サルコジ: マーケティングで政治を変えた大統領 (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
3.65
  • (7)
  • (12)
  • (11)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 133
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106036361

作品紹介・あらすじ

東欧移民二世の小男。結婚三回で妻は奔放なスーパーモデル。酒を呑まず、文化にも興味なし。私生活は世にさらし、公衆の面前で平気で他人を罵倒する-。サルコジは、従来のフランス大統領像をことごとくくつがえす。「ストーリーテリング」というマーケティング技術を活用し、大衆の視線を常にひきつけるその政治手法を、気鋭のジャーナリストが解き明かす。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 週刊誌的でした。あまりひかれないなあ。

  • 東2法経図・6F開架:289.3A/Sa69k//K

  • 従来の政治家と異なり、ストーリーテリングというマーケティング的手法を用いて、大衆の支持を集めてきたサルコジの政治半生がよくわかる。そのストーリーテリングという独自性には光も影もあることを最後に示唆してくれる。

  • Fri, 05 Jun 2009

    ちょっと気になったので読んでみた.
    フランスを見る目が変わりました.
    サルコジは現大統領ですが,なんか,ちょっと他の首脳と違う感じなので興味がありました. 就任後に前妻セシリアと離婚,恋愛遍歴豊富なカーラと結婚など 日本の首脳では考えられないスキャンダラスな動き. そして,何かと目立つ,サミットなどでの動き.

    イラク戦争で多極化世界観を打ち出してブッシュの向こうをはったシラクとはまた違った独特さをかもしだしている.

    サルコジを「ポピュラリスト」という. いわゆる,TVポリティクス. ブッシュのイメージ戦略,小泉の劇場政治 端的にいえば,そのながれをフランスで実現したのがサルコジだということ.

    消費者にうけいれやすい,ストーリーを構築し,自らの露出を徹底し,TV,デジタルメディアを通して,支持を固めていく. また,実際によく働き,政策通でもあるという.(また,モテる)

    しかし,おそろしかったのが, セシリア時代からのサルコジの公私混同っぷり. 妻セシリアが内相時代から,サルコジの周りをとりしきり,セシリアの友人セレブが政府の中に入っていくという,世界. まさに奥の院と化していたという.

    江戸時代か??? という記述がいろいろあった.

    フランスは日本では過剰に持ち上げられ,おフランス化しており, 石畳のシャンデリゼ通りが,オシャレの象徴みたいになってる.
    #「ガタガタうるさいだけの車道じゃねぇか!」(失礼)

    アメリカでは,ストーリーテリングによる政治が洗練され,オバマ政権が誕生した. これは,進化なのか民衆の退化なのかはわからないけど, メディアを通せば民衆にとってシンプルなストーリーこそわかりやすく,しかし,シンプルで一面しか見ない世界認識こそ政治を誤らせるという,二律背反が,現代の民主主義が突きつけられたナイフであることを心に留めておきたい.

    本書ではストーリーテリング化する政治の原因をメディアの成熟のみならず,冷戦のような明確な対立構造の消滅を挙げる. ゆえに,リーダーシップは国民にわかりやすい「ストーリーの枠組み」を提示することで成立するのだ. 「郵政民営化賛成か反対か!?」 のような・・・.

  • ●内容
    ・朝日新聞の記者によるサルコジ伝
    ・09年の作
    ・政治にマーケティング手法を導入し、「ストーリー」を語ることで支持を得たサルコジに迫る。


    ●コメント
    ○一見奔放なサルコジの言動の裏にあるもの。明確な目的意識と、そのためにとるべき手段へのコミットについて。

    (引用)

    ★サルコジのすべての行動は、自らの権力を維持し拡大していく目的に収斂されている。彼は、権力を握ることの重要性と重大性を何より理解している人物である。何事も、権力を握らなくてはできない。権力を握ることこそが、自らの望みを実現する条件なのだ。そこが、権力を握る前に政策論議に熱中する他の政治家との大きな違いである。

    ★大切なのは、物語が真実かどうかではなく、流れに矛盾がないことだ。…サルコジの行動はなによりわかりやすい。…演説でも、これはこうだ、だからこうだと、躊躇なく明言する。数字をほとんど引用せず、細部に少少の誤認や勘違いがあろうがどんどん話を展開する。だから、聞いているほうは安心する。

    ★その手法(サルコジの政治手法)の極意は、何より相手に「先んじる」ことだ。メディアから政権の課題を設定される前に自ら次々と課題を示し、主導権を握るのである。
    「英語では『天候を自ら作れ』という言葉があります。つまり、人々が向かう場所に先回りをして、後から来るみんなを整理してしまう。サルコジが実行しているのはこれなのです。現状を自ら創出すると、他の人々は従わざるを得なくなる」

