歴史を考えるヒント (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106005978

作品紹介・あらすじ

関東、関西、手形、切手、自由、自然などの言葉を通して、「多様な日本社会」の歴史と文化をわかりやすく語ります。

感想・レビュー・書評

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  • ☆2001年発行 2004年筆者死去

    国名が決まった時期→浄御原令(きよみはらりょう) 689年天武天皇

    土産(みやげ・土の字→その国の、その土地のという意味あり)

    神奈川の大学で講義 同和問題 関東出身の学生は童話と勘違い
    地域による実態の違い ケガレ・清め

    商業用語 小切手、手形、為替…→中世から古代にまで遡る

    中央自動車道談合坂 相談事が行われた神聖な場所の意・神の前で共食しながら神に互いの約束を誓う・商業取引において当然のこと

  • 学校で習った日本史からより深く学びたい人におすすめしたい一冊。

    日常の言葉に隠された歴史、日本の国名や地名の由来、関東と関西の相違点など、身近な視点から歴史を解説してくれるので、誰でも読みやすい内容になっている。

    この本で一番の読みどころは百姓の多様性について書いてあるところだろう。百姓=農民というのは単純化のしすぎで、百姓には、漁民、商人、林業や塩業の従事者などあらゆる人々がいたということである。

    学校で習うようなありきたりな歴史観が隠しがちな事象に光を当ててくれるので、読めば確かに「歴史を考えるヒント」になるだろう。

  • 姫路大学附属図書館の蔵書を確認する→
    http://library.koutoku.ac.jp/CARINOPACLINK.HTM?IS=9784106005978

  • ・選書としては一番有名な本(たぶん)。
    ・新潮文庫版(2012年)には與那覇潤の解説が付されている。
    https://www.shinchosha.co.jp/sp/book/135661/


    【目次】
    I 「日本」という国名
    歴史と言葉/国名が決まった時/倭人と日本人/日出づるところ

    II 列島の多様な地域
    日本国の範囲/すべての帝国は道を作る/日本は孤立した島国ではない/平将門の新国家

    III 地域名の誕生
    「関東」と「関西」/自立していく九州/広域的地名と神仏/気づかれていない地域意識

    IV 「普通の人々」の呼称
    「人民」と「国民」/手垢にまみれない言葉/柳田学と渋沢学/納税の義務を負う「平民」/「土」が意味するもの

    V 誤解された「百姓」
    「ひゃくしょう」と「ひゃくせい」/さまざまな生業の「百姓」/多様な人々を指す言葉/一変した江戸時代像/誤解は江戸時代から/「農」の陰に隠れたもの/農本主義と重商主義/貧困な歴史学の用語

    VI 不自由民と職能民
    古代・中世の不自由民/「奉公人」の出現/博奕の道、好色の道/聖なるものの直属民

    VII 被差別民の呼称
    差別意識の東と西/ケガレにどう対処するか/伝染するケガレ/ケガレのキヨメ/非人・放免という職能民/死とのかかわり方/ケガレから汚穢へ/差別される人々/今後の課題

    VIII 商業用語について
    商業取引の高度な伝統/市はどこに立てられたか/「手形」と「切符」の誕生/「手」は何を意味するか/聖なる金融から、俗なる金融へ/「接待」と「談合」の歴史

    IX 日常用語の中から
    誰のものでもない「落とし物」/神の意思を集約した「落書」/土の中は異界だった/「募る」の三つの意味/「がいな」と「あたん」/中世における「自由」とは/失われた日本語の豊かさ

    X あとがき

  • 網野史観で有名な網野氏の歴史と
    言葉を考える内容の本。
    有名な百姓という言葉や、日本・関東・関西・
    切手・落とす・自由・・・などの言葉の解釈が
    現代と古代・近世との意味の違いがあること。
    その違いを大事にして歴史をみる必要があること
    が語られている。

  • 「百姓」のイメージの話は前々から聞いてはいたけど、
    改めて読ませていただくと勉強になる。
    歴史を叙述するのに、言葉の意味を考えることが大切という文脈はとても頷ける。
    歴史だけじゃないよね。言葉は伝わってこそのものです。

  • (2001.02.14読了)(波・連載)
    (「MARC」データベースより)amazon
    普段何気なく使っている言葉に意外なほど長い歴史がこめられ、深い意味のある例は少なくない。関東、関西、手形、切手、自由、自然などの言葉を通して、「多様な日本社会」の歴史と文化をわかりやすく語る。『波』連載を編集。

  • 土産の土は、その土地のという意味
    切手の手は、交換の意味が
    自然には、じねんと読み、万が一という意味もあったなど、言葉の意味から日本の当時の状景を語った興味深い本
    2012.12.9読了

  • 「日本」という国名が決まったのは、浄御原令(きよみはらりょう;天武天皇が編纂を開始し、死後その皇后の持統が施行)という法令が施行された689年とされている。大宝律令が制定された701年の翌年、中国大陸に到着した遣唐使の粟田真人が当時の周の皇帝・則天武后(女帝で、国号を唐から周に変えた)に対して、「日本」の使いであると述べたのが最初と言われている。
    「倭」→「日本」

  • 孤立した島国、日本。って刷り込まれてきたが、地図を上下逆さまにした「環日本海諸国図」をみると、日本海は湖みたいなもんで列島はまるでアジア大陸南北の架け橋のよう。大陸からの人とモノの流入はそりゃ凄かったんだろうし、東西でルーツも異なる…と。

    差別や金融用語の由来など、いわゆる「通史」感のある歴史家が詳細に解説。

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著者プロフィール

1928年、山梨県生まれ。1950年、東京大学文学部史学科卒業。日本常民文化研究所研究員、東京都立北園高校教諭、名古屋大学助教授、神奈川大学短期大学部教授を経て、神奈川大学経済学部特任教授。専攻、日本中世史、日本海民史。2004年、死去。主な著書:『中世荘園の様相』(塙書房、1966)、『蒙古襲来』(小学館、1974)、『無縁・公界・楽』(平凡社、1978)、『中世東寺と東寺領荘園』(東京大学出版会、1978)、『日本中世の民衆像』(岩波新書、1980)、『東と西の語る日本の歴史』(そしえて、1982)、『日本中世の非農業民と天皇』(岩波書店、1984)、『中世再考』(日本エディタースクール出版部、1986)、『異形の王権』(平凡社、1986)、『日本論の視座』(小学館、1990)、『日本中世土地制度史の研究』(塙書房、1991)、『日本社会再考』(小学館、1994)、『中世の非人と遊女』(明石書店、1994)。

「2013年 『悪党と海賊 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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