大人のための偉人伝 (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106003646

作品紹介・あらすじ

面白くてためになるものといえば、まずなによりも偉人と呼ばれる人たちの物語である。これを子供たちに独占させておく手はない。子供にとっての模範は大人にとっても模範となるはずである。世のため、人のために尽した偉人たちから学ぶべきは、むしろ大人のほうである。偉人伝を読んで感動したり、発奮したり、あるいは忘れ去った幼い日の夢と理想を思いおこしてみたりするのもときには必要なことではなかろうか。

感想・レビュー・書評

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  • 偉人伝、読みたいけれど、何を読んでいいのかわからない。

    そんな状態が数年続いてました。

    ようやく出逢った1冊って感じです♪



    <シュワイツァー>

    偉人とは何か。

    偉人の第一条件は、人のために奉仕するという献身的行動。

    我欲を捨て、他人のために尽くすことを無上の幸福と感じるところに偉人の共通点がある。



    すべての偉人は理想主義者であり、同時に、実践の人である。

    偉人が世に知られるのは、その理想のゆえではなく、その実践的行動のゆえである。



    偉人はその時代や社会のなかで生きた人間である。

    仙人は偉人にはなれない。



    凡人であれ、偉人であれ、人生とは、結局のところ、自分が置かれた状況のなかで創意工夫をこらすことに他ならない。




    シュワイツァーといえども、常に聖人であったわけではない。



    与えるだけでなく、何か得るものがあってこそ、満足感が得られる。どんなものであれ、満足感のない仕事には打ち込めないものだ。



    すべての生命は神聖なものであって、その神秘的な価値をあるがままに認めること、つまり、生命への畏敬こそ、倫理のみならず文化の根底になければならない。




    シュワイツァーが後世にのこしたもっとも大きなものは、偉人と凡人の違いを超えて聴く耳のあるものには強く訴えかけてやまない精神的なもの、つまり、理想主義というメッセージである。

    シュワイツァーは言っている。

    「人間のうちには表面に現れるよりはるかに多くの理想的意欲が存することを私はかたく信ずる。地下に流れる水は目に見える流れより多いように、人間が心の中に秘めている、あるいは、わずかに解放している理想主義は、世にあらわれたものより、はるかに多いのである。つながれたものを解き放つこと、底を流れる水を地上に導くこと、この一事を成就すべき人間を人類は待ち焦がれているのだ」


    彼の生涯は、理想に燃えて他人に奉仕するところにこそ、人間の本当の幸福があることを物語っているのである。




    <ヘレン・ケラー>

    人間の限りない力と生きることのすばらしさを、ヘレン・ケラーの生涯ほど実感させるものはない。

    反復と努力こそ、凡人が自らを高めるためになしうる唯一のこと。

    「私たちにとってもっとも恐ろしい敵は不遇ではなく、私たち自身のためらいであります。自分でこんな人間だと思っていると、それだけの人間にしかなれません」

    「明日は視力がなくなるかもしれないという気持ちで、あなたがたの目を有効にお使いください」


    <リンカーン>

    「わしの政策は政策のないことだ」

    デモクラシーとは支配者が民衆によって動かされることである。

    「復讐しない政治」=「敵を味方につけることが、敵を破ること」



    <ガンジー>

    「1人の人間に可能なことは、万人に可能である」

    平凡に徹したところに、ガンジーの偉大さがある。

    「怒りから迷妄が生まれ、迷妄から判断力の混乱が起こる。判断力の混乱によって理性の喪失があり、理性の喪失によって人は滅びる」 バガヴァット・ギーター

    「人は非暴力によってのみ、暴力から脱出しなければならない。憎悪は愛によってのみ克服される。憎悪に対するに憎しみをもってすることは、ただゾ憎悪を深める」

    断食とは自己浄化。

    生徒が罪を犯したのは、自分自身に何か悪いところがあったから。
    生徒の罪を取り除くには、まず自分の中からそれを取り払わなければならない。

    世の悪のすべてに対して自分は責任がある。

    「自由への第一条件は恐怖から自らを解放することだ」

    「文明の本義は、需要を増やすことではなく、慎重かつ果敢に、欲望を削減するところにある」

    現代においては時代錯誤や人間錯誤を通してしか、世界の平和や心の平和は得られない。



    <ナイチンゲール>

    気も狂わんばかりの長い苦悩と苦闘の果てに、はじめて人間は一人前になる。

    仕事が人間を強くし、仕事が人間から力を引き出す。

    偉人と凡人を分かつもの。それは危機の意識の有無。

    「看護婦の最上の働きは、まさに、患者に看護の働きをほとんど気付かせないことであり、ただ患者が要求するものが何もないと気付くに至ったときだけ、患者に看護婦の存在に気付かせることなのである」

