美しい子ども (新潮クレスト・ブックス)

  • 新潮社
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本棚登録 : 297
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105901042

作品紹介・あらすじ

創刊十五周年記念全一〇一篇から選んだ傑作短篇アンソロジー。娘から見た母の人生を描いて、長篇さながらの読後感を残すジュンパ・ラヒリ、孤独で不器用な魂を写しとるミランダ・ジュライ、ユダヤ人を描きながらどこまでも普遍的なネイサン・イングランダー、以上三作のフランク・オコナー国際短篇賞受賞作のほか、マンロー、シュリンク、ウリツカヤなど、クレストから選りすぐった十二篇。

感想・レビュー・書評

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  • 「新潮クレスト・ブックス」は、海外の小説、自伝、エッセイなどを取り上げた、1998年に始まったシリーズである。作品は、編集者でも翻訳者でも、ともかく誰かが惚れ込んだ作品であること、そして、日本では初紹介の作家、或いは紹介されていてもまだ読者にうまく浸透していないことを条件に選ばれており、ほとんどすべてがこのシリーズでしか出会えない作家たち、掘り出し物の作品で、これまでにドイツのベルンハルト・シュリンク、インド系米国人のジュンパ・ラヒリなどのベストセラー作家を生み出してきた。
    私は読書が好きであるが、普段はノンフィクション、エッセイなどを読むことが多く、今般のコロナ禍の中で在宅時間が増えたことから、従前から気になっていたクレスト・ブックスの中からいずれかを読もうと思い、シリーズ創刊15周年を記念して本シリーズの短編集から選ばれたアンソロジーで、シリーズのコンセプトである各国の作家の作品に触れられる本書を手に取った。
    本書に収められた作家は、米国人のアンソニー・ドーア、ジュンパ・ラヒリ、ベトナム系のナム・リー、ロシア人のリュドミラ・ウリツカヤ、米国人のミランダ・ジュライ、ドイツ人のクレメンス・マイヤー、ベルギー人(オランダ語圏)のディミトリ・フェルフルスト、カナダ人のウェルズ・タワー、ユダヤ系米国人のネイサン・イングランダー、ベルンハルト・シュリンク、カナダ人のアリス・マンローと実に多様で、ノーベル文学賞、フランク・オコナー国際短編賞などの受賞作も含まれている。
    が、残念ながら私は、最後まで読み通すことができなかった。なぜか。。。? 上手く説明するのは難しいのだが、いずれの作品も(と言っても半分ほどしか読んでいないが)、フィクションとしては何となく地味で、ノンフィクションと比べると何となく現実感に乏しく、ページをめくるワクワク感が持続しなかったのだ。
    巻末で編者の松家仁之氏は、映画が始まると、隣に座っている夫に、その映画が本当の話かと尋ね、「作り物だ」と聞いたとたんに興味を失って眠ってしまう妻がいるのだが、松島氏だったら本書の作品は「本当の話だ」と答えるだろうと書いているのだが、私はその妻の感性に近いということか。。。
    (自分にとって)面白くない本は無理して読む必要はない、とはいうものの、世界レベルで評価された複数の作品を味わえないというのは、なかなか複雑な心境でもある。時を経て、読み直すことはあるだろうか。。。
    (私は基本的に、ポジティブな印象を持った本以外のレビューは書かないのだが、本書については、今の自分はそのように感じたという記憶のためにも敢えて残すことにした)

  • 松家さんセレクトの短編集。洗練された短編たち。突出した作品は感じられないが、それぞれに感慨のある作品でした。

  • クレストブックス苦手なんですよ。 「あたしってアンニュイだから。。。」って言う雰囲気がして飛び蹴りしたくなるの。でも気になる作家もいて、こういういろんな人寄せ集め短編集借りてみたの。そしたらほとんど読んでた。気になってたインド系のジュンパ・ラヒリ、駄目だった。ベトナム系のナム・リーは下品ですごく好みだった。アンソニー・ドーアは良かった。私上品が駄目なのね。既読の作品のうちで何故この作品を収録したのか?と疑問に思うのもあり、やっぱり一冊まるごと作者の本を読まないことには苦手とか言っちゃ駄目だな。

  • 初読

    「珠玉の短編集」なんてあまりにも手垢がついた表現なのだけど
    どの作品も静かで、好みで、あまりにも良く…
    その「どれも良い」が一冊を通してみると
    何故か退屈なように感じられる、という…不思議な。

