モナ・リザのニスを剥ぐ (新潮クレスト・ブックス)

  • 新潮社 (2024年12月18日発売)
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  • 本 ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105901981

作品紹介・あらすじ

美術業界と保存との葛藤を鋭く描き、20以上の賞を受けた衝撃のデビュー作。ルーヴルの至宝を500年前の素顔に戻せ! 古きを愛する学芸員オレリアンは、実利優先のヤリ手新館長ダフネに無茶ぶりされた修復プロジェクトの旅に出る。国家をも巻き込む大騒動の末、姿を現したモナ・リザの本来の顔とは? 視覚情報に溢れたSNS時代に、美とは何か、本物とは何かを問いかける絶品アート小説。

感想・レビュー・書評

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  • なかなかニスを剥がさないw
    剥がしたとて、過程があんまり見えてこず。
    学芸員が主人公で、修復士は脇役なので仕方なかったのか。
    ただ単に、期待していた内容ではなかったのだけど、ラストはちょっと心が沸き立ちました。

    修復というのは奥が深いなぁ…
    修復後のモナリザを見てみたい。

  • 流れゆく時間の痕跡を歴史的事実としてとらえ、そのまま古色の形を保存するのか、作品理解を損ねる酸化変色したニスを剝ぎ作品の美的側面を優先するのか…

    スリリングな対比と、後書きを読んだあとで見る表紙の微笑みに鳥肌!素敵な年始1冊目。

  • ルーヴルの学芸員オレリアンが主人公。最初はノンフィクションかと思う位だった。
    大好きな美術館、何度も目当ての部屋に行けずに迷った記憶が蘇った。

  • L'allègement des vernis, Paul Saint Bris : Mon avis - MademoiselleLit
    https://www.mademoisellelit.com/lallegement-des-vernis-paul-saint-bris-mon-avis/

    Paul Saint Bris - Biographie | lecteurs.com
    https://www.lecteurs.com/auteur/paul-saint-bris/4828831

    『モナ・リザのニスを剥ぐ』 ポール・サン・ブリス、吉田洋之/訳 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/590198/

  • 読んでいて胃が痛くなりそうだった。
    「モナ・リザ」修復の責任者!
    想像するだけで凄まじいプレッシャー!
    軽妙な語り口の物語に、現代におけるアートとは、画家と修復士との関係は、芸術との距離のあり方は、など硬いテーマが上手く絡められている。
    「最もハンサムな」あの人の登場には笑ってしまった。
    一体どうなることかと思いながら読み進めてたどり着いたラストは、思いがけなくもとても良い。
    自動洗浄車でのダンスの場面は見事だったなー!

  • 殆どは充実した至福間でいっぱいになるクレストシリーズ。
    今回は修復士が深く関わっている筋を読み 勝手に想像した展開から外れていく流れに乗れず、今一つだった。
    結構フランス作品は個人的に当たりはずれがあって。。

    筆者の持つ個性に些か不快感を感じたせいだろうけど。

    舞台はルーブル美術館、新館長ダフネは些かビジネス先行タイプ(観光客の出足が減ってきているのは事実だし)
    絵画部門のオルレアンが作品での狂言回し宜しく、自己韜晦気味な語り口が鼻について仕方ない・・ヤな奴。
    「モナ・リザのニスを剥がし、洗浄後除去したらどうか」との提案がなされ、混乱困惑の状況へ。

    3部構成であるし、区切りが細かく、読み易すぎるくらいさらっと進む。

    イタリア人修復士ガエタノ、掃除夫オメロも入った上に、イタリアを巡る蘊蓄がこれでもかというほどにびっしり語られ続く。

    かなり、蘊蓄優先の話が交差し、人間関係も交錯し・・3部に入ると「なんや、これ」という流れにげんなり
    美術とは筆を執って書いた時間で結晶した至宝の宝。後世の者どもがグダグダ、ましてオークションで値をつりあげて、評論家が知ったかぶりに語っても・・全て虚しいっていう感覚ですとん。

    お勧めできない作品だな

  • かの「モナ・リザ」の修復をめぐるストーリー。やり手の館長、不本意ながら修復の手配をすることになるオレリアン、選ばれた変わり者の修復士ガエタノ、そして館内の清掃を請け負っているオメロ。それぞれの姿が交互に描かれ修復計画は進んていく。

    まさかの結末に思わず笑ってしまう。えっ、そんなのあり!との声もあるかもしれないけれども、フィクションなんだし、やっちゃえ!と、私は思いました。

  • 人の作ったものに永遠はない

    家も機械も街そのものも
    だから橋は落ち、道路は陥没する

    芸術品すら例外はない
    そう、私たちがいま鑑賞している絵画や彫刻は、創作時から年月という時間の魔法をかけた状態

    創作時から芸術品なのか時間魔法をかけたから芸術品なのか……

    名画鑑賞には必ず評判というバイアスがかかっている。これも魔法のうちか……

    クレストブックスにしては珍しく読むのに苦労した。多分この気分じゃ無かったのだろう。

  • ルーヴル美術館を舞台にした物語で、新館長ダフネが【モナ・リザ修復計画】を提案し、絵画部門長オレリアンがその行方を見守るという筋書き。
    芸術と保存、修復師の在り方について考えさせられる良書。
    「ルーヴルなんてほっといても人が来るだろう」と思っていたけれど、本書で、日本人の客足も離れているし――と指摘されるのを見て、ハッとした。
    確かに、今の日本でどれだけの人がモナ・リザのためにルーヴルへ向かえるのだろう?
    盲点を突かれると、読書の面白さを改めて実感する。
    モナ・リザは重ね塗られたニスによって、もとの鮮やかな色を失ってしまったのだそう。
    「古色は流れゆく時間の痕跡」という本文中の表現が印象に残った。
    私が知っているモナ・リザも、黄ばんでいて、ぼんやりとした姿だ。
    あれがモナ・リザだと思っている私を含めた多くの人たちは、あのモナ・リザが消え失せ、鮮やかなモナ・リザが現れたとき、どんな想いになるのだろう?
    なんとなく喪失感を覚えそうな気もする。
    でも、うーん真の姿にも興味がある……。
    答えの出ない問題だ。

  • エンターテイメント性を持つ純文学。知的好奇心もアートへの感受性も満たされ、なおかつ、作者の客観的でシニカルな社会情勢への言及も面白い。結末に大満足。

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