靖国神社の祭神たち (新潮選書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106036545

作品紹介・あらすじ

幕末・維新の国事殉難者を祀った東京招魂社に始まり、日清、日露両戦役、そして太平洋戦争に至る戦没者など、祭神の数は二四六万余柱にものぼる。主神は一社に一人が原則の中、これほど特異な神社は他にない。これまでほとんど論じられることのなかった合祀基準とその歴史的変遷に焦点をすえ、A級戦犯や女性たちの合祀事情にも立ち入ることによって、ヴェールに包まれてきた神社の全体像に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・開架 175A/H41y//K

  • 戊辰戦争の官軍戦没者から先の戦争のA級戦犯まで、祭神の数は二四六万余柱にものぼる。主神は一社に一人が原則の中、これほど異例の神社は他にないだろう……。今までほとんど論じられることのなかった合祀基準とその歴史的変遷に焦点をすえることによって、ヴェールに包まれた「靖国」の全体像を初めて顕わにする。
    http://www.shinchosha.co.jp/book/603654/


    【目次】
    第一章 東京招魂社の誕生――幕末・維新の殉難者
    慰霊と顕彰の世界/戦没者と国事殉難者の系列/「昨日は賊軍、今日は官軍」/招魂祭と招魂社/靖国の「聖旨」とは/迷い子の米沢藩士/土佐勤王党が先頭/明治二十年代の大量合祀をめぐって

    第二章 対外戦争の時代へ――日清・日露戦争
    「招魂社へお嫁に」/八甲田山の遭難者は/拡大されていく合祀基準/贈位ラッシュの表裏/史談会と議会の合祀運動/浜田隊と赤報隊の始末/「特別を以て」の殉難者/女性の祭神たち(1)

    第三章 変わりゆく合祀基準――第二次大戦期
    「聖なる一瞬」の社頭/合祀の手順と基準/戦陣訓と捕虜/爆弾三勇士と空閑事件/靖国の捕虜事情/合祀の定型と非定型/ノモンハンの未合祀者たち

    第四章 別格官幣社から宗教法人へ――終戦と占領
    不死鳥のように/終戦と靖国の再出発/GHQとの攻防/主導は国か靖国か/ゼロ歳児も「戦闘参加者」へ/五百余人の責任自殺者/約千人のBC級戦犯

    第五章 A級合祀の日――一九七八年十月
    半年後のスクープ記事/相殿か鎮霊社か/松平永芳――靖国のゴーン?/「そちらの勉強不足だ」/残された謎/お節介がすぎた諫言癖/東京裁判と精神復興/「それが私の心だ」/「親の心子知らず」

    第六章 「薄れゆく体験と関心」のなか――そして将来は
    細っていった合祀の流れ/残務整理のあれこれ/合祀されなかった人たち/非定型の合祀者たち/女性の祭神たち(2)/苦境を切り抜けた護国神社/話題になった五つの護国神社/鎮霊社の春秋/A級分祀(廃祀)に先例?/不人気の国立追悼施設案/見えにくい将来像


    付属資料
    あとがき
    図表索引
    索引(人名、事項)

  • 戦犯の扱いの話だろうと思って読み始めたが、靖国に祀られるか否かの判定が、さまざまな要望、圧力によって揺れつつ進んできた経緯を網羅する本であった。
    A 級戦犯合祀については、その当時の宮司の暴走によって行われたことを知った。2006 年の富田メモのことを、この本まで知らなかった。自分にとっての空白の時期。
    鎮霊社という全世界の戦没者を対象とした社の存在と設置の経緯も知った。

  • 明治維新から始まる歴史がよくわかった。

  • 消極的現状維持

  • 靖国神社について、少しでも知りえたことはよかった。

  • 誰がどのような基準で祭神となり、ならなかったのか。
    戊辰戦争など初期の祭神についての論及がいい。
    ★再読★

  • [ 内容 ]
    幕末・維新の国事殉難者を祀った東京招魂社に始まり、日清、日露両戦役、そして太平洋戦争に至る戦没者など、祭神の数は二四六万余柱にものぼる。
    主神は一社に一人が原則の中、これほど特異な神社は他にない。
    これまでほとんど論じられることのなかった合祀基準とその歴史的変遷に焦点をすえ、A級戦犯や女性たちの合祀事情にも立ち入ることによって、ヴェールに包まれてきた神社の全体像に迫る。

    [ 目次 ]
    第1章 東京招魂社の誕生―幕末・維新の殉難者
    第2章 対外戦争の時代へ―日清・日露戦争
    第3章 変わりゆく合祀基準―第二次大戦期
    第4章 別格官幣社から宗教法人へ―終戦と占領
    第5章 A級合祀の日―一九七八年十月
    第6章 「薄れゆく体験と関心」のなか―そして将来は

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    [ 参考となる書評 ]

  • この人の思想信条とは相容れない部分も多いが、一次資料の緻密な分析と誠実な考察はさすがだとうならされる。このへんが自分に都合のいい部分だけつまみ食い(もしくは隠蔽)して妄想をばらまく自慰史観論者との違い。

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著者プロフィール

1932年,山口県生まれ。東京大学法学部卒業。官僚として大蔵省、防衛庁などに勤務の後、拓殖大学教授、千葉大学教授、日本大学教授などを歴任。専門は日本近現代史、軍事史。法学博士。著書に、『日中戦争史』(河出書房新社)、『慰安婦と戦場の性』(新潮社)、『昭和史の軍人たち』(文春学藝ライブラリー)、『南京事件―虐殺の構造』(中公新書)、『昭和史の謎を追う』(文春文庫)、『盧溝橋事件の研究』(東京大学出版会)、『病気の日本近代史―幕末からコロナ禍まで』(小学館新書)、『官僚の研究―日本を創った不滅の集団』(講談社学術文庫)など多数。

「2023年 『明と暗のノモンハン戦史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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