    アメリカに住むベンガル人コミュニティの
    「地獄/天国」ジュンパ・ラヒリ

    うら若きマーシャとアンナ教授の詩の授業
    「自然現象」リュドミラ・ウリツカヤ

    エジプトのホロコーストを生き残った教授
    「若い寡婦たちには果物をただで」ネイサン・イングランダー

    の三編が特に印象的。

    後書にある
    記憶は時とともに力を蓄え、痛みをともなう経験でさえ、
    どこか甘やかさを漂わせるようになる。
    彼らが本当に経験したことと、のちの記憶として残ることののあいだに横たわる差異にこそ、物語が胚胎する土壌があるのではないか。

    こそ、私が物語に惹きつけられてやまない理由の一つなのだな

  • 新潮クレスト・ブックス 短編小説ベスト・コレクション
    11人中6人読んだことがあった。
    次になにを読むかの参考になるのでは。

    一番残っているのは、わかりやすい作品で『水泳チーム』かな。
    『自然現象』も2度ともトゲのようなものが残った。自然現象か。。。

    アンソニー・ドーア 非武装地帯
    ジュンパ・ラヒリ 地獄/天国
    ナム・リー エリーゼに会う
    リュドミラ・ウリツカヤ 自然現象
    ミランダ・ジュライ 水泳チーム、階段の男
    クレメンス・マイヤー 老人が動物たちを葬る
    ディミトリ・フェルフルスト 美しい子ども
    ウェルズ・タワー ヒョウ
    ネイサン・イングランダー 若い寡婦たちには果物をただで
    ベルンハルト・シュリンク リューゲン島のヨハン・セバスティアン・バッハ
    アリス・マンロー 女たち

  • 訳がいまいちで、読みづらく、中身もわかりずらかった。

  • ○アンソニー・ドーア(アメリカ)「非武装地帯」・・・すばらしい。家族が崩壊しつつある。遠い朝鮮半島の戦場で、息子は名前も知らない小鳥の声を聴いている。

    ○ジュンパ・ラヒリ(アメリカ)「地獄/天国」・・・非常にすばらしい。母の恋を見守る娘。心理描写がいちいち正しい。

    ○ナム・リー(オーストラリア)「エリーゼに会う」・・・ものすごく良い。妻と娘に捨てられ、愛人に先立たれ、今、その肛門の奥には悪性腫瘍が巣くっている。が、男は孤独ではなく、彼の世界は豊かだ。なぜなら…。

    ○リュドミラ・ウリツカヤ(ロシア)「自然現象」・・・う~む、なるほどね。ひとつの謎だけでできた短編小説。

    ○ミランダ・ジュライ(アメリカ)「水泳チーム 階段の男」・・・これは悲しい。孤独な女性の心を正確に描いていてみずみずしくて素晴らしい。が、オレは男だから、読んでいて…とってもつらいのだ。

    ○クレメンス・マイヤー(東ドイツ)「老人が動物たちを葬る」・・・良い。死を、手で触れるような実体のあるもののように描出している。

    ○ディミトリ・フェルフルスト(ベルギー)「美しい子ども」・・・凄い! ブラヴォー! 不潔で酒飲みで貧乏で能天気で無学でそれでいて美しい! そんな小説にはたまに遭遇するのだが、そんなの書けるのってどんな人…?

    ○ウェルズ・タワー(アメリカ)「ヒョウ」・・・最高。もの凄くスリリングでミステリアス。『かわいい魔女ジニー』の女優はバーバラ・イーデンというらしい。

    ○ネイサン・イングランダー(アメリカ)「free fruit for young widows」 …もはや言葉がない。「決断が招いた結果を、こちら側からあちら側へと翻り、正邪のあいだを揺れ動きながら、お前の頭のなかでお前を追いかける、いつまでも果てしなく続く結果をお前が背負って生きねばならんようなことにはどうかなりませんように」「商売を繁盛させるうもうひとつのルール:客にはつねに立っている姿を見せること。つねに何かしらすることはある――掃除する、積み重ねる、林檎を磨く、客はプライドのある店へ来てくれるのだ。」

    ○ベルンハルト・シュリンク(ドイツ)「リューゲン島のヨハン・セバスティアン・バッハ」・・・しっとり。海と雨と涙と。

  • クレスト・ブックス15周年記念の短篇集。ジュンパ・ラヒリ「地獄/天国」が特に好みでした。

  • 子どもたちを取り巻く環境、母の失恋、父との間に感じる距離感、家庭内の不和などが静かなトーンで語られる。各国の作家による十一の短編集。語り手が主人公を『きみ』と呼ぶ、つまり大人になった『きみ』が子どもの頃の『きみ』に起きた出来事を現在形で語る話が面白い。

  • もりだくさんすぎて、思考が散漫になる。続けて読もう、じゃなくて、それぞれの独立性が高いから、もう一度読み直そう、今度はこれがいいな、そういう感じ。
    でも、それが短編のおもしろさか。
    今回の印象に残ったのは、ジュンパ・ラヒリ。

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