最初の悪い男 (新潮クレスト・ブックス)

制作 : Miranda July  岸本 佐知子 
  • 新潮社
3.92
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本棚登録 : 375
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105901509

作品紹介・あらすじ

愛するベイビー、いつになったらまたあなたをこの腕に抱けるの? 43歳独身のシェリルは職場の年上男に片思いしながら快適生活を謳歌。運命の赤ん坊との再会を夢みる妄想がちな日々は、衛生観念ゼロ、美人で巨乳で足の臭い上司の娘、クリーが転がりこんできて一変。水と油のふたりの共同生活が臨界点をむかえたとき――。幾重にもからみあった人々の網の目がこの世に紡ぎだした奇跡。待望の初長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 恋愛、幸せ、理想の人生、そういうものを思い描く時、抗い難いほど固定観念に捕らわれていたことを思い知らされた。シェリルの重ねる妄想と行動、やがてそれを一枚づつ捨て去り現実と向き合う。その時に人生は何度も輝くのだ。そこには無駄もなく近道もない。この物語はあらゆる人々に捧ぐ人生賛歌だ。

  • 『彼はぼくこわいよと思うこともできない、「ぼく」ということも知らないのだから』

    このちょっと世間からずれている主人公にミランダ・ジュライを投影しないでいるのはとても難しい。「君とボクの虹色の世界」、「フューチャー」の主人公のその延長線上に(あるいは同じ位置にと言った方がいいか)この本の主人公は位置しているのだから。コケティッシュという表現は最近余りに耳にしないけれど、正にその言葉が真っ先に頭に浮かぶあのミランダ・ジュライの顔を主人公に貼り付けずにはいられない。

    SNSで時々披露される作家自身を写した映像の少々痛い感じ(その言い方は余り好きではないけれど)、それらは主人公の言う所の「システム」を彷彿とさせずにはいられない。例えば車から箱を抱えて降りてきた彼女が転んで箱をぶちまける映像などに感じる「あざとさ」のようなもの、あるいはロンドンのホテルでの怪しげな行動から感じる「迷子の気持ち」のようなもの。それらはシェリルの心の中のつぶやきによって説明可能となるもののように思う。そして漸く、そういうことか、と理解されるものであると感じる。もちろん、その映像は偶然を捉えたものではない。作家の表現の一つである。全て計算されたことであるとは思いつつ、そこにどことなく漂う「よるべなさ」は、作家の個人的な趣向や価値観の根幹を成すものであって、それが作品に滲み出ていると考えた方が自然であると思う。

    ミランダ・ジュライを読み始めた切っ掛けは岸本佐知子であるのは言うまでもない。彼我の差はあれど、自分の中でこの翻訳家はどこかしらミランダ・ジュライと通じ合う「変」さがある。「気になる部分」を読み返してみたらきっとこの作品のシェリルそっくりな逸話が見つかる筈と思う。その翻訳家の趣味嗜好がぎっしり詰まった翻訳私花集「変愛小説集」の二冊目でミランダ・ジュライは強烈な印象を残した。以来翻訳を待てずに読んで来た作家ではあるけれど、この作品は岸本佐知子によるトランスレーションを待たずには消化し切れなかった作品。とてもジェンダー・オリエンテッド(性別志向性とでも言うのか)が高い作品だと感じる。特にセクシュアリティの表現のされ方に、男性目線を模した女性性の主張のようなものを強く感じる。同じ翻訳家の手になるニコルソン・ベーカーのフェルマータが男性性を強く意識させるのとちょうど正反対であるように。その敷居の高さが少しだけミランダ・ジュライを近寄り難くさせる。シリアスな顔のミランダ・ジェニファー・グロッシンガーに初めて出逢った気にさせる。いつもに増して岸本さんの翻訳が光る。

  • 読み終わって、タイトルに唸る。すげーや。

  • ミランダ・ジュライの初めての長編は、意外にも?しっかりした構造を持つ、物語らしい物語だった。ちょっとジョン・アーヴィングの読後感を思い出したりした。

    最初クスクス笑いながら読んで、途中から切なくなってくる。

    『いちばんここに似合う人』とも『あなたを選んでくれるもの』とも全く違うことに挑戦しているのが素晴らしい。

  • 2019/01/18

  • 面白かった。平日にひと晩で読んでしまい、明日は寝不足だ。実はこの人の書く人物のみじめっぷりがあまりに身につまされるので好きではない。しかし、面白くて止まらなかった。

  • 最初から最後まで私には合わなかった

  • 朝井 リョウ(作家)の2018年の3冊。

  • 主人公シェリルの妄想炸裂なところは著者の味が出ていて面白い。イタいながらも幸せになってほしいと願いながら読み進めたのでハラハラドキドキ感がハンパなかった。エピローグは美しすぎて泣けました。ちょっとナマナマしい描写もあるので万人にはオススメしませんが、岸本佐知子さん好きならオススメです!

  • 読み終わって、叫び出しそうになった。
    でも、何に? ー なにかに。
    イタくてアツクて、色んなものが刺さってくるんだけど、
    金色の光のようなものがそこにちゃんとあって、
    私たちはぼろぼろにはならずにいられる。

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著者プロフィール

ミランダ・ジュライ(Miranda July)
1974年、バーモント州バリー生まれのアーティスト、作家、女優、映画監督。本名はミランダ・ジェニファー・グロッシンガー。
バークレーで育ち、16歳から舞台の脚本、監督を務めている。カリフォルニア大学サンタクルーズ校に入学するが2年目に中退、ポートランドに引越してパフォーマンス・アートを始める。1996年に短編映画集製作のプロジェクトを始め、2005年に映画「君とボクの虹色の世界」を監督・主演。非常に高い評価を得る。
2005年から小説の執筆を始めている。代表作に『いちばんここに似合う人』。ほか、『あなたを選んでくれるもの』『最初の悪い男』など。

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