ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと: 時間・お金・ファンタジー (とんぼの本)
- 新潮社 (2013年11月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (124ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106022500
感想・レビュー・書評
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借りたもの。
写真と絵で読みやすい日本のミヒャエル・エンデ氏研究本。
タイトルにある、時間、お金、ファンタジーと言う視点から見ている。それは『モモ』への言及。
名言やエンデ氏自身のイラストレーションを多数掲載。
日本で出版されているエンデ氏の本を写真付き一覧で紹介している。
読んでいないものもあったので、これを機に手にとって見たくなった。
影響を受けた日本の作家、文学者、経済学者の寄稿文でその魅力をまとめている。
「エンデが夢見た経済の姿」を読んで、減価する貨幣(中立貨幣・自由貨幣)にも関心を持った。
当たり前と思っている社会のしくみに一石を投じる視点をくれるエンデ氏の考え方、作品の魅力を改めて感じた。
私は晩年、日本人女史と再婚されていたとは存じ上げなかったので、信州にエンデ氏の資料館がある理由をようやく納得。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書より、心に残った文章
・自由は精神に、そして博愛=友愛は経済に対して適用されるべき
・もう一度、貨幣を実際になされた仕事やものと対応する価値として位置づけるべき
・お金は老化しなければならない
・お金は経済活動の最後のところでは、再び消え去るようにしなければならない(経済学者シルビオ・ゲゼル)
ゲゼル…減価する貨幣、手許に持っていると定期的にその実質額面が減っていくお金のこと
オーストリアのヴェルグル市が1932年から翌年にかけて、労働証明書という名の地域通貨「減価する貨幣」を実施し、失業減、公共事業の推進を成功させた。
・社会的連帯経済、フランス、ブラジル、スペイン
・ドイツ、プリーン・アム・キームゼー、「キームガウアー」という減価する地域通貨、シュタイナー学校の課外授業2003年〜
・身体の知覚器官の目覚めと引きかえに霊的知覚器官を見失っていった…ルドルフ・シュタイナー
・芸術は、ホメオパシー、治癒
日常のモラルの世界から抜け出し、芸術の領域に入り込み、逆方向の力を呼び覚ます。
・アントロポゾフィー、エンデの思想の構成要素の一つ -
作品「モモ」や「かいじゅうたちのいるところ」を読みたくなった。
それらは、こどもには難しそうだが、きっといい本に違いない。 -
本物の芸術では人は教訓など受けないものです。
ユーモアは子供たちに人は失敗するし失敗してもいいんだと語ってくれるからです。
いい作品が生まれれば、その作品が存在するというだけで世界は変革されるのです。
世界が光だけになってしまったら、そんな世界はもはや見えなくなるでしょう。