英語教師 夏目漱石 (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106005862

作品紹介・あらすじ

子どもの頃、英語嫌いだった漱石は、いかに学び、どう教えるようになったのか。漱石が作った入試問題、漱石の授業参観、実践した授業方法、教え子との交流などを織り込みながら、その現代にも通じる英語教育論を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 夏目漱石というと、偏屈だとか神経衰弱だとか、どちらかというとマイナスなイメージを連想するが、相当の英語力の持ち主であり、本人は「資質に欠ける」と思っていたらしい教師としても、生徒に対する誠実さという点でとても信頼できる人物だったのだということがよくわかる。

    百年も前だったというのに、未だに漱石の考えた英語教育というものが、現代でも理想とはされつつ、なかなかそこまで辿りつけないでいる教育論だというのが情けないよね。

  •  英語の勉強のモチベーションになればと思い読みました。結論、やはり英語の勉強のモチベーションになりそうです。激動期である明治時代の人々の勉強には頭が上がりません。学ばなければ国家が滅びるとまでは言いませんが、それに近い気概で勉強しているように感じます。

     夏目漱石は、英語はコミュニケーションや、更に多くのこと学ぶための手段として考えており、英文をただ和訳するだけのような英語教育には否定的だったようです。ただ私が中学、高校、大学を受けてきた英語の授業はそういうものが中心だったと思います。中学生から大学生まで英語の勉強をして、TOEICは800点取得しておりますが、SpeakingやListening等のいわゆる実践英語は大人になってから学習しています。学校教育では完全に受験英語の勉強をしていました。夏目漱石が日本の英語教育に対してもっと影響力を発揮できていたら、日本の英語教育は今とは少し変わったのでしょうか。

     夏目漱石の英語力の高さを確認するために、英語に精通した東大生の作った英作文と夏目漱石が書いた英作文の比較は、単純な興味はもちろんですが、偉人となると過去に書いた英作文まで取り上げられることになるのかと(まして文法の誤りまで)、おかしく思う面もあり面白かったです。

     英語教師としての夏目漱石の人間像を知り、坊っちゃんをはじめとした夏目漱石の小説をまた読みたくなりました。そして夏目漱石を見習って英語学習を確りと進めたいと思います。

  • 夏目漱石という人をまぁぶっちゃけよく知らんのだけど、英語という観点からなにげに詳しく説明してくれている。人となりもなかなかに面白くて、大体において昔の作家は自堕落だったり生活感に欠けるイメージだけど、ちゃんとしてるしやりおる。
    というわけで、英語の問題とか詳しく説明されたりして、英語の勉強でもすっかーって気にさせる本。

  • 読みやすかった。

  • なかなか興味深かった。
    第1章で漱石の学生時代の英作文と同じ題を現役の東大生2人(英検一級と準一級)に与えて、3人の答案を比較したりしているのも面白い試み。
    そして、漱石の英語力の高さに驚かされる。今のようにCDのような音声教材はもちろんのこと英語に触れようと思えばいくらでも触れられるような時代とは違う、明治時代にこれだけの英語力をつけた勉強量は並大抵のものではなかっただろう。
    そして、その後に続く漱石の英語教育論や実際の授業の様子、漱石の作った試験問題なども興味深い。

  • 夏目漱石の人物についてほとんど知らない人には向いていない。年代は整理されていないし、他の本の引用の仕方も不親切。

    人物や人生についてある程度知って、その上で英語とのかかわりをピンポイントに知りたい時に読めば楽しいだろうし、想定読者(そんなの筆者が想定しているかどうかは相当疑問だが、それはそれとして)はその層だろう。

  • 素晴らしく面白かった。

  • 「夏目漱石は私だ!」と思わず言いたくなるような英語教師はけっこう多いかもかも知れない。 英語ができても、視野が広がり考えが深まるほどに悩みや迷いは尽きない。 夏目漱石には今の「英語教育ビジネス」がどう映るのだろう。

  • 夏目漱石の英語学習履歴から英語教師履歴までを追う。
    最初は英語嫌いであった夏目漱石が
    あらゆる学校大学の生徒の尊敬の念を集めたのには
    圧倒的英語力が背景に存在した。
    イギリス留学前に相当の英語力を手にした漱石が
    教師としても推薦する勉強方法は多読。
    当時の漱石の成績表や漱石自筆の試験問題まで見ることができる。
    漱石が作る試験問題は現代とは出題形式が違うところもあるものの
    単語や熟語を問うものから文学作品の批判まであり、
    どれも難しいように見えた。
    教師としての夏目漱石は優しかったとか、怖かったというイメージはあるものの
    みな英語がとてもできる先生という印象を抱いている。
    そして漱石自身がとても生徒思いであり、
    自宅に生徒を招いたり、昔の生徒の就職の斡旋をしたりもしていた。
    自分は教師に向いていないと思いながらも、
    一度引き受けたからには常に英語教育について考え、
    学生生徒の英語力を伸ばそうと努力していたことがうかがい知れる。

  • 教師としての夏目漱石の魅力たっぷり!

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