恋愛哲学者モーツァルト (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106036002

作品紹介・あらすじ

1780年代のヨーロッパ-。絶対王政の没落と近代市民社会の到来という時代の亀裂のなかでこそ、モーツァルトのオペラは華ひらいた。バロック・オペラの予定調和的な世界を破壊し、男と女のエロスを歌った。《後宮》から《魔笛》に至る五つの傑作群を、ひとつの「恋愛チクルス」として読み解く、新たな音楽=文化論。オペラ嫌いも必読。

感想・レビュー・書評

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  • 地元の図書館で読む。非常に興味深い本でした。魔笛の部分を読む。魔笛を理解できないのは、その時代に関する知識が欠けているためだと指摘している。根拠はありませんが、正しいと思います。

  • ケネス・ブラナー監督による『魔笛』のDVDを観て、この本に手が伸びました。
    『後宮からの逃走』『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『コシ・ファン・トゥッテ』そして『魔笛』の五作品を連作として捉えて、モーツァルトの「恋愛」に対する考え方を追う著者の分析に引き込まれました。
    「はじめに」で引用されているアドルノからの引用、〈モーツァルトとは「フランス革命が抑圧へと一変する」寸前の時代にのみ可能だった歴史的に一回限りの現象…〉というくだりに、著者自身の主張が集約されているようにも感じました。
    モーツァルトのオペラを聴き直してみたくなる、楽しい一冊でした。

  • <感想>はじめに正直ここまで音を読み込むのかと思った。フィガロも魔笛もコジも観たのだが、この本を読むともう一度改めて観に行かねばと思う。まあ、しかしながら劇場でかように分析的に観ることは決してできないわけだし、それでは楽しみは半減してしまうだろう。しかし、昔の人々はもっと音やフレーズに敏感で、それが表現する約束事に共通理解があったことは、なんとなく理解でできる。そして、そういう喜怒哀楽表現をいともたやすく譜面におこしていったモーツァルトには改めてただただ驚くばかりである。

  • [ 内容 ]
    1780年代のヨーロッパ―。
    絶対王政の没落と近代市民社会の到来という時代の亀裂のなかでこそ、モーツァルトのオペラは華ひらいた。
    バロック・オペラの予定調和的な世界を破壊し、男と女のエロスを歌った。
    《後宮》から《魔笛》に至る五つの傑作群を、ひとつの「恋愛チクルス」として読み解く、新たな音楽=文化論。
    オペラ嫌いも必読。

    [ 目次 ]
    第1章 モーツァルトとオペラ史における愛の発見
    第2章 愛の勝利―“後宮からの逃走”と青春の輝かしき錯覚
    第3章 「昔はあんなに愛し合っていたのに」―“フィガロの結婚”と喜劇の臨界点
    第4章 悪人は恋人たちの救世主―“ドン・ジョヴァンニ”と壊れた世界
    第5章 臍をかんで大人になる?―“コシ・ファン・トゥッテ”と男女の化学結合
    第6章 清く正しく美しく―“魔笛”と市民社会のイデオロギー

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    [ 参考となる書評 ]

  • 恋愛にせよ音楽にせよ、つい言葉では捕らえがたいものだと頭から思い込みがちだが、モーツアルトの音楽の構造を印象や感性に流されず、具体的にその音楽史の文脈と照らし合わせて、言葉で定着し、それと当時の社会・思想との関連で論じていく方法が周到。
    音楽にせよ、恋愛のあり方にせよ、はるか昔から今のような形であったわけではなく、歴史や社会との関わりなく存在していたわけではないのが当たり前のようだが目からウロコ。

  • モーツァルトすげー。
    自分可愛いってところがなんかカワイイ。

    オペラ観たことないとピンとこないところが多いかも。

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著者プロフィール

1960年京都生まれ。京都大学人文科学研究所教授。専門は近代西洋音楽史。著書に『リヒャルト・シュトラウス 人と作品』(音楽之友社、2014)、『音楽の危機』(中公新書、2020、小林秀雄賞受賞)、『音楽の聴き方』(中公新書、2009、吉田秀和賞受賞)、『西洋音楽史』(中公新書、2005)、『オペラの運命』(中公新書、2001、サントリー学芸賞受賞)、共著に『すごいジャズには理由がある』(アルテスパブリッシング、2014)など。

「2023年 『配信芸術論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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