとの同居という静謐でどこか物哀しい光景というのがはじめは気持ちいい。警官セルゲイとの交感も、ギブアンドテイクな関係ではなく(主人公はテイクばかりの糞だが)、ハードボイルドな友情でとても心温まる。

    しかしながら中盤から一気にダレる。
    それは一重にミステリー風をかもしながら中盤以降も肝心の問題を提出しないからだ。村上春樹も引用してたけどカポーティだっけ?カミュだっけ? 作中にピストルを出したら必ず発射されなければならないってな格言があるけど、いつまで経ってもピストルを使う気配を見せない。半分まで来ると「あ、冒険する気ないなこの小説」って分かってしまう。

    ミステリーがないからアドベンチャーもない。だからこれ劣化版村上春樹だ。

    あるいは終盤のところがミステリーとしての見せ場だったのかもしれない。そんなことはないと信じたい。コードネーム「ペンギン」でギャグかと思ったよ。

    ソ連解体時のウクライナの気分を反映している社会派小説なのか~とはいえ、そこんところはわからぬ。

  • これも知人のおすすめ x 新潮クレストの組み合わせ。ウクライナのロシア語作家アンドレイ・クルコフの処世作とのこと。

    「ペンギンをペットにしている」というと、まっさきにミサトさんを思い浮かべてしまうため、正直なところあまり違和感なく読んでいた。ストーリーは上質のミステリー仕立てで、構成(特にラスト間際)もなかなか凝っている。しかし、このペンギンのせいか、どこか間合を計りかね、サスペンスもサスペンスらしくなくなって、全体を覆う不条理の雲の中を漂うことになった。

  • 淡々とした日常のようだが、不穏な空気に取り囲まれていく。
    この雰囲気とか文章は好みでした。

  • 【Entertainment】ペンギンの憂鬱/アンドレイ・クルコフ/20140916(72/246)
    ◆きっかけ
    J子さん紹介。

    ◆感想
    ・ソ連崩壊後の先行き不透明な雰囲気の立ち込めるキエフで、売れない小説家とペンギンという取り合わせ自体がありえない。部屋を歩き回っているペンギンの足音、涼しい隙間風を見つけてたたずんでいる仕草、氷水をはってあるバスタブで喜ぶ様子、凍った川の氷穴に飛び込み、遊んでいる姿、主人のひざにお腹を摺り寄せてくる仕草等々、とても印象的。
    ・物騒、かつユーモア。このバランス感が絶妙で、読んでてハラハラさせられ、妙な魅力に取りつかれた。
    ・物語そのもののは、結構不気味な驚きの混じった終わり方なのだが、このペンギンのものを言わぬ友人はたまた冷たい第三者なのか、中和させるかけがいのない役割を担っている。
    ・人は余計な心配をしなくていいよう,以前恐ろしいと思ったことも正常だと考えて生活するようになる。なるほど。。。。
    *続編:カタツムリの法則

    ◆引用
    ・過去というのは日付を信じるものだ。それにどの人の人生もいろいろな日付から成り立っていて、それが人生にリズムや節目を与えている。日付という高みに立ってうしろを振り返ると、眼下に過去そのものが広がっている気がする。それは、さまざまな出来事のあった断面や部分に分けられた、分かりやすい過去だ。
    ・未来なんて前向きに突き進んでこそ手に入れられるもの。立ち止まって謎を解こうとしたり、人生の本質が変わったからといって、いちいち考え込んだりしてはいられない。人生は道のようなもの。問題や困難を避けて、わき道を進むなら、道は長くなる。道が長くなれば、人生も長くなる。まさに結果よりもプロセスが大事。なぜなら、人生の最終的な結果というのはいつだって決まっている。死なのだから。
    ・長寿の秘密がわかった気がする。長く生きるためには安らかな気分でいることだ。安らかな気分でいられれば、それが自信の源になるし、自信が持てれば、人生を長くする決断ができる。自信が未来に通じているのだ。

