カラヴァッジョ巡礼 (とんぼの本)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 128
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (127ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106022005

作品紹介・あらすじ

17世紀初頭のローマで、一世を風靡したバロック絵画の巨匠カラヴァッジョ。斬新な明暗法を駆使した写実的かつ幻視的な作品は常に賛否両論を巻き起こし、さらには生来の激しい気性から殺人を犯し、逃亡生活を余儀なくされる。聖なる画家にして非道な犯罪者。その光と闇に包まれた生涯を辿りつつ、現地に遺された作品を追って旅する。

感想・レビュー・書評

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  • 芸術新潮(2020年8月号)を読んでカラヴァッジョの「マタイ問題」に興味を持ち、芋づる式に宮下規久朗氏の著書を今回2冊同時進行で読む。

    本書も熟読。
    カラーだし、カラヴァッジョの足跡(地図)、地図、年表なども重宝。

  • カラヴァッジョの映画を観た後だったので興味深く読むことができた。とんぼの本の例にもれず、豊富な写真が嬉しい本。筆者と一緒にカラヴァッジョ絵画の巡礼の旅に出ているようで楽しい。それにしても光と闇、聖と俗、善と悪をここまで感じさせる画家の画業と人生の凄まじさはやはり天才の為せる業なのだろうか?

  • 美術史家、神戸大准教授
    カラヴァッジョガチ勢な先生の現地巡礼
    図版と拡大図

    アツい語り

    “「美術の真の体験は、印刷物や映像を通じてではなく、現地で作品の前に立つことによって初めて得られるものであり、絵そのものだけでなく、周囲の壁面や床、光の具合、ひんやりと乾いた空気、黴臭さや雑音とともに体感するもの」

  •  映画は映画館で観るべきだ。著者の考えはその上を行き、絵画は展示されている現地のその場で観るべきだ。ご説ごもっとも。下から見上げたところを想定して縦長に造られた彫像もある。

     カラヴァッジョがゲイであることは疑いを容れない。そのストライクゾーンが広すぎる気がする。「エジプト逃避途上の休息」で優美な後ろ姿を見せる奏楽天使からは美少年好き。「聖マタイの召命」に描かれたキリストの横顔からは美青年好き。「キリストの笞打ち」に描かれた筋肉質のキリストを見るにマッチョ好き……。

  • カラヴァッジョの絵画で驚くのは、これほど写実的なものが17世紀初頭に描かれているということ。時代のこととして当然ながらキリスト教絵画ばっかりなんだけど、是非様々な神話の情景も描いていてほしかった。
    本としては、有名どころをほぼほぼ掲載しているんじゃなかろうか。カラヴァッジェスキやライバルたちの絵画や関係をもうちょいと解説してほしかったな。

  • (2020-01-21L)

  • 買ってもいいかも。実際にイタリアに行ってこの作品群を観たい!!

  • カラヴァッジョはバロック画家でありながら殺人者でもあり、ナポリ派を作った人。

  • 「カラヴァッジョへの旅」を読み、もっとカラー図版が見たくなってこちらの本も購入。
    〈マタイ三部作〉〈ロレートの聖母〉などの作品は、聖堂の中で巡礼者がどの位置から/どのような光で/どのような心情で絵をみるのか、しっかりと計算された上で描かれている。なのでこの本では絵画本体の図版だけでなく、聖堂の中での見る者の視点からの写真も掲載されているのがよかった。
    しかし実際にはその場に行かないと、その絵画のほんとうの力は体験出来ないんだろうな・・・。イタリアに行きたい!

    カラヴァッジョの作品を観ると、素人目ながらその色彩と構図の完璧さに惚れ惚れする。
    2016年4月のいま、国立西洋美術館で開催されているカラヴァッジョ展で観ることができた「バッカス」は、まず本で見て想像していたよりもずっと色鮮やかで、絵に引き込まれた。
    なぜそれをそこに配置したのか/その色にしたのか/そのように描いたのか、、、絵の前に立ち、絵に問いかけると、必ず答えが返ってくるので、画家がそれを塾考してそれを描いたことがわかる。カラヴァッジョがいかに特別な画家であるのか、わかるような気がする。
    やっぱり芸術は直接この目でみに行かないとな、と思った。

  • ダ・ヴィンチやミケランジェロ等のルネッサンス絵画は、それぞれに個性的でありながらも、どこかまだ天上的だ。ところが、バロックのカラヴァッジョに至ると、そこに強烈なまでの個性が横溢する。宗教画においてさえそうである。そもそも、カラヴァッジョほど実人生において、およそ聖なるものから遠い画家も珍しい。それでいて、教会の壁面を飾る彼の絵は、聖なるドラマの躍動感に溢れている。サンタゴスティーノ聖堂の「ロレートの聖母」に見られる聖母子とその前に跪く2人の貧しい農民。それはまた、光と闇の対比として見る者に迫ってくるのだ。

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著者プロフィール

宮下 規久朗(みやした・きくろう):美術史家、神戸大学大学院人文学研究科教授。1963年名古屋市生まれ。東京大学文学部美術史学科卒、同大学院修了。『カラヴァッジョーー聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞など受賞。他の著書に、『バロック美術の成立』(山川出版社)、『食べる西洋美術史』、『ウォーホルの芸術』、『美術の力』(以上、光文社新書)、『カラヴァッジョへの旅』(角川選書)、『モチーフで読む美術史』『しぐさで読む美術史』(以上、ちくま文庫)、『ヴェネツィア』(岩波新書)、『闇の美術史』、『聖と俗 分断と架橋の美術史』(以上、岩波書店)、『そのとき、西洋では』(小学館)、『一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》』(ちくまプリマー新書)、『聖母の美術全史』(ちくま新書)、『バロック美術――西欧文化の爛熟』(中公新書)など多数。

「2024年 『日本の裸体芸術 刺青からヌードへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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