通訳ダニエル・シュタイン(下) (新潮クレスト・ブックス)

制作 : 前田 和泉 
  • 新潮社 (2009年10月1日発売)
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  • 14レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900786

作品紹介

ナチズムの東欧からパレスチナ問題のイスラエルへ-惜しみない愛と寛容の精神で、あらゆる人種と宗教の共存の理想のために闘った激動の生涯。実在のユダヤ人カトリック神父をモデルにし、21世紀を生きる勇気と希望を与える長篇小説。ボリシャヤ・クニーガ賞受賞、アレクサンドル・メーニ賞受賞。

通訳ダニエル・シュタイン(下) (新潮クレスト・ブックス)の感想・レビュー・書評

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  • やっと読めました。決して読みにくくはないのですが、長いし、内容が濃いのでとても時間がかかってしまいました。往復書簡や会話のテープを起こしたもの、手記などの形態をとりドキュメントを読むような感覚を覚えます。出てくる人々も、舞台も多岐にわたり名前も覚えにくくて混乱しつつもWWⅡを経て数奇な運命をたどったユダヤ人D.シュタインの生き様が、時にはユーモアも交えて描かれています。
    無知をさらすと、ユダヤ人=ユダヤ教信者と単純に思い込んでおり、そんな訳がないと気付かされました。日本人にはなじみにくいところがありますが、現在のイスラエル問題に通じる流れを知ることができます。
    親子、同国人間などでの無理解が存在するのと同時に、宗教や性別、人種を乗り越えた間で芽生える共感についても考えさせられます。人間として共感できる、ということが様々な障壁を崩す第一歩になるのでは?と思いました。そしてD.シュタインという人はそれが出来る人だったのだろうと思います。

  • 感想は上巻に。

  • [26][131019]<m市 書簡や書類、録音資料などのコラージュという体裁はとてもおもしろく、語り手一人一人のキャラクタやそれぞれの抱えている物語もいきいきと感じられて、上下巻にわたる長い話なのに飽きなかった。ただ、この手法によって浮かび上がってくるダニエル・シュタインの姿はちょっと平板だ。作中に彼に対して否定的な人物が出てこないわけではないが、その場合にはその語り手自体が読者にとって魅力的ではないことがほとんど。聖者の物語だとは言っても、というか、それだからこそ、その個性が強烈であればあるほど同時代に近くで生きたひとにとっては実際はた迷惑な部分があるのが事実だと思う。そしてその生臭い事実に生命力を与えられるのが物語の強みだと私は思うので、その部分が描かれていないこの話はフィクションとして見ると中途半端に感じられた。

  •  南ポーランドのユダヤ人の家に生まれたダニエル・シュタインは、17歳のときドイツ軍の侵攻から逃れるため、一家で北を目指すことに。やがて力尽きた両親に、弟と2人で生き延びるように説得されるが、その弟とも別れてしまう。
     その後ユダヤ人狩りにあい拘束され、何度もピンチに遭いながら、幸運にめぐまれ奇跡的に救われていくダニエル・シュタイン。やがて、ユダヤ人でありながらナチスの通訳としてゲシュタポで働き始めた彼は、ゲットー殲滅(せんめつ)作戦があることを知り、ユダヤ人たちを救いだそうとするが…。

     ユダヤ人でありながら、いろいろな好条件が重なって、ナチス側の通訳となったダニエル・シュタインの物語。フィクションですが、実在の人物をモデルとしているそうです。「通訳」とあるから、ホロコーストの話ばかりかと思っていたら、殆どはイスラエルに渡り、カトリックの「司祭」となった話が中心で、彼をめぐる人々の証言や、日記、書簡、記録などを、(作者に言わせれば)コラージュした構成になっています。断片的なものを、1つ1つ読み解くように読んでいくうちに、それぞれが伏線となり、物語が動き出し、ダニエルの人となりが鮮やかに浮かび上がってきます。
     宗教の問題や、イスラエルやパレスチナの問題は、勉強不足で理解がもどかしさを禁じえなかったけど、登場する夥しい人々の生き方には深く考えさせられたし、ダニエルの周囲の物語には、心がほっこりと温まる思いがしました。

  • 戦中から現代にかけての中東欧、イスラエルの歴史をヒューマンな視点で描いた傑作だと思います。

  • アイデンティティについて考えた。

  • 良心と献身の物語です
    宗教とユダヤの関係がある程度理解できます
    読後の爽やかさがあります

  • 読書期間:2010年12月8日-12月20日

    上下巻共に読んで感じた事は、
    宗教問題も絡んでいるのにそれ以上に一種の恋愛小説の様に感じました。
    特にテレーザとワレンチナさんの手紙の遣り取りが。

    後半でこれからだという時にDanielが居なくなってしまった時、
    胸のに穴がぽっかりと空いた様な、納得の行かない感じが沸々と湧き揚がりました。
    ヒルダは「私はいつでもドイツに戻れる」と言っていましたが、
    留まって教会を、Danielの行動を継いで欲しかったです。

    ユダヤ教とキリスト教、中東の国々、大戦後のドイツ人の心情。
    これらを知るきっかけを与えてくれます。

  • [ 内容 ]
    ある土曜日の朝4時。
    ふと目が覚めた脳神経外科医ヘンリー・ペロウンは窓の外に、炎を上げながらヒースロー空港へ向かう飛行機を目撃する。
    テロか?
    まさか?
    弁護士の妻、ミュージシャンの息子、詩人となった娘…充足しているかに見えるその生活は、だが一触即発の危機に満ちていた―。
    名匠が優美かつ鮮やかに切り取るロンドンの一日、「あの日」を越えて生きるすべての人に贈る、静かなる手紙。
    ブッカー賞候補作、ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞受賞。

    [ 目次 ]


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    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 想像していたものとは違うのが正直な所感である。それは、けっして残念に思ったわけではなく物語の構成に面くらったという意味だ。様々な人物による其々の日記や書簡、会話を録音したものといったものを資料として配列されている、しかもそれらの資料が単に時系列で並べられていない、それが読み手に奥行きを感じさせる楽しい構成となっている。「通訳 ダニエル・シュタイン」はとても人道的で或る種の高い温度を持ち続ける奇特なユダヤ人“ダニエル・シュタイン”の物語だ、恐らく表題に「通訳」と入れたのは、解説にもあるが彼があまりにも多くの理解し合わないもの同士を理解しあえる同士へと導こうとしたからであろう。ダニエル・シュタインの思想や発言にはとても同意しかねる箇所もあったが、そういった事へ理解を示し合いたくなるのが本書であり、そういった読み手を手放さなず、包み込む魅力が本書にはある。あと、この本にはしっかりと悲惨な歴史が描かれ、読者を立ち止まらせ考えさせる用意がされている。

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