女が嘘をつくとき (Shinchosha CREST BOOKS)

  • 新潮社
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900953

感想・レビュー・書評

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  • 第4作と第6作が好き。

    ロシア語の「元気?」の答えには詳しい近況報告を前提にしてるというのを今更ですが知りました。

    登場人物の背景に前半あまりついていけなかった。全部読んでからもう一度読み進めました。

  • 読まなきゃいけない作家が増えた。
    女を真っ向勝負で書いてくる作家で、上手くてうなったのはアリス・マンローに続いて二人目。

    国に頼れない、男に頼れない、ロシア女の強さと孤独がつまった全6編。

    タイトル通り女たちが嘘をつく。
    本当のような嘘を。
    理由なんてない、いやあるかもしれないけれど、一言で語れるようなものではない。
    「なぜ?」と考えてしまうタイプの人はやめよう。
    女とはこういう生き物なのだから。

    ディアナ
    ユーラ兄さん
    筋書きの終わり
    自然現象
    幸せなケース
    生きる術

  • 『星とヒトデを縫いつける/海と母とを縫いつける』ー『縫いつける』

    堀口大學の「人間の歌」の一節が、無意識に口を衝いて出る。連作短篇という程に一つひとつの物語が互いに呼応している訳ではない。それでも一本の糸がそれらをひとつの流れに縫い合わせている。それは、タペストリーに例える程、大袈裟なものではない。その物語とこの物語の間には、語られはしないが確かにひと続きの時間の流れが存在しているのだ、そういう感覚を生み出すものがあるという感覚、細い一本の縫い糸のようなものだ。もちろんそれは、ジェーニャ、という登場人物の果たす役割だ。

    リュドミラ・ウリツカヤを読むのはソーネチカ以来二冊目だけれど、この作家の感情の起伏を抑えたような筆致に惹かれていることを、改めて自覚しながら読む。抑えた、という言葉は冷静さを伴うニュアンスも呼び起こすけれど、リュドミラ・ウリツカヤの場合、そこには感情の昂まりを事前に察知して無理矢理に圧し殺しているかのような気配がある。そのことと、かつて為政者によって一つの国として纏め上げられていた土地に棲む人々の辿って来た歴史を重ねて見るのは余りに単純に過ぎるだろうけれど。

    こんな小説を読むと、自分の棲むこの国が良くも悪くも平板な世界に見えてしまって閉口する。もちろん、ここにも格差はあり、非人道的な事は起きているけれど、太平洋の向こう側のひと達が熱狂するようなチェンジもない代わりに、どうしようもない程に付き合い難いこの世でもない。そこそこに自由があり、物は街に溢れ、世界の中でも指折りに電気を使うことができ、そしてこれこそが決定的だと思うが、大っぴらに文句を言うこともできる。気分が高揚しても、構うことなく解放できる。それが、どこでも許される訳ではないことに、ほんの少し思い至るだけで、世界の深さ、そして暗さの度合いがいきなり増し始める。

    居心地の悪さを、決して露悪的になることなく感じつつ、手探りで世界のぬめりと冷たさを感じ取りながら頁を繰る。嘘が、必ずしも愉快ではないこの世をくぐり抜けて行くための方便であることを確認しつつ。あの人の人生やこの人の人生を、白い丈夫な糸で繋ぎ止めつつ。しんしんと降り積もる雪の下に豊穣な大地が眠っているのだと信じつつ。

  • 内容さながら主人公の心の声と毒舌っぷりが面白い。賢い人だからできるウイットに富んだつっこみがたまらん!
    ついついついてしまう思いつきの嘘にこそ憧れ望みがでるのだろうか。
    責められない悲しい嘘もあるということ。けど嘘をついてる本人は悲しいとは思っておらず楽しんでるということ。んー。かなりすき。

  • 「ソーネチカ」が気に入って、新作を読みました。
    面白かった!(^^)!
    女は、本当にどうでもない嘘をつくことがある。
    しかも何の躊躇いもなく、しかもこれといった理由がない時さえある。
    その辺が、女が怖いといわれる原因の一端でもあるのかも。

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