世界の果てのビートルズ 新潮クレスト・ブックス

制作 : 岩本 正恵 
  • 新潮社
3.59
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本棚登録 : 178
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900526

作品紹介・あらすじ

凍てつく川。薄明りの森。北の果ての村に響く下手くそなロック。笑えるほど最果ての村でぼくは育った。きこりの父たち、殴りあう兄たち、姉さんのプレーヤー、そして手作りのぼくのギター!世界20カ国以上で翻訳されたスウェーデンのベストセラー長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 露骨な描写に驚く個所が多い。ヨーロッパの小説はこんな感じのものが多い印象。

  • 舞台は1960年代、スウェーデン北部の小さい村。
    主人公の僕と親友ニイラのおかしくてほろ苦い青春の日々が描かれてます。
    小さな子供時代の2人が巻き起こす珍騒動の数々が素晴らしい。
    ユニークすぎる出来事を真面目に語っているところが、また妙にツボにハマってしまうのです。
    「プクク…」と含み笑いしてしまう箇所がたくさん出てきて、最後はしんみりとしてしまう。
    どんな年代の方にもオススメしたい、極上の青春小説です。

  • 900万人しかいないスウェーデンで75万部売れたという、スウェーデンの田舎の村の青春小説。いや青春小説ってのはダメだ。そんな軽薄な作品じゃない。自伝的小説らしいので、作者の子ども時代がずっと描かれていて、外国の子どもの微笑ましく、またうらやましい感じで話が進むんだけど、ある意味マジックリアリズム的なところ(まあ、俺はマジックリアリズムがなんだか知らんのだが)がある。それはスウェーデンのフィンランド国境付近の村の自然と風習とが、いい味を出してるから。でも、煙に巻かれる感じは全然しない。それは、語り口もあるのかも。最後ににやりとさせるような一言で締めくくるから、むしろ作者像が出てくる。とにかく、田舎のガキがバンドでもやったんだろ、スウィングガールズみたいなやつだろ、とか思うのはやめなさい。むしろ、俺のイメージではファンタジー系の冒険小説(エンデのジム・ボタンみたいな)に近い。それを一人称語りで文学にしている感じ。いやーうまく言えないなあ。とにかく俺は子どもを主人公にした小説にやられるってことがよく分かった。これはやられる。子どもの目というフィルターを通すことにすごく興味があるんだわきっと。遠いものが神秘化されたり、手の届かないものがなぞめいたり、解釈は自分本位で、だからこそ自由。そして、気持ちが素直。とりあえず、現時点では今年のベスト候補。

  • スウェーデンはフィンランド国境付近の村の子供時代。どれだけ田舎だろうと、たくさんの輝きがそこにはある。

    予想ほどビートルズとかロックンロールではないけれど、これはこれでよい話。
    最後がちょっぴり切ないけれど、それも人生の苦楽。

    そうして読み終わった私は、ビートルズの〝in my life〟を聞くのです。

  • 思ってたのとは違ったけど、チャーミングなお話だった。こういうのが国民的ベストセラーになるスウェーデンって、さすが『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』の国だなあ。

  • 2017年2月8日読了

  • 図書館で。
    自叙伝なんだかフィクションなんだかよくわからず。時代も場所もポコポコ変わるのでなんだか読み切る自信がなく断念。

  • Rock ’n’ roll meant it was real; everything else was unreal. (John Lennon)-ロックンロールだけが本物で、あとはすべてウソっぱちだった。 (ジョン・レノン)

    ビートルズの名が付いた邦題だから、ロックの名曲とか数々のロックミュージシャンへのリスペクトが次から次へと出てくるような展開を当初は期待していた。

    確かに12ページ目にさっそくELVIS PRESLEYがいい感じで登場する。-「ギターを弾くハンサムな若者が描かれているつやつやのレコードジャケット」という記述や「これが未来だ。未来っていうのは、こういう音がするんだ。道路工事の機械のうなりに似た音楽」という記述から、たぶん、“Blue Suede Shoes”のことだろうか?
    この箇所は、この作品のなかでも特にいい描写だ。主人公はエルビスの歌に衝撃を受け、道路工事の機械のうなりに似た音楽と例え、そのまま外に目を向け、当時未舗装だった地元の道路が次々と舗装工事が進められていくのを目の当たりにする。そこで見えるのは、「黒く光る革のようなアスファルトではなかった。油で固めた砂利だった。」というクールな表現に続く。つまり、自分たちのまわりにできあがっていくものは、新しいものに見えるけど、実は「バッタ物」なんだってこと。
    そのなかで、ビニールのシングル盤に写し出されたロックンロールだけが、本物をそのままパッケージしたものだったって思えたこと。単なる青春小説じゃない、屈折した感性が十分感じられる。

