- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106036620
作品紹介・あらすじ
純粋な知的探究から発して二百余年、近代科学は社会を根底から変え、科学もまた権力や利潤の原理に歪められた。人類史の転換点に立つ私たちのとるべき道とは?地球環境、エネルギー問題、生命倫理-専門家だけに委ねず、「生活者」の立場で参加し、考え、意志決定することが必要だ。科学と社会の新たな関係が拓く可能性を示す。
感想・レビュー・書評
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なぜ読んだ?:
高校の現代文の教科書に載っていた文章の中で最も興味があったものの底本を読むことにした。
科学論・科学技術論・科学哲学といったテーマの本を読みたかったのでちょうど良いかなとも思った。
内容をざっくり:
科学の成立、西洋と日本
社会の変化をもたらすネオタイプの科学
医療、生命倫理、安全・リスク
科学の合理性と社会の合理性の違い、社会における意思決定と科学の関係
私たちにとって科学とは何か。結局、科学者も社会も、相手を尊重することが大事。そのためにも、科学リテラシーの向上が重要。
知識のための知識も大事にしよう。人間にとって科学は必要だ。
感想総論:
科学史や、科学哲学の話はほんの少しだけ。
科学と社会の関わりについて、近年の事例をあげつつ説明されていた。
科学は価値観に立ち入らない話や、専門家の意見とと社会の「常識」の兼ね合いによる意志決定の話は近年の新型コロナのニュースに通ずるものがある。
「常識」概念は、『教養としてのテクノロジー』での「センシティビティ(肌感覚)」概念や『バカの壁』での「常識」概念に近そう。
科学コミュニケーションモチベが上がった。
今後の展望:
科学と社会について1つ読めたので、科学哲学・科学史の本を読んで、科学とは?ということについて考えたい。
科学という枠組み、科学研究の構造について興味がある。クーンのパラダイム論など。
『科学哲学への招待』『科学革命の構造』あたり。 -
サイエンス
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ところどころ微妙な引っかかりはあるものの、全体としては科学と社会の関わりについて平易に述べられており読みやすい。
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語りかけるような形式で、科学とはなにか、社会とどう関わってきたか、そしてこれからの社会との関わり方はどのようにあるべきかといったことをわかりやすく説いている。いまの科学あり方を考えるときにはやっぱり成立から現在に至るまでの歴史を追うのは大事なんだなぁと再認識した。技術との違いとかね。たいへん読みやすいので科学論、科学技術社会論的な領域への入り口としてはよいと思う。もうちょいヘビーなのを読んでいい段階かなと思えた。
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無意識にたくさん読んでいた村上陽一郎先生の本。
この本は2010年発行、すなわち震災以前の本ですが、今の科学が抱える問題を満遍なく書いた本だと思います。 -
リテラシーの大切さと、文化上意識しなければならない科学の在り方についての初心者本。
リスクについての、解説が分かりやすい。
良書ではあるが、好みは分かれると思う。