土曜日 (Shinchosha CREST BOOKS)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900632

作品紹介・あらすじ

ある土曜日の朝4時。ふと目が覚めた脳神経外科医ヘンリー・ペロウンは窓の外に、炎を上げながらヒースロー空港へ向かう飛行機を目撃する。テロか?まさか?弁護士の妻、ミュージシャンの息子、詩人となった娘…充足しているかに見えるその生活は、だが一触即発の危機に満ちていた-。名匠が優美かつ鮮やかに切り取るロンドンの一日、「あの日」を越えて生きるすべての人に贈る、静かなる手紙。ブッカー賞候補作、ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 社会的な地位も財産もあり、家族に恵まれた働き盛りの男が過ごす、とある休日の一日を細大漏らさず繊細で怜悧な筆で描ききった極めて現代的なリアリズム小説である。一昔前に脳外科医が主人公の外国製TV番組があった。『スーパーマン』とか、『ローン・レンジャー』といったマッチョな英雄に替わり、凄腕の脳外科医がヒーロー視される時代が来たのだ、ともちろん当時はまだ子どもだったから、そんなふうに分析はしなかったけれど、見馴れないものを見るような気持ちで、それでも毎週楽しみにしていたものだった。

    イアン・マキューアンが『土曜日』の主人公に据えたのも手術の巧さに定評のある脳神経外科医。三階からシャンデリアが吊り下がるジョージア様式の邸宅に住み、愛車は音もなく走るベンツSクラス。法廷弁護士である妻との間に二人の子を持ち、姉はオクスフォード出の新進詩人、弟はジャック・ブルースに師事するブルース・ギタリストだ。あまりの設定に「幸福な男の一日を描いて何になるんだ」という批評が出たそうだ。連続TV活劇ではない。リアリズム小説である。恵まれすぎた人物を主人公にするのはどうかというその気持ちは分からないでもない。

    傍目から見れば羨ましいような男だが、その一日の中には、たしかに快適ではあるが、同盟国であるアメリカとの関係でテロの影に怯えざるを得ないロンドンという街の置かれた現在の状況(この小説の現在時は9.11の事件後約一年半と推定される)がある。施設暮らしの認知症の母親の問題、岳父であるオクスフォードの学匠詩人と若くして栄誉ある賞を取った娘との確執、ストリートに溢れた麻薬中毒の若者がちらつかせるトラブルの予兆と、大はイラク戦争から、小は今夜のささやかな晩餐の買い物まで、頭を悩ませる問題はつきない。

    故知らぬ多幸感から夜明け前に目覚めたヘンリーは、偶然開いた窓の向こうに翼の付け根にオレンジ色の炎を纏った飛行機が空を横切るのを見つける。しかし、ヒースローは管轄外で自分は手術明けの非番。まだ起きていた息子と見た4時のニュースでは何も報道されていない。再びベッドに戻ったヘンリーは、土曜日というのに仕事に出ていく妻と名残を惜しむようにセックスし、麻酔医の友人との恒例のスカッシュに向かう。

    BMWと接触事故を起こすのはその途上だ。相手の風貌から暴行を予測した主人公は、リーダーらしい若者が見せる微細な徴候に相手がハンチントン病であるのを察知する。預言者めいた指摘に相手が躊躇したすきに難を逃れたのだが、その影響かスカッシュでは冷静さが保てず苦戦する。このあたり、相手の見せる微かな肉体的な徴候から、疾患を読み取り、病歴から現在置かれている状況まで推測する能力の凄さはほとんどポオのデュパンかドイルのホームズ並みで、優れた脳外科医が皆こんなだったら犯罪は激減するだろう。また、スカッシュの試合の描写ときたら、一球一球の打ち込まれる場所から落ちてくる位置まで予測と結果、次の予測へと克明に記録していく記述といい、病的なモノマニアックさである。

    詩人の娘に世界文学のレッスンを受けながら、『アンナ・カレーニナ』と『ボヴァリー夫人』から何の感銘も受けず、当時の風俗に詳しくなったことくらいしか評価の対象にしない主人公は、世俗的なリアリストを自称している。戦争には反対だが、サダム・フセインの専制政治を排するためには武力行使もやむを得ないという立場を貫き、歴史的な反戦デモを横目にスカッシュの試合にベンツを走らせる男である。

    世界の置かれた現実をひとまず肯定し、問題点は外科手術的に摘出すればよいという考え方は、現代社会の中でそれなりの地位を占め、権力を行使できる人間には相応しい。あまり小説には向かないタイプの人間だが、こういう生き方を支持する向きもあろう。しかし、真っ向から反対する立場の人間もいる。娘の意見がそれで、アメリカのイラク戦争に反対する。二人の口論は当時の世論を代表する二派の代弁である。プルーストの『失われた時を求めて』におけるドレフュス事件のように、マキューアンの『土曜日』も、何年か後に当時の論争を窺う恰好の資料になるだろう。

