気になるガウディ (とんぼの本)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 106
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106022340

作品紹介・あらすじ

ガウディの「実験」は、建築の「大革命」だった-現代建築最前線の巨匠が語る、最強・最新のガウディ案内。

感想・レビュー・書評

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  • 刺激的な建築家・磯崎新が語るガウディ。興味深そう!

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    「ガウディの「実験」は、建築の「大革命」だった。〈かつて僕は「ガウディが大嫌いだ」と発言したことさえあります〉。孤高、奇想、天才―― そんなガウディ像は果して正しいのか。21世紀のコンピュータが解き明かした、その驚くべき手法とは? 現代建築の最前線を突き進む巨匠が、愛憎なかばする思いで語る〈これだけ見れば充分〉の6作品。最強・最新・充実のガウディ案内。 」

    • MOTOさん
      あ、確かにガウディ気になりますよね!

      (変わり者と、聞いた事があるような??)
      もっとも天才はすべて変わり者かも。
      常識に捉われず生きる人...
      あ、確かにガウディ気になりますよね!

      (変わり者と、聞いた事があるような??)
      もっとも天才はすべて変わり者かも。
      常識に捉われず生きる人は皆、変人扱いにされる世の中ですものね♪

      本当に興味深そう!彼の建造物も一挙公開してくれると尚楽しみなのですが♪

      2012/07/16
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「変人扱いにされる世の中ですものね♪」
      天才とナントカは紙一重と言います。理解者が現れれば天才で、そうでなければ檻に入れられる?
      でも、この...
      「変人扱いにされる世の中ですものね♪」
      天才とナントカは紙一重と言います。理解者が現れれば天才で、そうでなければ檻に入れられる?
      でも、この本はそんなガウディ像を破壊するらしい。どのように料理されるかお手並み拝見(とっても偉そうに書いてしまいました)
      2012/07/17
  • 磯崎新によるガウディについての解説。
    ガウディ嫌いを公表していながらも、彼への関心は磯崎自身の作品にも反映している。

    内容は主に、①ガウディの作品の変化、②ガウディ神話への嫌悪(表面的ではない真のガウディの解説)、③ガウディの構造合理性への狂気的な追究の3つで語られている。

    ①ガウディの作品の変化
    1900年を境にしてガウディの作品には大きな変化見られる。1900年以前では、カタルーニャ・ヴォールト(カタルーニャ地方の独自の伝統技術であり、アーチを組む為の型枠を必要としない薄いレンガを用いた工法)を用いて、3次的な自由曲線を作り設計していた。1900年以降ではアーチや塔の設計の際に構造的合理性を追究するために多くの時間を費やした。また、磯崎新はカサミラ(1906〜1910)へのディテールへのこだわりの異常さを感じ、それはこれまでの作品の集大成であるとも評している。

    ②ガウディ神話の嫌悪
    「狂気を持ってサクラダ・ファミリアという奇抜な建築物を作り上げた人物」という典型的なイメージから、日本人からの絶大な人気を誇るガウディ。磯崎新はその人気をミッキーマウスの人気に例えて酷評した。日本のミニマム主義の対義にある彼のデザインの奇抜さと非合理さに人気の原因があると解説していながら、実際に彼の作品は構造に関して至極合理的なものであり、ガウディの実験精神の賜物であると述べている。

    ③ガウディの構造合理性への狂気的な追究
    ②でも述べた通り、ガウディのデザインは彼の幾重の構造実験で得た構造の合理性が忠実にあらわれているものである。そして、話題はサクラダ・ファミリアは完成されるべきかどうか、へと進む。彼の未完の作品であるサクラダ・ファミリア。現在その完成に向けて工事が進められているが、それは本当に彼の作品なのか、議論の余地はまだたくさんあるだろう、と磯崎新は疑問を投げかけていた。というのもガウディは図面をほとんど描かず、現場で施工が進むにつれ変更を加え完成させる人物であった。そのためサクラダ・ファミリアに関する平面図と完成はかけ離れているとも考えられ、また、彼が描いた立面は降誕のファサード1面しかない。そのような理由から、磯崎は憶測で施工を進めるのであれば、それはもうガウディの作品ではないと述べ、またサクラダ・ファミリアを「ガウディ建築」として完成させることに意味はあるのか、と苦言を呈した。

