- Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106027260
感想・レビュー・書評
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時期が時期だから、いろんなことを考えさせられた。「条件つきの安全」なんて、原発だけではなくてなんでもそうなんだけど、だからといって絶対的な安全なんて存在しない。基本的に善意の上で使われているものだから、予想外のところからの悪意、というかそんな負的なものに取って代わられると、とたんに弱くなる。そんなもんなんだろう。
登場人物たちはたぶん、1度消し去った火が実はまだぶすぶすと残っていたんだと思う。話が進むにつれて、その火が大きく燃え上がっていく。そして、どんどん目が離せなくなる。なんというか、もっともっとどうしようもない、じりじりと焼けていくもの。
襲撃の計画を立てるところは、とにかく細かくて読んでいて地理的なものが思い浮かびにくかった。けれど、これを書くことによって島田と日野がやろうとしていることの強大さがいやがおうでもわかる。
とにかく主要な登場人物がみんなさびしすぎる。船上での島田と良の再会シーンでは涙が出た。そして最後の島田、あれは彼の中ではしあわせな終わりだったのだろうか。もっと、いてほしかったなあ。これが彼の持つ運命だったというなら、なんでこんなにも哀しいんだ。みんながみんなやるせない現実や過去を背負っていて、ああ、なんかもう、言葉にならないぐらい、この話に当てられている。
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当時、読後3日間ほど魂が抜けた。
初版・改訂版、諸説評価はありますが、どっちも読めばいいと思う。 -
改訂前ハードカバー版。