    二人の新旧詩人の確執を収め和解の場となるべき晩餐に招かれざる客が闖入するところがクライマックスになる。ネタバレになるので詳しく書けないが、ナイフを持った相手に立ち向かおうとする外科医が、自分やギタリストである息子の負傷を判断材料にいれないのが不思議といえば不思議である。どちらも腕とは言わない神経の一本が切れても復帰の難しい商売なのだ。

    マシュー・アーノルドの詩が窮状を救うところや最後の手術の場面など見せ場も多く、たった一日の出来事の中にイギリス中産階級の暮らしぶりやロンドンという都市の持つ魅力と危うさ、医療現場の見せるスポーツや音楽演奏にも似た緊張と弛緩、挑戦とそれをやり遂げた後の達成感など、よくもこんなに突っ込めるなと思うほど素材をぶち込みながら、見事なまでに調理してしまう作家の腕の良さには拍手するが、リサーチの結果か執拗なまでに頻出する医学用語に見られる衒学者ぶりには、感心しつつ呆れてしまった。このモノマニアックさは、視点人物のリアリストぶりを強調する意味合いがあるのだろうと思いながらもひょっとしたら作家自身の持ち味なのかとも訝った。いずれにせよ、退屈しないことは保証する。

  • 何気なく手に取ったが、今この時読んでいると書かれている言葉の意味が重く感じる。
    特にイラク戦争反対の娘と、消極的賛成の父親の言い争いのシーンが・・・
    読んだのが刊行直後なら、政治的な問題で言い争う親子の描写を欧州独特の描写として興味深く読んだろうが、SNSで政治思想がシェアされてくるこの時代、再会を喜んだ次の瞬間険悪な雰囲気に、というのはなんとなくこの身に引き寄せて考えてしまう。さすがに実生活で政治思想を争うことはないが、職場でふとした瞬間相手の思想を察してしまうことはあるからね・・・

  • 40代男性脳神経外科医が主人公のある土曜日の様子が丸々一冊。真夜中とも早朝ともいえる時間に目覚めて窓の外の出来事を目撃するまででもページを重ねる。外出して車で角を曲がるだけでも少なくとも2ページは使う。記憶に纏わる描写や現在の心情描写が細かに豊富に記されているわけで、クドイ!とは思ったけれど放り投げる気にはならなかった。展開にちょっとだけ起伏はあったけれど破壊的なものはなく主人公も変わりなく、だった。奥さんのパートがあれば読んでみたかった。朝からうるせーな!だと思うけど。解説で幸福な主人公や家族のことを描くのはどうかと揶揄されていたとされていたけれど、むしろ小説にしかできないのでは、と思った。テレビドラマとか映画じゃつまらなすぎるし。総じて、頑張って読みました!

  • 現代の、それもブルジョアのジェームズジョイス、といった風情。とても楽しく読めた。

  • 途中放棄 2013.09図書館

  • 静謐な文章の中に、不穏さを孕んだ物語。主人公が幸福な人間というのが、マキューアンにしては珍しい。

  • 「ああ、恋人よ、せめて我々は
    互いに忠実でいよう!
    眼前の世界は夢充てる地のごとく
    広やかに美しく、新しく見えるけれども、
    本当は、喜びも愛も光もなく、
    確かさも、平和も、苦痛を和らげるものもない。」


    参考資料として巻末に、作中で使われた詩が載ってたのがグッジョブ。


    なんだか上手く説明できないけど
    広い世界の大きな出来事も
    身近な、他人にとってはとるにたらない些事も
    全部世界を構成する要因であって
    全部繋がってて
    そんでもってそれらを営む人間は
    脳みそが動かしてて
    それは普段意識しないけれど物質が支配してる

    理論派の脳神経外科の主人公
    弁護士の妻
    芸術家の卵の子供二人
    それから、いろいろな人々


    金曜日でも日曜日でもなく
    土曜日

    場面や背景を説明するのにマキューアンが持ち出すアイテムは
    他の人だったら触れないようなことだったり
    そこに無いものだったりするのだけどとても的確な気がする
    それじゃなきゃいけないような、それ以外考えられないような

    それからはったりにも似た
    物事の結論はSっ気があって惚れそう。

  • 遠くにぼんやりとしていた不安が、恵まれた中流家庭に少しずつ近づいてくる。そして事件。たった一日の出来事をすごく緻密に描写していて素晴らしいけど、ほんの少し退屈でした。

  • 格の地位を誇る英文学界の手練れマキューアンが贈る最新作、全英ベストセラー。
    突発的なテロ、見知らぬ若者の激発、親友との仲違い。なにが起こっても起こらなくとも不思議ではないその日、ヘンリーの周囲は危機の予兆に満ちていた。そう、世界はあの日以来変容してしまったから――。果たして安息の日曜日は訪れるのか

