闘牛はなぜ殺されるか (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
3.33
  • (0)
  • (2)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 15
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106005510

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 借りたもの。
    読みやすく、内容が充実している。
    闘牛という生と死の遊戯、牡牛を殺す事が目的ではなく、それに至る闘牛士と牡牛の駆け引きが大きなテーマである事を指摘。
    18世紀までの庶民や屠殺に関わる人々の憂さ晴らしから、洗練されていった歴史も言及。
    時代とともに、闘牛士にも男性的、野性的な部分だけでなく教養が求められたり、アイドルのようになったりとその変容も挙げている。
    そして現在、女闘牛士の存在についても。
    闘牛士たちの歴史から現代(~1997)までの活躍を、インタビューや同行取材を交えて記している。それゆえのリアルさ。その中には日本人初の闘牛士・下山敦弘氏についても。
    この本には全編を通して、パキリ(フランシスコ・リベーラ・ペレス)の死が大きく共鳴している。
    それを足掛りに、闘牛における生と死という巨大なテーマが、文学(詩人ロルカ)や絵画(ゴヤ、ピカソ)に影響を与えた事を指摘してゆく。
    牛の種類や、闘牛の種類についてなど、統計データも掲載されている。

    闘牛と捕鯨を比較するのは、時代故か、売り言葉に買い言葉なのか……しかし、闘牛批判と捕鯨批判が、動物愛護から来ている事は確かだ。

    この本、えすとえむ『Golondrina-ゴロンドリーナ-』(http://booklog.jp/item/1/4091885756)に影響を与えた本ではないかと想像する。
    著者自身も闘牛のファンとはいえ、闘牛士の死(フランチェスコ)や、女闘牛士(サンチェス)など……気にしすぎか?

著者プロフィール

佐伯 泰英(さえき やすひで)
1942年福岡県北九州市八幡西区生まれの小説家、写真家。日本大学藝術学部映画学科卒。当初は冒険小説や国際謀略小説を中心としたミステリー小説を執筆していたがヒットに恵まれず、編集者からの勧告に従って時代小説家に転身。初の書き下ろし時代小説『瑠璃の寺』がヒットし、以後作家活動は軌道に乗っていった。
代表作として、『陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜』のタイトルでドラマ化された『居眠り磐音 江戸双紙』シリーズ、『吉原裏同心』シリーズなど。

佐伯泰英の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×