- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106021442
作品紹介・あらすじ
茶人として茶の湯を総合芸術に高め、作庭家として日本の庭の新しいスタイルを確立し、作事奉行として禁裏・幕府の建造物を担当。まさに、八面六臂の活躍を果たした小堀遠州。彼の愛した"綺麗さび"の世界とは何か?この万能の達人の全貌に迫る。
感想・レビュー・書評
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有名な茶人であり作庭家としても名を馳せ、「遠州ごのみ」というジャンルもある江戸の大名、小堀遠州について特集した一冊だ。
そのマルチな才能をさまざまな方面から紹介していて、詳しく知らない人間にもわかりやすく、面白い。
茶の歴史の中で小堀遠州がどういう立場でどういう人だったのか・・・戦乱の世を終え天下泰平に向かう時代、茶や書の知識がある人間だけが茶室を訪うわけではない、平和な交流が必要とされた時代だからこそ生まれたわかりやすい「綺麗さび」という好み。
芸術方面に秀でるだけではなく多種多様な人物と幅広い交友関係を築く力。
亡くなる数日前まで茶会を催していたというその精力的な生き様にも圧倒される。
なんとなく美術館で眺める「遠州ごのみ」の茶器や茶碗が違った目で見えてきそう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
織部の弟子で秀長の小姓、高虎は岳父、そして徳川の作事奉行を勤める遠州。茶人で建築家で庭師で政治家でマルチアーティストというか、何というか…すごい。遠州についてもっと知りたくなる1冊。鶴と亀の庭に行ってみたいです。
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写真も豊富に、小堀遠州の綺麗さびについて熊倉さんら研究者や家元が語っている。忘筌など茶室や遠州好みの茶道具などが他の茶人のそれとどう違うかイメージ湧きやすかったし、作庭も代表的なものを取り上げてて勉強になった。
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利休、織部、小堀とこの三人の茶人の時代背景と拘りを、貫く生き様か清々しい。時の権力者に認められなごらもその末路は決して現代の価値観では計れないと思う。茶人でありながら多彩な才能を世の中に示し、現存作品の写真掲載がわかりやすい。
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画像があって、実にわかりやすく説明している。
お茶の巨匠 千利休、古田織部、小堀遠州の3人の
系譜とその成り立ちがよくわかる。
千利休 個性豊かに自由に生きた。
色味やデザイン・造形性を徹底的に抑制した。
茶室は、暗く、洞窟的で、1対1の関係。密室茶室。
古田織部 激しい破格の茶
ゆがみ、ひずんだ、ひょうげた、焼き損ない。
慶長時代(1596年から1615年)のカブキに通じる。
小堀遠州 綺麗さび。ツヤがある。
綺麗キツハ(ぎっぱ;立派)で、美しく見栄えする
定家様の字を認める。
平衡感覚にすぐれ、洗練された華奢の美。
季節感を重視したしつらえ。
利休のわび、東山文化の書院の茶、古典的な王朝文化。
小間から、鎖の間へ、そして書院に、接待の場を変えていく。
茶室も天井を砂ズリにして、あかりを取り入れる障子を多用。
利休の正、織部の反、それを統合した合わせの世界が遠州。
利休も織部も作為的であるが、遠州は、自然。
遠州の「古きとて形いやしきを用いず、
新しきとて姿よろしきはすつるべからず」
よく整理されていた遠州の到達した心境がよく理解できる。
遠州は、アートディレクターだった。 -
2015/12/26ブックオフ
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ISBN-13: 978-4106021442