  • サスペンスタッチはなりをひそめていますが、登場人物たちをちょっと突き放したようなマーキュアン調は健在でした。ただなかなか物語に入り込めなかったです。もう少し老成してから再読したらいいかもと思いました。

  • 少し、気取った文体で、前半少しめげそうになってしまったが、後半に向けて物語が展開していくと、すこしずつのめりこんでいけます。

    無理にお勧めする本ではないけど、悪くないと思う。

  • 98年のAmsterdamでブッカー賞受賞、イギリスの作家。六本木の青山ブックセンターで平積みしてあって、気になって帰りに図書館で見つけたので即借りました。
    ---

  • 一人の男性とその家族の土曜日を通して、911後の世界とその問題をとりあげた小説。

    主人公ヘンリーは優秀な脳外科医、妻ロザリンドは弁護士、娘デイジーは詩人、息子シーオはミュージシャンとして満足した生活を送っている。
    しかし、その生活も一つの大きな事件によって……あとは略。

    マキューアンの緻密な描写に圧倒されます。
    義理の父で詩人のグラマティカス、痴呆状態の実母のリリーの描写も深い。

  • 日曜の朝をいかに素敵に迎えるか。これは土曜日にかかっています。土曜の波乱が、日曜の朝を幸福にするのです。波乱といっても、日常の波乱でかまいません。読んでいて、そういう感慨に耽っていました。このはなし、終わりかたがなかなかよく、余韻をのこします。(たぶん、訳者のあとがきは目にしないほうが…)

    睡眠不足がつづいた平日。それをのりこえた土曜の朝。そんなときにこの本を開くと、いいことがあるかもしれません。日曜の朝、珈琲でも飲みながら、この小説について誰かに話したくなるかもしれません。

    ついでながら、マシュー・アーノルドの詩がでてきます。これから読む人は、アーノルドの有名な詩をちょっとだけ勉強しておくと、より楽しめることでしょう。Dover Beach。

    The sea is calm to-night.
    The tide is full, the moon lies fair…

  • P184
    <<あまり説得力は感じられない。けれども、概して人間は信じるほうに
    傾くものだ。そして、間違っていたと証明されたときには、見解を変える。
    あるいは信仰を持って、信じ続ける。時代が移り、世代が変わっても、
    これがいちばん効率的だったのかもしれないー一応は信じておけ、という
    態度が。

    ●『神の名のもとに』にも同じことが書いてあったことを思い出した。

    P335~P337
    <<母は死んでいない、と、ペロウンは自分に言い聞かせ続けた。しかし、
     全ての飾り、一生かかって積み上げた細部のすべてがこれほどあっさり
     簡単に包まれてどこかに送られたり二束三文の店に下げ渡されたりする
     のを見ると、リリーの人生は-いや、誰の人生も-あまりに希薄なもの
     に思えた。物は持ち主とその過去から切り離されると、がらくたに
     なってしまうのだった。・・・そうして、土曜日が日曜日になる。>>

    ●人生の"土曜日"から"安息の日曜日"に向かいつつあるペロウンの思い。
     昨晩からは想像もできないような事件があっても、遠い未来や近い
     将来の生活を予想することをやめられず、不安に苛まされる。
     バクスターの生死を管理したいという願望もまた不安の裏返しである。
     一つだけ確かな"訪れる日曜日"に対するペロウンの不安には共感できる。
     
    P341
    <<今回は忘却の縁へと沈むのを邪魔するものはなく、誰も自分を止める
     ことはできない。眠りはもはやひとつの概念ではなく実態的なもの、
     いにしえからの移動手段、自分をゆっくりと日曜日へ運んでいく
     コンベアベルトである。ロザリンドにぴったり寄り添う。シルクの
     パジャマ、彼女の匂い、温かさ、愛する姿態。さらに身を合わせる。
     闇の中、うなじにキスする。いつでもこれがある、というのが、
     最後に残った思いのひとつだ。それから、これしかないのだ、と考える。
     そうしておしまいに、眠りに落ちながらのかすかな思い。一日の終わりだ。>>

    ●綺麗な終わり方だと思う。妻のことを確かなものに感じながら眠りに
     つく姿は美しい。

    ☆きっかけは本読みHP


    読了日:2010/06/06

  • [ 内容 ]
    ある土曜日の朝4時。
    ふと目が覚めた脳神経外科医ヘンリー・ペロウンは窓の外に、炎を上げながらヒースロー空港へ向かう飛行機を目撃する。
    テロか?
    まさか?
    弁護士の妻、ミュージシャンの息子、詩人となった娘…充足しているかに見えるその生活は、だが一触即発の危機に満ちていた―。
    名匠が優美かつ鮮やかに切り取るロンドンの一日、「あの日」を越えて生きるすべての人に贈る、静かなる手紙。
    ブッカー賞候補作、ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞受賞。