  • ウクライナ・キエフ。寒い国の不条理。旅立った南米のマルケスを想う。憂鬱ペンギンのミーシャが気になる。続編「カタツムリの法則」も読みたい。

  • 不条理な物語。どんどん引きつけられる。ペンギンの存在は違和感を中和してくれている。なくてはならない存在。装丁もお気に入りの1冊。
    原書はウクライナでウクライナ語ではなく、ロシア語で書かれたそう。

  • 期待のシリーズだけど

  • ただのアイコンでないペンギンの存在感が秀逸。続きの邦訳をぜひ!

  • 主人公も薄々感じている、何やら得体のしれない恐怖と重大なことに加担しているという事実。それを少しずつ知らせてくれる(ように私には感じた)ペンギンの存在と対極的なかわいらしい描写。

    物語としてとても謎めいていて、本当に楽しみながらページを繰ることができた。結末にもほぅ~とうなってしまった。
    この本を読むことができて良かったと思えるほど素晴らしい物語でした。

  • ロシア文学は日常を淡々に書くのが基本らしい。
    ミーシャ(ペンギン)の行動に癒されます。

  • 「ノンストップでペンギン萌え。」

    ソ連崩壊後のウクライナ。売れない小説家・ヴィクトルは動物園から譲りうけたペンギンのミーシャと孤独な二人(?)暮らし。そんな彼のもとに新聞に故人の追悼記事を書くという仕事が転がり込む。しかし、これ以降彼の身辺には不可解な出来事が次々と起きて…

    真面目であまり人を疑うことも無いらしい、そんな人間性がわざわいして知らぬ間に「天誅」に加担させられていくヴィクトル。その謎の深刻さをよそに、彼の日常にうるおいと癒しをもたらしている憂鬱症のペンギン・ミーシャの存在が、本小説にコミカルミステリーとも言える味わいを醸す。そうかと思えば本書に登場する人物たちがそれぞれに抱える孤独が全編にある種の寂しさを充満させていてそれが物語にスモーキーな印象を与える。

    たが本書の最たる魅力はペンギン・ミーシャの存在。
    ペンギン萌えにはもうたまりません。

    憂鬱症の上不眠で廊下をペタペタ歩く。

    ときには冷水浴のためバスタブに水をためてやると、喜んでとびこんでいく。

    氷の山からペンギンが次々に飛び込むテレビ映像をミーシャに見せようと
    ヴィクトルはミーシャを抱き上げテレビの前におろした。
    ミーシャは一声あげると仲間たちの姿を見て立ちすくみ、じっと画面を見つめるのだ。

    ペンギン萌えの針はここで振り切る。
    ところが、その後のペンギンの反応は更なる興奮を呼び起こす。

    〈そのまま、飛びこんだり潜ったりするペンギンたちを五分ほど見ていると、番組は終わってしまった。ミーシャが急にテレビに近づき、胸でテレビを押そうとしたが、ミーシャが押せたのはテレビが載っている台のほうだった。もっとも、押しが強いので、テレビまで揺れだしたのだが。
    「何やってんだ!」声を抑えてそう言いながら、テレビを支えて、ペンギンのほうを振り返った。「そんなことしちゃいけない!」〉

    うう…脱力。

    物語の後半では身体が白黒ゆえ葬式向きとしてひっぱりだこになり
    レンタルもされている。
    ミーシャのレンタル料一回1000ドル、ヴィクトルの給料300ドル。

    雨の葬式に参列してインフルエンザにかかるミーシャ。
    ミーシャを襲うインフルエンザウィルスに激しい嫉妬を覚える。

    〈寝室に行き、横になったペンギンというものを初めて目にした。お気に入りのラクダの毛布に横向きに寝ていた。横たわって震えている。〉

    ミーシャはその後どうなったのか?!

