突然ノックの音が (新潮クレスト・ブックス)

制作 : Etgar Keret  母袋 夏生 
  • 新潮社 (2015年2月27日発売)
3.62
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  • 本棚登録 :218
  • レビュー :21
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105901165

作品紹介

イスラエルを代表する人気作家による驚きと切なさとウィットに満ちた38篇。人の言葉をしゃべる金魚。疲れ果てた神様の本音。ままならぬセックスと愛犬の失踪。噓つき男が受けた報い。チーズ抜きのチーズバーガー。そして突然のテロ――。軽やかなユーモアと鋭い人間観察、そこはかとない悲しみが同居する、個性あふれる掌篇集。映画監督としても活躍する著者による、フランク・オコナー賞最終候補作。

突然ノックの音が (新潮クレスト・ブックス)の感想・レビュー・書評

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  • H30/2/21

  •  38編からなる短編集。
     面白い作品はもうとことん面白く、読み終ったあとに「うーん」と思わず唸り声をあげてしまうのだが、つまらない作品はどこをどう楽しんでよいのか皆目見当がつかないくらいにつまらない。
     それでも面白い作品のその「面白さ」がつまらない作品のその「つまらなさ」を大きく凌駕しているので、全体としては非常に面白い作品集だと思う。
     本書のタイトルや、ひとつひとつの作品の短さから星新一のショート・ショート的な作品を思い浮かべる方もいるかと思うが、そう思い込んで読み始めると肩すかしを食らう。
     それと、本の帯に記されている内容と本書の内容にかなり食い違いがあるように思える。
     本の帯には「こみ上げる笑いとそこはかとない悲しみ」とあり、確かにそのような作品も含まれてはいるが、どちらかというとシリアスでヘヴィーな内容が多くを占めているように思える。
     少なくとも気軽な気持ちで読み始めると辛い目に会うように思える。
     それと同じく帯にある「これって本当にイスラエルの作家が書いたんだろうか? 私のよく知っている誰かじゃなくて」とあるが、これも相当に違う表現のように思える。
     少なくとも僕の知っている誰かはここにはいないし、イスラエルの作家でなければ書けない、あるいは書けても説得力のない凡作に終わってしまうような作品で溢れているように思える。
     前出のように、つまらない作品が(少なくとも僕にとってつまらないという意味)が割と多く収められているので、手放しで面白い本とは言えないのだけれど、本書に出会えたことは、幸せだったと思う。

  • イスラエル作家の短編集は初めて読みました。
    イスラエル作家らしく、様々な人種が登場します。
    非日常的な奇想やユーモアに富んだ話が多かったです。
    そんな中に普通に自爆テロが出てきたりもする。
    ああ、イスラエルの作家さんなんだなと思いました。

  • さりげなく始まって、とんでもない展開をみせて、あっという間に去っていく。
    まさしくそんな短編集。

  • エッセイ集「あの素晴らしき七年」が良かったので、これは本業の小説の方も読まねば、と思って手にとりました。
    どれも短いので、まったくエネルギーを使わずにするすると読めますが、その多くは読んだそばから忘れていき、心に残らないものが多かったです。
    というわけで、「あの素晴らしき七年」の方がだんぜん好きです。

    「七年」同様、死とか戦争というものが日常にあるということが文章のあちこちに意図せず出てきていて(意図して言及されているのかもしれませんが)、読んでいて、ときどきどうしようもない思いにかられました。途方に暮れるという感じが近いかな。
    日本の小説などで「死」や「病気」がラストに用意されていると、なんとなく「安易だなぁ」なんてしらけてしまったりすることがありますが、同じフィクションの中の「死」なのに、自分の受け取り方がケレットの作品を前にすると全然違っていて、いろんな意味で複雑な思いがします。

    一番好きなのは、「喪の食事」。
    「金魚」「グアバ」「カプセルトイ」「どんな動物?」「青あざ」も好きです。
    あとはあまり記憶にないです。

  • ヘブライ語文学。ネイサン・イングランダーの「アンネ・フランクについて…」のヘブライ語訳も手掛けたというから、現代のイスラエルに欠かせない作家のように思う。
    短い作品は2ページ、どれも短めの短編が並ぶ。表題作ではドアを開けると銃を突きつけられ、自爆テロがあり、ユダヤとアラブの対立がある。多国籍他民族の市民、ユダヤやイスラムの宗教、差別、戦争、テロ…現代的な問題を抱えたイスラエルを見つめるが、根底に流れる作者の目線はユーモラスで暖かい。
    「嘘の国」が好きだ。休んだりサボったりする言い訳をする時に病気や怪我をさせた架空の親戚やペットに再開する国。主人公は彼らを傷つけた事を反省し、「いい嘘」だけつこうと考える。「しあわせな嘘、太陽が燦々とさす、花と光に満ちあふれた嘘」。暴力や死に向き合うリアルワールドにあって、ケレットは「いいフィクション」を描こうとしているようにみえる。

  • 作品の出来はまちまちで、もっと厳選して薄くしても(安くしても)いいのでは、とは思ったがかなり素晴らしい作品もたくさんあった。
    「嘘の国」「健康的な朝」「カプセルトイ」「金魚」「喪の食事」「 グアバ」等。
    著者はイスラエルに住むユダヤ人だが、ユダヤ教を信じている訳ではない。しかしユダヤ教的なものは体に刻み込まれているし、自爆テロなどのイスラエル・パレスチナ問題も日常にある。
    こういう作家がこれから新しいイスラエルを作っていくかもしれないと、希望を感じた。

  • イスラエルの作家、本当に短い短編集。
    様々なスタイルの小説、サクサク読めます。おかげで、ついつい後回しにしてしまい、読了までに間が空いてしまった。
    一つ一つが意表をついていながら、うなずけるストーリー。良かった!

  • 星新一のショートショートみたいな、巧みな語り口、摩訶不思議な展開で呆れた結末を用意する。で、やはり数ある短編の中でおもしろいのは短編の中でもごく短いものが多い。ちょっと長めのものは捻りが効かず苦しい。傷つける嘘から優しい嘘への移行する『嘘の国』などがいいな。この手の語り口はアイザック・シンガーに似ているかもしれないが、現代イスラエルの空気が色濃く、旧ソ連圏からの移住者や自爆テロやユダヤ教の食事制限の話題もふんだんに登場。それと家父長的な社会ではなくてかなり子どもに甘い育メンパパという感じが全編に漂う。

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