- Amazon.co.jp ・本 (93ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106014314
感想・レビュー・書評
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(2005.10.29読了)(2005.10.19購入)
ロートレック
(アンリ・ド・トゥールーズ=ロットレック)
1864年11月24日 南フランスのアルビに生まれる。
1882年3月 パリに出てボナの教室で本格的に絵を学ぶ
1886年 ゴッホ、ピサロ、ドガ、ゴーギャン、スーラに会う。
1891年 最初のポスター「ムーラン・ルージュのラ・グーリュー」が成功を収める。
1899年2月末 アルコール中毒の発作に襲われ入院。
1901年9月9日 マルロメで死去。享年36歳。
この本は、小さな画集に成っているので、32点の作品がカラーで掲載され、各作品の解説も載っている。さらに、「人と作品」「年表」が載っているので、一人の画家の概略がわかるようになっている。
展覧会を見始めた頃は、せっせとカタログも買ったりしたけれど、後で見返す事はほとんどないことが分かったので、最近はほとんど買う事はない。それでも、家族で見てきた絵の話をするときは、具体的な絵を示さず絵の説明、画家の説明をすること困難な場合は、示せるものが必要なので、このシリーズが手軽で便利なので、順次そろえている。
ロートレックは、14歳・15歳の頃、足の骨折のため足の成長が止まり、下半身はずっと子供のままでした。絵を描く事は、小さい頃から好きだったので、足の骨折がなくても画家になっていたのかもしれません。
●ロートレックのテーマ(77頁)
ロートレックは海と野原と樹木と空と建造物を描かなかった。全く関心がないわけではなかったであろう。ただ、そこにきらめく外光の燦爛がなまでありすぎて、まぶしくて耐え切れなかった。
(踊る人や疾駆する馬の絵を見ているとドガと感性が似ているところがあると思う。)
●デッサン力(79頁)
ロートレックの作品を一度見た人は、誰しもそのデッサン力の卓抜に驚愕する。まことに、生まれついてのデッサン力といわざるを得ないものがある。しかも、早描きの名人であった。あるいは盛り場をぶらつきながら、あるいは歓楽街で酔いしれながら、興味のある人物を目にするや否や、たちまちポケットから小さなスケッチブックを引き出して鉛筆を走らせ、一瞬後にはまたそれをポケットの収め、「話すがごとくに描いた」といわれる。
●ボナールと(83頁)
ボナールは同年輩の画家である。室内で髪を整えたり、湯浴みをしたり、身体を拭いたりの裸婦を描いて、ロートレックとボナールにはモティーフと構図に共通の作品がいくつもある。ボナールのそれらの作品では、おおくは緑や青に濡れた光の中に裸婦がいる。
ロートレックは、作品の中では、見える肉感と触感を極度に排除した。絵画そのものを、見えない肉感と触感の活動する舞台、すなわち音楽を響かせる装置と化した。音楽とは、聴覚の捉えた運動に他ならない。
著者 宗 左近
1919年 北九州市生まれ
1945年 東京大学文学部哲学科卒業
法政大学教授詳細をみるコメント0件をすべて表示