    読むべきことは他にあろうとは思うが。
    ノンストップでペンギン萌えの300ページ。

  • 以前からタイトルだけ知っていたが、ペンギン主役のファンタジーかと思い込んでおり、何年も手を付けていなかった。
    アマゾンのレビューで、そうでないことを知り、また翻訳が美しいというので手に取ったら、ものすごく面白かった!!
    翻訳は本当に美しい。発言者やその状況が目に見えるような文章。村上春樹を思わせるな〜と思っていたら、訳者もそう思っており、著者も村上氏のファンだとのことだった。

    ストーリー上の謎は解けないまま話が終わってしまったが、ソ連崩壊後のウクライナにはとてもあり得る話なのだろうと、受入れざるを得ない。でも、それが今の私がロシアの小説から読み取りたいことなのだった。
    ペンギンのミーシャがとてもかわいい。ミーシャという名前はロシアではどんなポジション(?)なのだろう。日本の名前ではどんなものに当たるんだろう。存在そのものがユーモラスで、寂しさのようなものが全体に漂う作品の中で、ほっとさせられた。彼は生きているのかな。本当はもういないんじゃないのかな。生きていてほしいな。

  • 3/13読了

  • 売れない作家はベンギンを飼っている
    ある日新聞社から追悼記事を依頼される
    言われたまま原稿を書くが、それが現実の死亡記事とリンクすることに気づく
    やがて自分の追悼記事を書いている男を知り、逃げることにする
    わりと怖い設置なのに主人公とベンギンがのんびりしているので軽く読めてしまう

  • ロシア文学ってふだん読まないですが、この小説は、展開が気になって一気に読了(^ω^)
    表紙のペンギンもかわいらしい☆

  • 装丁の可愛さに反し、中々ハードボイルドなお話でした。
    読み進むにつれ徐々に不穏な空気が漂い、全く先も読めず、
    もしやこのまま最悪な方向に行ってしまうのではと、
    正直ビクビクしていたのですが…そうきたか(ホッ)と。

    あとがきには「さりげないアイロニーと諦念、
    ペーソスとユーモアが響きあった(中略)サスペンス溢れる長編」とありました。
    作者は村上春樹の「羊をめぐる冒険」がお気に入りだそうです。
    なるほど、っぽい。

  • 主人公の名前はヴィクトル。
    ペンギンのミーシャと暮らしている。

    エサをろくにやれなくなった動物園が欲しい人に譲るということでペンギンを貰ってきた。
    ペンギンと同居するのは相当大変そうだと思うが、ミーシャはうつ病なのでおとなしい。

    ヴィクトルは、売れない小説家で、生活のために、まだ死んでいない人の追悼記事を書くという仕事をはじめた。
    元気でピンピンしている人の追悼記事を書き、新聞社にストックをためていったが、ヴィクトルが追悼記事を書いた人がなぜか次々と死んでいく。

    そのうち同居人は、皇帝ペンギンだけでなくソーニャという女の子も加わるのだが、さまざまな陰謀がうごめくウクライナを舞台に主人公のヴィクトルは知らず知らずの間に不可解な出来事に巻き込まれていく。

    文章にテンポがあり、読みやすく愉しい本だ。

    ペンギンのミーシャじゃないミーシャや、留守の間世話をしてくれる警官、動物園でペンギンの世話をしていたペンギン学者、編集長、ギャングの娘のソーニャ、ソーニャのベビーシッターのニーナなどなど、個性的で魅力ある登場人物たちが物語を盛り上げてくれる。

    奇想天外な部分も多い本ですが、一気読みには最適です。

    作者のアンドレイ・クルコフは、1961年サンクト・ペテルブルグ生まれ。
    現在、ウクライナのキエフに住む。奥さんはイギリス人だそう。
    本書『ペンギンの憂鬱』が世界的なベストセラーになり国際的に知られる作家になる。
    ちなみにペンギンと同居したことはないそうだが、やけに描写にリアリティがあり笑わせてくれるのだ。

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