  •  最近、米誌NEWSWEEKにサルコジ仏大統領がオバマ米大統領に対して嫉妬に駆られているというタイトルの記事(Sarkozy’s Obama Envy)を掲載した。目立つことが好きなサルコジ大統領としては、オバマ大統領が登場して以来、話題をさらわれているので面白くないと思っているのだろう。

     その上、記事によるとフランス国内のbanlieueと呼ばれるアフリカ系やアラブ系の移民住む地域では、オバマ大統領の支持率は88%の達するとあり、サルコジ大統領の心中に複雑なものがあるのは想像に難くない。しかし、身長と支持率ばかりは、最高権力者でもどうにもならない。

     私生活も売り物にするくらいなのだから、少しぐらい批判されたり、茶化されても動じないのかと思うとそうではない。例えば、「呪いのサルコジ人形」なるものが去年の10月に発売されたとき、裁判に訴えた。

     フランス人がサルコジを大統領に選んだのも、changement(英語のchange)を望んだからなのか。少し落ち着きがないくらいエネルギッシュなところがフランス国民に受けているのか。

      ラテン系の指導者はやりたい放題の指導者が多いような気がする。失言大魔王のベルルスコーニイタリア首相といい、南米の番長、チャベスベネズエラ大統領。偶然かな。個性が強いだけに好き嫌いがはっきりしている。劇場型の政治スタイルが受けているのは、良くも悪くも今の世相を反映している証拠であろう。政策よりも個人の物語が重要視されている。国家権力者も商品と同じでどう売り出すかと言うマーケティング戦略を練る時代になったのかな。

     NewsWeekの記事をご覧になりたい方は、以下のサイトをクリックしてください。

    http://www.newsweek.com/id/216240

  • スキャンダラスな内容から政治活動まで、サルコジ一代記って感じ。かの国のことは歴史も含めて殆ど何も知らない状態で読んだけど、それなりにお国柄とかも分かった気になったり、興味が持てるようになったことは確か。
    新書的ってより、読み物として楽しかったです。

  • わがままなだけじゃだめなんだ。
    結果を出せる実力が伴っていないと。

    大統領の名前と観光名所くらいしか知らない人間にとって、この値段でフランスの政治を垣間見ることができるのはおいしい。読み物としてもグッド。

  • サルコジはマーケティングが上手い。市長時代にHB事件で一躍有名になったが、その時もちゃんと救急隊を呼んで撮影をさせていた。巧みだ。
    フランス大統領は安定した家庭を持つイメージを大切にしてきたが、サルコジは3回も離婚している。
    サルコジの贅沢ぶりは過去の大統領とちがって成金。
    フランス大統領なのにワインが飲めない。プーチンと酒を飲んで酔っ払ったこともある。
    エリートでありながら庶民性を売りものにしたシラク、老練で抜け目ないシラクと違って、サルコジに求められているのは成功者のイメージ。
    サルコジはハンガリーからの移民だが、ジダンのように貧しくて移民してきたわけではなく、共産主義に耐えられなくてやってきたが、父親は裕福だった。

  • [ 内容 ]
    東欧移民二世の小男。
    結婚三回で妻は奔放なスーパーモデル。
    酒を呑まず、文化にも興味なし。
    私生活は世にさらし、公衆の面前で平気で他人を罵倒する―。
    サルコジは、従来のフランス大統領像をことごとくくつがえす。
    「ストーリーテリング」というマーケティング技術を活用し、大衆の視線を常にひきつけるその政治手法を、気鋭のジャーナリストが解き明かす。

    [ 目次 ]
    序 命をかけた演出
    第1章 皇帝サルコ一世
    第2章 気まぐれファーストレディー、セシリア
    第3章 カーラ・ブルーニ登場!
    第4章 狙われた野党
    第5章 露骨なメディア操作
    第6章 権力を握るまで
    第7章 紡がれた物語
    第8章 ストーリーが政治をつくる

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

全16件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

国末憲人(くにすえ・のりと)
朝日新聞ヨーロッパ総局長。1963年岡山県生まれ。1985年大阪大学卒。1987年パリ第2大学新聞研究所を中退し、朝日新聞社に入社。パリ支局員、パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長などを経て現職。著書に『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(以上、草思社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(以上、新潮社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『ポピュリズムと欧州動乱』(講談社)などがある。

「2019年 『テロリストの誕生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

国末憲人の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×