    [ 目次 ]


    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]

  • さすがマキューアンと言いたくなるような、ざらりとした嫌な読後感の残る一冊(笑)
    小説としてはすごいと思いますが、あまりに後を引きずる重さがあるので読むときを注意して選ぶべき。
    書評で脳外科手術のシーンが絶賛されていましたがそれには同意です。小説を執筆するに当たり脳外科手術の様子を2年間(!)見学しただけあって、本職の外科医かと思わせるような精緻かつ美しい描写。
    この外科シーンだけでも読む価値のある本です。
    そしてこのレビューを読むあなたもこの外科シーンにつられてこの本を手に取り、残りも読んで、私と同じ嫌な読後感を共有してほしいものです(笑)

  • 「9.11以降変容してしまった世界のありようを一人の男の一日の出来事と意識を追うことで描いた」って感じなんだろうか。その世界観というか肌触りを共有できなかった。

    別に小説世界を共有することが絶対に必要とは思わないし、むしろ共感を強要するようなタイプの作品は敬遠したい。でもここで前提にされているのは欧米人の感覚なのだと思う。これは、二度と再び以前の世界にはならないという痛切な痛みをもって9.11以降を生きる人のための小説だ。そして多くの日本人は(少なくとも私は)そうではないのだと思う。

    確かにあれは衝撃だった。いったい世界はどうなるのかと思った。でもよくよく考えてみれば、どこまで実感しているかはともかく、それはアメリカ人に成り代わって、アメリカの受けた打撃に引きずられて多めに見積もられていた感覚ではなかったんだろうか。もとから世界は不愉快で理解できない隣人で満ちている。それは9.11に始まったわけじゃない。

  • 眠い、何故こんなに読み出すと眠くなるのか。眠い。

  • たまにはこういうの読みたくなる

  •  脳神経外科医のヘンリー・ペロウンが夜明けの数時間前に目を覚ましたとき,身体はすでに活動を開始している。ベッドに起き上がった姿勢でシーツを押しのけ,立ち上がろうとしているのだ。いつから意識があったのかは定かでないが,それはたいした問題とも思われない。こんなことは初めてなのだが,そのことには驚愕どころか軽い驚きさえなくて,動作は軽く,四肢が愉快であり,背中や脚はひどく力に満ちているようだ。ベッドのそばに裸で立ちーー寝るときはいつも裸だーーしゃきっと背を伸ばしつつ,妻のひそやかな息づかいと,膚に触れる冬の寝室の空気を感じている。これもまた愉しい感覚だ。ベッドサイドの時計は四時半をさしている。
    (本文p.5)

    ※ひとこと※
    土曜日の午前4時半から,一日の終わりまでを描いた小説。幸せそのものに見える日常生活に,じわじわと不穏な影が近づく。

  • 帰省した時に購入予定

  • イアン・マキューアンは初めて読んだ。この手の内省的な小説はあまり好みではないのだが、意外にスンナリと入ってきたような読後感。主人公のペウロンは脳外科医としての仕事はうまくいっており、理想的な家庭にも恵まれている。ある土曜日、火を噴きながら着陸する飛行機、イラク戦争反対のデモ行進、痴呆で施設入所中の母などを見ながら、自分と家族にこれらがもたらす危険をつらつらと(これが長い)考える。未来の可能性を恐れ、これに備える性向は、職業上は役に立っているが、老いによる衰えを自覚するにつれ、御しがたい雰囲気を醸し出してゆく。家族がそろっての晩餐にやってきた押し込み強盗を辛くも撃退し、救急車で運ばれた犯人の手術を無事終え、妻とのベッドの中で、長かった一日を安らかに終える。■あまり説得力は感じられない。けれども、概して人間は信じるように傾くものだ。そして、間違っていたと証明されたときには、見解を変える。あるいは信仰を持って、信じ続ける。■なんと幸運なことだろう、自分の愛する女が自分の妻でもあるというのは。■ヘンリーにとっては、これもなじみの要素だ。眼に見えないものの恐怖。安全な距離から目撃する惨事。■何事にも、大した意味はないのだ。自分を悩ませていた事柄はすべて平穏に解決された。

  • 何が評価されてるのか分からない本
    上手くいきすぎー

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著者プロフィール

イアン・マキューアン1948年英国ハンプシャー生まれ。75年デビュー作『最初の恋、最後の儀式』でサマセット・モーム賞受賞後、現代イギリス文学を代表する小説家として不動の地位を保つ。『セメント・ガーデン』『イノセント』、『アムステルダム』『贖罪』『恋するアダム』等邦訳多数。

「2023年 『夢みるピーターの七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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