    …ここまではよかった。でもここからしばらくロック的な話は全くおあずけ。
    いよいよ74ページで、主人公の友達の祖母の葬式があって世界中に散らばっている親戚連中がやって来ていて、アメリカ在住のいとこがロンドンに寄ったとき買ったというビートルズのシングル盤を見せる。
    でも、ここで私の頭のなかは??だらけになった。なぜかって?だって祖母の葬式に行くのに、いとこのためにビートルズのEPを買っていくって普通に考えたらそんなことありえないって思わない?主人公の友達はレコードプレーヤーすら持ってないんだよ?よくよく考えたら、このビートルズのレコードとの出会いのエピソードは“ホラ話”なんじゃないの?

    しかしホラだからってこの作品の価値が落ちることにはならない。なぜならこの作品全体が、もうホラまみれだから。むしろホラ話を笑って楽しむくらいでないと、真の良さはわからない。
    ピンときたのは、ある結婚式で新郎側の一族と新婦側とが「どっちがすごいか」って話になって、酒の勢いもあってどんどん話が大きくなっていって収拾がつかなくなるシーン。もうホラか本当かなんて誰もどうでもいいと考えるくらい話の内容が膨らむだけ膨らんでいったって話を読んで、「ああ、こんな感じで作者も面白~く話をぼくらに提供するのに、ビートルズをこんなふうに設定に借りてきたんだな」って思えた。自然な流れだし、面白いから十分OK。

    でもホラ的展開を許せた最大の理由は、ラストがすごく良かったこと。最後の第20章では、主人公の祖父の古希祝いに親戚縁者近所の人などが一堂に会する。
    主人公たちは手に手に電気楽器を持って登場。彼らのバンドは自分たちなりに演奏に自信もつきかけてたころ。集まっていたすでにほぼ酩酊のムース猟師たちがセッティングの場面を不安そうに見守る中、ニイラが「三拍子のリズムでギターを鳴らしはじめると、ほっとしたようすになった。みな、なんの曲かわかったようだった。」
    バンドが演奏したのは、トーレダーネンの古くからの愛唱歌だった。ビートルズやエルヴィスの歌なんかじゃなかった。
    「みなグラスを置き、座ったまま聞いていた…『ああ、エンマ、ぼくの恋人になるって約束してくれたときのことさ…』」たぶん、現地の地の言葉によるロックの演奏を聞くのは、みなはじめてだっただろう。バンドも聴衆も、今なにが一番演奏されるべきかって言わなくてもわかってたんだ。
    この物語で長々と少年から大人へのモラトリアムの通過儀礼が語られていたけど、ここでようやく大人への仲間入りを名実ともに認められたっていう感じ。

    最後にバンドのメンバーが「十字路のまんなかの、車道の中央に体を横たえた。あお向けになって体を伸ばし、星空を見上げた」というラストのラストも、ありきたりかもだけど、いいシーンだ。十字路の先にはビートルズのいたイギリスや、エルヴィスのいたアメリカがある。またスウェーデンの都市のストックホルムにも続く。しかし、この地に残る道もある…
    “答え”なんてない。誰にもわからない。地元で幸せそうに一生を終える人もいるだろうし、つまらないと恨みをこめて一生を終える人もいた。大人になるのと引き換えに、ロックで生きようと、地元のルールで生きようと、誰もがぶつかる人生最大の難題からは逃げ得ないってこと。
    そんなこと知ってるよ…だけど、ここまでユーモアたっぷりに書かれたら、青臭い思い出とともにフフンて鼻を鳴らしながら、昔の古いロックンロールを聞きながら、甘酸っぱい思い出にひたるのも、そう悪くはない。

    …ということで、本物が実は本物じゃないって現実を次から次へと知らされるのが大人になるための儀式ならば、ジョンが言うように、ロックンロールとの出会いは人生にとって決して無意味なことなんかじゃない。
    (2015/6/20)

  • 結婚式の料理と、父の言葉がなんとも。

  • 人が進んで足を運ぶことのないようなスカンジナビアの極北の村を舞台に、少年達が本場のロックンロールに憧れ、成長していく物語。全体としては笑い、虚しさ、色々な感情で彩られているが、そのどれもが筆者の生い立ちがなんとなく関わるようで痛々しい。作家は自分のバックグラウンドに根差す形でしか小説が書けないが、そういう意味でもこの小説は、人間の限界とその内側で何ができるかを教えてくれる。この筆者があってこの物語という小説。

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