あの航空機事故はこうして起きた (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106035562

作品紹介・あらすじ

飛行機が墜ちるにはわけがある。完璧に思えた設計思想も、ミスなど起こすはずのないベテラン操縦士にも死角はあった。「日航123便・ジャンボ機墜落事故」から「羽田沖、全日空ボーイング727墜落事故」まで、内外の巨大旅客機事故を俎上に元日航パイロットがその原因に迫る。生と死のはざまに機械と人間が織り成す運命のドラマ8本。

感想・レビュー・書評

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  •  元日航パイロットの著者が、国内外の航空機事故の実例とその後の事故調査の経過を報告。全編にわたり、日本の航空事故調査が、いかに「再発防止のための科学的調査」からかけ離れているか、という視線で貫かれている。

     1985年の日航ジャンボ機墜落事故も、「圧力隔壁破壊による垂直尾翼脱落」という事故調の結論を「科学の常識に反した」ものと厳しく批判。機体の構造的欠陥を疑わせる痕跡が数多く見つかっているにもかかわらず、製造国アメリカに対する配慮から「修理ミス」というボーイング社の敷いたレールが既定路線となり、垂直尾翼脱落の大前提となる客室内の急減圧は「なかった」とする生存者の声はことごとく無視されたと著者は訴える。

     1966年の全日空機羽田沖墜落事故も、回収された機体破片、目撃証言、操縦室内の計器表示など、あらゆる状況が、墜落前に事故機の第3エンジンがバックファイアーを起こしていた可能性を示しているにもかかわらず、これらの状況証拠は意図的に無視され、パイロットミスを強くにおわせながら「原因不明」と結論づけた調査報告書が公表された。

     二つの事故の間の20年間、日本の航空事故調査は実質的にまったく進歩しなかったと、著者は指摘している。本書の一番最後で、著者はこう結んでいる。「日航ジャンボ機墜落事故に見られたように、残念ながら我が国の航空事故調査はこれ以降同じ轍を踏み続けることになる」。

     同種の事故は必ずまた起きる・・・という、著者の悲痛な叫びと受け止めた。

  • 8章立て
    1章ずつわけて航空機事故が紹介されている。
    日航123便・コメット機事故・ボーイング377「ストラトクルーザー」・ロス・ロディオス空港衝突事故(テネリフェ島のKLM機とパンナム機の衝突)・DC-10スーシティ事故・イギリス航空9便・中華航空エアバスA300・ボーイング727墜落事故

  • 8つの航空機事故を紹介,解説本。

    こういう本を読むとつくづく飛行機事故が身近なものに感じてしまうな。こんなに頻繁に航空機事故って発生してるんだね。。
    それにしても日本の事故調査委員会のレベルの低さや海外からの信用のなさがここまでだとは思ってもみなかった。


    特に印象的だったのは,ロス・ロディオス空港でのジェット機同士の衝突事故。あまり知られていない(僕が知らなかっただけ?)が,583名の尊い命が奪われた史上最大の航空機事故である(一機当たりでの最大死者はJALの御巣鷹山墜落事故)。
    しかも,本事故は技術的なトラブルではなく,機長(およびクルー)&グランドコントロールのコミュニケーション問題のみで発生した事故というのが興味深い。
    『上に立つものほど謙虚にしていなければ,間違いを正してはくれない。』

    こんな機長がいる(いた)なんて,信じられないし,飛行機に乗るのが怖くなるな。

  • JALの元機長による航空機事故について掲載された書籍。
    専門的な部分でわからない点はいくつかあります。しかし、事故原因の検証、原因を断定する上での証明などのノウハウや探究心は、航空業界に限らず、どの分野の仕事でも活かせるのではないかと思いました。
    「原因追究って、ここまでやるんやで」…と聞こえてきそう。

  • いちど起こってしまった事故を無かったことにはできない。
    きちんと原因を糾明し、事故が二度と繰り返されないようにしなければならない。
    事故で亡くなった方のご冥福をお祈りします。

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