「律」に学ぶ生き方の智慧 (新潮選書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106036750

作品紹介・あらすじ

釈迦が考えた「生き甲斐」を手に入れる究極の方法とは-?「本当にやりたいこと」を実現するには、いったいどうすればよいのか?日本仏教から失われた釈迦の教え「律」には、現代社会を幸せに生きるヒントがたくさん隠されている。理系出身の仏教学者が、古代インドの宗教界から、現代日本の科学や政治の問題まで、縦横無尽に行き来しながら、「律」に秘められた釈迦の哲学をわかりやすく読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 律は、修行をするために自らを律するものというよりは、修行の便宜のために社会や集団に適応するシステマティックなもののようだ。
    倫理の教科書からでは、仏教のシステマティックな部分に触れることができない。こんなにも修行のことを考えた宗教だとは思ってもみなかった。
    修行という自分の好きなことに打ち込むために全力を尽くす、なるほど科学者集団と似ているかもしれない。
    科学者の研究資金は僧への布施と同じというのもなるほど、である。布施を受けるのに尊敬がいるように、科学者も襟元正してやっていかねばならないのである。
    結局は自分の趣味のために食わしてもらっているのだから。

  • 仏教の経(教え)ではなく律(教団の法律)に焦点を当て、組織運営の秘訣を探る。わかりやすいエピソードが多い。頻繁にオウム真理教を引き合いに出して仏教の運営の素晴らしさを説いている。最後の方の科学者は出家だという論にはわかるところもあるが首を傾げる。

  • 釈迦が考えた「生き甲斐」を手に入れる究極の方法。
    日本仏教から失われた「律」には、幸せに生きるヒントがたくさんあります。
    「律」に秘められた釈迦の哲学を解説します。
    本当に分かりやすいです。
    NECO塾はサンガだったのだと、気づきました。

    では、私たちが一番頼りにできる生き甲斐とはなにか。最大限に広い言い方で答えよう。それは「一生涯続けることのできる、自分の好きなこと」である。外界から無理強いされていやいやするのではない、自分がやりたくてやりたくて仕方がないことを好きなだけやる、そういう毎日が死まで続くなら、人は「生きてきてよかった」としみじみ思う。さらに言うなら、そうしてあり続けていることの成果が蓄積していって、はっきりとした姿で現れてくるなら、喜びは倍増する。もっと言うと、その成果が、自分が死んだあとも残る恒久的なものだと、なおさら満足感は深くなる。「今自分がやっていることの意味は、死んだ後もずっと残る」という思いは、人に強い安心感を与えてくれる。「もの」や「肩書き」を生き甲斐にすることもできるが、それよりも「一生涯続けることのできる、自分の好きなこと」の力が生き甲斐としての信頼度が高い。さらにそれが、「死後の世界にまで水続性を持つもの」なら、なおさら好ましい。 ー 11ページ

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著者プロフィール

1956年福井県生まれ。花園大学文学部仏教学科教授。京都大学工学部工業化学科および文学部哲学科仏教学専攻卒業。同大学大学院文学研究科博士課程満期退学。カリフォルニア大学バークレー校留学をへて現職。専門は仏教哲学、古代インド仏教学、仏教史。著書に『宗教の本性』(NHK出版新書、2021)、『「NHK100分de名著」ブックス ブッダ 真理のことば』(NHK出版、2012)、『科学するブッダ』(角川ソフィア文庫、2013)ほか多数。訳書に鈴木大拙著『大乗仏教概論』(岩波文庫、2016)などがある。

「2021年 『エッセンシャル仏教 教理・歴史・多様化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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