憂鬱な10か月 (Shinchosha CREST BOOKS)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105901479

作品紹介・あらすじ

わたしは逆さまになって、ある女のなかにいる――。胎児が語る人間たちの世界。誕生の日を待ちながら、母親のお腹のなかにいる「わたし」。その耳に届く、愛の囁き、ラジオの音、そして犯罪の気配――。胎内から窺い知る、まだ見ぬ外の世界。美しい母、詩を愛する父、父の強欲な弟が繰り広げる、まったく新しい『ハムレット』。サスペンスと鋭い洞察、苦い笑いに満ちた、英国の名匠による極上の最新作。

感想・レビュー・書評

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  • 赤ちゃんから見た両親、不倫、社会をややニヒルな目線で書いた作品。
    現代のハムレットなんていうので期待したが、それほどではないかなー。本家の迫力は無いし、訳も分かりづらい。
    でも、赤ちゃんにもし、全てが見えているとしたら…そういう目線では面白い作品だった。

  • 初イアン・マキューアン。これは、ウィットに富んだジョークなのかな?主人公はまだ母親のお腹の中にいる胎児。しかも母の身体をとおしてポッドキャストで世界情勢を嘆いたり、ワインを嗜んだり(しかもものすごく詳しい)、挙句の果てにへその緒で首をつって自殺をはかろうとする。一歳の息子がいる身としてはまさか我が子もなんて思ったり。最後にこの世界に生まれてくる描写は素敵だった。誰もその時のことは覚えてないはずなのに、追体験できるとは。

  • 十月十日とは、よく言ったもので…
    それにしてもこの胎児、喋るしゃべる

  • この小説の主人公はなんと母親のお腹にいる胎児!なんとも斬新な小説ではないだろうか。胎児を宿した両親は別居していて、何やら不穏な様子が見られる。この胎児、ワインが好きでワイン愛好家のような口上を垂れるのだ。

  • どーにも
    面白さを掴み切れず
    だらだらと時間が過ぎ
    読めない

  • 面白い。
    表現が難しい系。

  • 実は見えてたりするんじゃないか、
    胎盤から出てくるときに、スッポリ記憶だけ落とされてくるんじゃないか
    可能性はありそう

  • 「胎児版ハムレット」との触れ込みだったが、肝心のハムレットの内容が朧気だったので新鮮な気持ちで読んだ。ウィットに飛んだ皮肉と度々挿入される詩の一節一節が読んでいて心地いい。必要以上に汚い台所の様子や露骨な性描写(確かに臨月の胎児としてはたまったもんじゃないだろうけど)も含め、全編通して陰湿で意地悪なのに読後感は爽やか。本家「ハムレット」を読んでから再読してみたい。何気に作中にスマートフォンが登場するぐらい発行が新しい小説を読んだのは久しぶりで、けっこう驚いた。

  • 胎児の独白?なんだそりゃ、という読み始めの感覚は知らないうちにどっかに行って、ひきこまれて読んだ。皮肉なのに冷たくないという、マキューアン独特の世界。

    生まれるときは誰もが、自分では選びようのない状況下に、無力な状態で投げ込まれる。この世は決して生きていくのにたやすいところではないし、醜いこと、不条理なことが山盛りだ。それでもそこに美や真実があることもまた間違いない。そんな感慨が湧いてくる。

  • 『というわけで、わたしはここにいる、逆さまになって、ある女のなかにいる』という出だしで始まるこの小説の語り手は、もうすぐ生まれる予定の胎児だ。しかしこの胎児は母親の聴いているラジオ番組や外界の音から様々な情報を得て、周囲の人物の様子から世界情勢まで理解しているというとんでもない胎児なのだ。
    彼の両親は不仲で、母親は父親を家から追い出し、父親の弟と不倫関係にあるばかりか、弟と共謀して父親を毒殺してしまう。弟の名はクローディア。正にハムレットである。彼は母親の胎内で色々な事を考え、どうするべきか、どうしたら良いのかを思い悩むが、いかんせん何もできない胎児であることがもどかしい。最終的に、警察に追われそうになった母親と叔父が2人で逃亡する寸前に自らの意思で生まれてきて2人の逃亡を阻止することになる。
    様々な情報を得て、それを分析して考察する明晰な頭脳を持ち、母親、父親、叔父などに愛情や憎しみを感じながらも、自分からは何もできない胎児の視点で物語が進んでいくのが新鮮でとても面白い。

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著者プロフィール

イアン・マキューアン1948年英国ハンプシャー生まれ。75年デビュー作『最初の恋、最後の儀式』でサマセット・モーム賞受賞後、現代イギリス文学を代表する小説家として不動の地位を保つ。『セメント・ガーデン』『イノセント』、『アムステルダム』『贖罪』『恋するアダム』等邦訳多数。

「2023年 『夢みるピーターの七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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