    病人を病院に送り込むことによって、われわれは病人の看護を通して得られるはずの幸福感を失っていることになるのではなかろうか。



    <キュリー夫人>

    ものを学ぶということにこそ、健全な人間のしるしがあり、人間は生涯にわたって学び続けざるを得ないような生き物である。

    「人生の最大の報酬は知的活動によって得られる」

    ものを学ぶと言うゆるぎない中心軸によって一人の人間を自立させること、それが教育。

    現在の学校は、勉学心よりもむしろ競争心を育む学校になっている。

    科学は人類に幸福と同時に害悪をもたらすものである。



    <エジソン>

    「天才とは99パーセントの努力と1パーセントの霊感です」

    「休むことはさびることだ」

    周囲からの信頼と多少は過剰な期待こそ、人間の能力を引き出す強力な磁力となる。

    学校教育が十数年かけてもなかなかなしとげられないこようなこと、つまり、生涯にわたって自分で学び続ける力を育てることに、エジソンの母親は成功した。

    過ぎ去った時間の中の自己を単なる空しい思い出にしない。

    あてもなく過ぎてきたように思える過去の時間を現在の光の中で意味あるものとしてよみがえらせることができたとき、おそらく人間は完全に巣立ちし、一人前になったと言えるのではないか。

    報われない努力にどう対処するかと言うところにこそ、その人間の素顔が現れる。

    便利や能率がいつも受け入れられるとは限らない。

    いつの時代にも、大多数の人々は古いものを大事に守って、新しいものにはなかなか飛びつこうとしないもの。
    人間の本質は保守的なものであって、たえず新奇なものを捜し求めているはずの発明家も、この「本質」をまぬかれることはできない。

    「ものごとを明らかにする最善の策は、勤勉に仕事をして、時間をかけてすべてを試してみることだ」

    「神は与えた問題には必ずその解答を用意している」

    仕事に熱中できること、そして、そういう仕事を持つことができると言うことこそ、人間にとって望みうる最大の幸福ではなかろうか。

    「私は発明を続ける金を手に入れるために、発明をしているのだ」

    「仕事こそ、人生を楽しむ最上の方法である」



    <カーネギー>

    蓄財を生涯最大の目的と思い込み、そのために小学生でも心得ているはずのまともな生き方やものの考え方をすっかり忘れ果てた大人たちの狂態が現在の日本では目に余るように思われる。

    「長い目で見るとき、的確な判断にまさるものはない。株式市場のめまぐるしさに惑わされている人は、健全な判断力を失い、酒に酔ったのと同じ状態になる」

    「働く人たちに高給を支払うことはよい投資であって、また本当の意味で高率の配当を生むものだ」

    「汝の良心の声のみを恐れ、それに従え」 ロバート・バーンズ

    「人間は理想とする目標を持たねばならぬ。金儲けは最悪の目標である。富の崇拝ほど悪しき偶像崇拝はない」

    「私は35歳になったら仕事から身を引きたい。その後2年間は、教育を受け、徹底的に本を読むと言う生活を送りたい」

    「金持ちのまま死ぬのは恥ずべき死に方だ」

    「過去の野蛮な時代の英雄と言えば、同胞である人間を傷つけ、殺すような行為をした。文明社会の今日では、真の英雄は同胞に奉仕し、彼らを救う人たちなのである」

    善を成すには富を必要としない。



    <野口英世>

    野心とは未来への挑戦であり、生きんとする意志のあらわれにほかならない。



    <二宮尊徳>

    彼はほとんど百姓仕事と言うものを行っていない。
    小田原の商家や武家に奉公して給金を貯めて田畑を買い入れると、自分で耕すのではなく、すべて小作に出していた。
    一方では小金を百姓に貸しつけ、返済不能になると借金のかたとして田畑を取り入れ、所有地を広げていった。

    彼にとっては、土地よりも現金のほうが価値があった。

    五常講のシステムは、無利息、分割返済、冥加金の支払い
    冥加金が利息にあたり、利息の後払いということになるが、システム全体に道徳的な意味合いを与えようとしたところに、彼の新しさがあった。
    五常講に参加するには、仁義礼智信という5つの徳目を守る誓いをたてねばならなかった。
    余罪のある人が困窮者に貸し付けるのが仁、正しく返済するのが義、返済後、恩義に謝すべく冥加金を差し出すのが礼、余罪をいかにして生み、また、いかにして借財を迅速確実に返済するかを工夫、努力するのが智、そして、約束の厳守が信である。
    徳目の遵守に加えて、彼は、だれかが返済不能になった場合、他のものがかわりに分割して支払うという連帯責任性を取り入れた。