    最後に磯崎新は、ガウディを嫌いと公言していながら、自身の建築が彼に影響を受けていることを認め、やはり彼から学んでいるところはあると述べた

  • 気になるガウディ (とんぼの本)
    (和書)2013年09月15日 00:45
    磯崎 新 新潮社 2012年7月27日


    磯崎新さんのガウディについての本は二冊目です。その本にも嫌いだと書いていたと記憶がある。それはガウディ好きの日本人が嫌いなのだそうだ。

    ガウディがキッチュなデザインでありそれが日本人の琴線に触れたと言いたい人が大勢いる。そういう評価もあるだろう。解りやすい二項対立で格付けできる。

    しかし磯崎さんが言われるのはガウディが「カタルーニャ・ヴォールト」という工法をもちいその当時の限界を越えようとする姿勢があるのだという。

    批評家が格付けするのは容易いがしかし当時の限界を越えようとするとは新たな格差をつけることを意味するのではない。格差の解消としての平等の哲学を見出すことなのだ。

    そういう意味でガウディに哲学を見る姿勢もありえるだろう。

    ガウディに哲学があるなら、彼の建築を至上とする格差を付けながら建築される「サグラダ・ファミリア」への疑問もありえるだろう。

  • これまで色々とガウディ書を読んできたけど、ほとんどがガウディ礼賛の論調だったので、ガウディが大嫌いだと発言したほどの著者(磯崎新)の、違った見方が新鮮だった。

    とはいえ、結局著者もガウディが嫌いなのではなく、ガウディが好きな日本人が嫌い・・・ということらしく、そこかしこにガウディに対する尊敬や愛を感じられたわけだけど。

    紙面の半分以上は建築の写真がふんだんに使われており、もう、見ているだけでうっとり。
    気が遠くなるくらい緻密な装飾や有機的で優美ななカーブ、曲線、目をひくファサード、内装・・・一体このひとの頭の中はどうなっていたんだろう。また、実際アウトプットして実現するだけの情熱・熱量もすごい。やっぱり神様っているんだな、と感じずにはおられない。

    主に6つの建築の解説が入っているが、やはり私が好きなのはグエル公園とカサ・バトリョかなぁ・・・。死ぬまでにいつか必ず訪れて本物に触れてみたい。

  • 建築家の立場から、ガウディの試みが構造的な合理性を突き詰めるものであったことを説いている。簡潔な文章に、それに則した適切な写真や図版が添えられている。ガウディの代表作を6つ、それぞれ短い文章で紹介するという体裁を取りながら、それでも全体で一つの論になっているところが素晴らしい。

  • カサ・バトリョとカサ・ミラいい

  • 行ってみたい。

  • ガウディの代表6作品の紹介。情報量は現地で売っているガイドと比して少ないものの、建築家の視点で語られている点は勉強になった。
    ただ著者のガウディ嫌いの根拠となる日本のガウディ好きのイメージはちと古いのでは?情報の手に入り易い現代ではガウディが合理的な建築家であることは十分知られているように思う。

  • バルセロナの、というより世界で類を見ない設計をした建築家ガウディ。でも全てが曲線で図面無しというのは現場の職人泣かせだと思います。規格品が一切使えない設計は普通は許されませんよ。

  • バルセロナのモデルニスモ建築、薄肉煉瓦カタルーニャ・ヴォールトによる複雑怪奇な造形

    みため複雑だけれど、構造や機能的にはむしろ合理的、生物みたいなのですね。
    自然界には直線はないと言われるように。

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著者プロフィール

磯崎新(いそざき・あらた) 1931年生まれ(85歳)。建築家。代表作「つくばセンタービル」でポストモダン建築の旗手と目された。1996年ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展金獅子賞受賞。

「2017年 『空間へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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