憂鬱な10か月 (新潮クレスト・ブックス)

制作 : Ian McEwan  村松 潔 
  • 新潮社
3.61
  • (5)
  • (11)
  • (13)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 171
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105901479

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 胎児の独白?なんだそりゃ、という読み始めの感覚は知らないうちにどっかに行って、ひきこまれて読んだ。皮肉なのに冷たくないという、マキューアン独特の世界。

    生まれるときは誰もが、自分では選びようのない状況下に、無力な状態で投げ込まれる。この世は決して生きていくのにたやすいところではないし、醜いこと、不条理なことが山盛りだ。それでもそこに美や真実があることもまた間違いない。そんな感慨が湧いてくる。

  • 『というわけで、わたしはここにいる、逆さまになって、ある女のなかにいる』という出だしで始まるこの小説の語り手は、もうすぐ生まれる予定の胎児だ。しかしこの胎児は母親の聴いているラジオ番組や外界の音から様々な情報を得て、周囲の人物の様子から世界情勢まで理解しているというとんでもない胎児なのだ。
    彼の両親は不仲で、母親は父親を家から追い出し、父親の弟と不倫関係にあるばかりか、弟と共謀して父親を毒殺してしまう。弟の名はクローディア。正にハムレットである。彼は母親の胎内で色々な事を考え、どうするべきか、どうしたら良いのかを思い悩むが、いかんせん何もできない胎児であることがもどかしい。最終的に、警察に追われそうになった母親と叔父が2人で逃亡する寸前に自らの意思で生まれてきて2人の逃亡を阻止することになる。
    様々な情報を得て、それを分析して考察する明晰な頭脳を持ち、母親、父親、叔父などに愛情や憎しみを感じながらも、自分からは何もできない胎児の視点で物語が進んでいくのが新鮮でとても面白い。

  • 胎児のハムレット!アイデアが秀逸ですごく面白い。子宮の中で乳殺しについて高度に知的に考えをめぐらすが、母親の腹を蹴るくらいしか意思表示ができない。主人公、胎児。

  • 一人称の小説は苦手(町田康は除く)なんだけどこれは面白い。
    母親が見聞きするものから知識を得てる感じなのに母親より賢そうなのはなぜだ?

憂鬱な10か月 (新潮クレスト・ブックス)のその他の作品

憂鬱な10か月 (新潮クレスト・ブックス) Kindle版 憂鬱な10か月 (新潮クレスト・ブックス) イアン・マキューアン

イアン・マキューアンの作品

ツイートする