    凶作は天災であるが、飢饉は人災。凶作であっても、備えがあれば飢えることはない。
    「天災は忘れた頃にやってくる」のではなく、「人災は忘れた頃にやってくる」のである。

    復興事業とは要するに、投下した資金をいかにして運用するかと言う問題に他ならない。

    スピノザは「永遠の相のもとで全てを見よ」といった。
    二宮尊徳なら「徳の相のもとで全てを見よ」というだろう。
    「欲の相のもとで全てを見ている」のがわれわれである。

    「世の人はだれも、成人は無欲と思っているが、そうではない。実は大欲があって、いちばん欲深い。賢人はこれに次ぎ、君子がその次で、凡夫のごときはもっとも小欲である。学問とは、この小欲を大欲に導く術のことである。大欲とは何かといえば、万民の衣食住を充足させ、人身に大福を集めることを欲することである」

  • リンカーン

    自分を持たず、人の話を聞き、open-mindに反応し、(奴隷解放がもつ求心力を利用する)シンプルな戦略は用い、南北戦争の狂気の中で常にごく普通の正気を保ち、そうあるべきことをその通りにした。陥りがちな"悪くてずるい政治家"にならず、粛々と人々の声を聞き、真正直に、やるべきことをその通りにやった。


    歩哨で徹夜したらそりゃ居眠りするから死刑とかおかしいでしょ
    →恩赦の理由を軍法会議ログから探しすぎてむしろ軍旗乱れる。

    南軍も捕虜釈放、深追いしない指令。
    「敵を味方にするのが、敵を破ることだ」

    いやほんとそれ。それしかない。


  • 普通の伝記では扱わない裏話的なものもあって面白かった。続編の方は、マニアックな人選で自分的にはイマイチだった。

  • 伝記を読みたいけど、
    いったい、何を読んでいいのかわからなかった自分にまとめてパッケージで紹介してくれた本。
    シュワイツァー、ヘレン・ケラー、リンカーン、ガンジー、ナイチンゲール、
    キュリー夫人、エジソン、カーネギー、野口英世、二宮尊徳、
    という、
    まさに全然適当な幅広すぎる人選。
    そして、
    紹介もヨイショというより、半分批判してしまっているような素直な感想で、楽しく読めました。
    この本で紹介されいる人物で、もっとつめて知りたい人物については他でしっかり調べ、読んでみようという気になりました。

    他にもどんどん同じような内容で、
    いろいろ紹介してもらえたら嬉しいです。

  • 偉人を元ネタにして萌えキャラを考えればいいと思う

  • 今の子供達は偉人伝なぞ読むのだろうか?
    自分が子供の頃は偉人伝が嫌いでした。
    今あらためて偉人と称ばれる人々の
    足跡をたどるととても勇気付けられます。
    注意すべき点は自分の不甲斐なさに
    凹んでしまうことです。

  • 2010.11月購入

  • 子供向けの偉人伝は、子供の知性や感受性におさめるために、偉人の生涯や仕事を無理やり小さな器に押し込んでいる。大人にこそ、偉人伝から学ぶことがたくさんある。

    エジソンが発明を社会に売り込むセールスマンとしての努力に創造的な喜びを感じていたこと、野口英世が巧みな弁術で周囲の支援を獲得するような人物だったこと、二宮尊徳が積小為大の精神や、金を貸して利息を稼ぐような行為をしていたことなど、あまり知られていない面を学ぶこともできた。

    取り上げている人物:シュワイツァー、ヘレン・ケラー、リンカーン、ガンジー、ナイチンゲール、キュリー夫人、エジソン、カーネギー、野口英世、二宮尊徳

    ・エジソンは、なにごとにも好奇心を抱き、自分で試さずにはいられない性質を理解してもらった母親から、科学実験の本を与えられ、いたずらではなく学問的な方向へ誘導された。
    ・エジソンは耳が聞えなくなったことを、雑音に煩わされることなく自分に集中できるようになったという利点をあげ、無形の宝物とさえ呼んだ。
    ・カーネギーは、有望な投資対象を選定するかのような姿勢で資産を慈善事業に投入した。

  • はじめてその自伝を手にとり、最初の数ページを読むや、いままでなぜこの本を知らずに過ごしてきたのかという強い自責と後悔の年に襲われるのをおぼえたものだった。
    ヘレン・ケラー「わたしの生涯」(岩橋武夫訳・角川文庫)

    「アイデンティティ」の確立とは、要するに、「自分の仕事」を持つことであって、「青春」とはそのための助走なのである。

    すべてのものは本来、自他の対立をこえて調和しているものであり、対立するものがあってこそ調和がある

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