波 (新潮クレスト・ブックス)

  • 新潮社 (2019年1月31日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784105901561

作品紹介・あらすじ

あの日から、私の世界は闇に閉ざされた。津波に家族を奪われた女性の魂の記録。2004年のクリスマスの翌日、スリランカの南岸に滞在中の一家を巨大な津波が襲った。息子たちと夫と両親を失った経済学者の妻は絶望の淵に突き落とされる。家族の記憶に苛まれ、やがてその思い出が再起を支えた――マイケル・オンダーチェ、テジ ュ・コールら絶賛の手記。

感想・レビュー・書評

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  • 2004年のスマトラ島沖地震による津波で、夫と幼い二人の息子、両親を失った女性の回想録。
    装飾のない率直な言葉がまっすぐに向かってくる。ひとつひとつに何を思うでもない、ただ食い入るように読むだけだった。

    最初の半年の記録は、読んでいても感情が湧き上がってこなかった。それは、彼女が現実から身を潜めていたということなのではないかと感じた。
    その後少しずつ、何が起こったのか記憶をなぞりながら、最後に滞在していた場所を訪れ、家族を思い出していく姿に、感情が膨れ上ががってくる。涙が溢れた。

    しかし、たくさんの思い出を読んでいくにつれ、いつの間にか穏やかな気持ちで家族の姿を追っていた。それもきっと、著者の心の表れなのだと思う。
    その思い出たちの鮮やかなこと。その鮮やかさに胸を締め付けられるというよりも、じんわりと沁みてきて、それが救いのような気がしてきた。そうかと思うと不意に気持ちが揺らいだり、複雑な感情が入り混じって定まらない。
    彼らがそこにいるということと、いないという事実が並び立っている。
    本人にしか分からないことだけど、そんな風に感じた。

  • 「ひとりの方が、より近くにいられる。」抜粋

  • ふむ

  • スマトラ島沖地震による津波で家族全員を失った筆者によるノンフィクション。
    災害直後の生々しい告白から、ずっと後まで回復せずに残る喪失感が綴られている。
    メッセージ性よりもセラピーの記録を読んでいるような感じ。静かな筆致で内容に反して読みやすい。

  • 【配架場所】 図・3F開架
    【請求記号】 936||DE
    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/452364

    2004年スリランカを襲ったスマトラ沖で発生した巨大地震にあった経済学者の回想録

  • 人は全てを失ったとき、どうやって立ち直っていくのだろう。
    スマトラ沖地震での大津波で家族を失った著者の手記から、絶望、拒絶、怒り、受容という感情の移り変わりを読者は読み取るはず。

    読み終えたあと、“満月の夕”という阪神大震災、東北大震災と歌い継がえる曲を聴きながら思います。
    どんな苦しみからも私たちははきっと立ち上がることができる。それが人間の強さであり、尊さなのかもしれないと。

  • 22万人もの命を奪ったスマトラ島沖地震により、両親、夫と二人の息子を失った筆者の手記。拒絶と憤怒から、徐々に過去を受け入れ未来に目を向けるまでの、長い長い癒しのプロセスを追体験した。思い出が詰まった実家に戻るまでに三年を要した、という記述に作者の 傷の深さを思い知る。当時高校生だった私にとって、スマトラ島沖地震は人生で初めてその影響を強く意識した自然災害だった。次々とテレビで流れてくる映像にいてもたってもいられず募金活動をしたり。この災害をきっかけに、より世界に目を向けるようになったものの、心が引き摺られるのが怖くてずっと一次情報に触れるを避けてきたけど、15年近く経った今、この本のおかげでようやく一区切りつけることができた。 ちなみに、作者はその後再婚されたそう。ただただ幸せであうことを願うばかり。

  • 津波。死。スマトラ。
    『波』2019.2にて。

  • ★4.5
    2004年クリスマスの翌日、スマトラ沖地震による津波で、夫と2人の息子、両親を失った著者ソナーリ。大切な人たちを一瞬で失った絶望は、どんな言葉を重ねても言い表せない。そして、ただひとり生き残った自分を責め、時に自らを傷つける姿が見ているだけで辛い、辛すぎる。が、始めは家族との思い出を抑え込んでいた彼女が、時の流れとともに現実と向き合い、思い出を慈しめるようになったことがただただ嬉しい。夫との出会い、息子との日常、その全てが微笑ましかった。また、東日本大震災による津波に対する著者の言葉も印象深い。

  • 2004年12月26日の朝、スリランカに帰省していた著者は、突然襲ってきた津波によって夫と幼い息子二人、両親を失う。絶望と混乱の日々を綴る筆致が明晰で余計に苦しい。3年8か月後に著者は初めてロンドンの自宅に足を踏み入れる。夫スティーヴが給食費の支払に切った小切手帳の半券、息子のクリケットバッグに紛れこんだ葉っぱなど、そこには家族のありふれた生活の痕跡が手つかずで残されている。

    “でもためらいながら家の中を漂っていると、ある穏やかさが、引き波のように私を引っ張り、ほんの少し、私を苦悶から引き離す。……この遊び部屋の中で、彼らはこんなにも失われずにいた。”(「2008年、ロンドン」p.93~94)

    津波がなければ、日々の生活の中で忘れ去られてしまうような些細なものを見た時に彼女を襲ったであろう愛おしいという感情と喪失感とを思うと言葉がない。
    しかし、そこから彼女は家族の記憶を呼び戻しはじめる。途方もない悲しみは、時間をかけ彼女の中で愛情と深く溶け合っていく。最終章、著者は2012年のニューヨークにいる。そこで彼女は10代になった息子たちの姿を想像する。それを読んだ時、この手記が長男ヴィクの生きた年数とほぼ同じ時間をかけて生まれたことに思い至り、胸が締めつけられる思いがした(2013)

  • クレストブックスには珍しく、小説ではなく手記。
    彼女はスマトラ沖地震による巨大な津波で、2人の息子、夫、両親を一度に失う。家族、家族の匂い、声、家族と共にいる自分、思い出、なんでもない日々、未来、来ると信じていた今日に続く明日…失ったものはあまりに大きく重く、二度と戻ることは決してないとわかっているので読んでいてつらい。

    でも、長い時間をかけて少しずつ少しずつ、彼女は過酷な現実を受け入れ、思い出と、あったかもしれない未来を取り戻していく。
    思い出や記憶はつらいばかりではなく、彼女を温めてくれる予感が生まれる。

  • ◆亡くした家族を取り戻す [評]いとうせいこう(作家)
    東京新聞:波 ソナーリ・デラニヤガラ著:Chunichi/Tokyo Bookweb(TOKYO Web)
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2019031002000214.html

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    2004年のクリスマスの翌日、スリランカの南岸に滞在中の一家を巨大津波が襲った。息子たちと夫と両親を一度に失った経済学者の妻は絶望の淵に突き落とされる。彼女は心を閉ざすが、その闇に再び灯をともしたのは家族との記憶だった――失意と回復の手記。
    https://www.shinchosha.co.jp/book/590156/

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