未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命 (新潮選書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037054

感想・レビュー・書評

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  • 誰も本気で勝てるとは思っていなかった戦争へ、なぜ引きずり込まれていったのか?
    そこが知りたかったが、前提となった諸要素の解説に留まり、知りたいことが、もう一つ明確になっていなかった。戦争の直接の要因については書かれているものは他に多いため、違う切り口でのアプローチをされたのであろうと推測する。
    私は第二次世界大戦について書かれたものについては、ほとんど読んだことがなく、また知識もないため、今後知識を得ていくことにより、後日この本を再評価したい。

  • 国の死に方もそうだったが、歴史への視点がなかなか新鮮な著者。日本史の中での第一次世界大戦をスポットにあて、第二次世界大戦への敗北へ繋がる日本陸軍に流れた考えをつぶさに見ていく。ほかの作品も気になるところ、作品というか論文。決して気軽に読めるというわけではないけど苦笑

  • [private]機械化歩兵構想[/private]

  • ファシズムと題していながら、なぜ陸軍が第一次大戦の戦果から学ばずに玉砕戦術に陥ったかのみを掘り下げた本。
    この部分だけなら精密な分析ですが、内容そのものが未完です。

  • 「持たざる国」であることに自覚的であった陸軍の上層部が作り上げた建前(乏しい物量により苦しい戦いを強いられるが、それは強い精神で凌駕できる)で戦争を遂行したのだから、かれらの罪は重い。現代社会でも「それを言っちゃお終いよ」というような場面が多々あり、みんな分かっていても口には出さず、ずるずると流されて行き、気づいたときには手遅れ状態になっているのでは。

  • 陸軍軍人の認識がかくも醒めたものであったとすれば、何故戦争に突入したのか、という疑問は、変わらずついて回る。

  • 第1次世界大戦を横目に見ながら、その後、如何に第2次世界大戦に向けて「もたざる国」が如何に坂の上の雲を目指すような精神構造を培うに至ったか…といったいわば集団心理の過程をうまく考察している。法華経やまごころといった当時の宗教や心情をうまくくみ取って(操って?)、玉砕を正当化するような精神につながっていくプロセスは、最近出されている日本の失敗論の精神構造などとも結びつくものがあり、国として固有の面がはやりあるのだろう。今ある平和も少し間違えば踏み外すような危うさを感じる。ナイの著書でいえば、当時から冷戦に至ってはハードパワーを国際間で競い、日本も如何に背伸びをしながら国内外にハードパワーを強く錯覚させるかを国のリーダー(一部は危機感を抱きつつも)は思案してきた。持たざる国の精神構造はなかなか変わらず、ソフトパワーにおいても錯覚したままで益々後れをとっているのではないだろうか。

  • 所々引用があって面倒臭いんですが、第一次世界大戦以降の陸軍の思想的変遷が分かりやすく書かれています。個人的には、国柱会の田中智学の思想が勉強できたので良かったです。

著者プロフィール

1963年生まれ。政治思想史研究者、音楽評論家。慶應義塾大学法学部教授。著書に『音盤考現学』『音盤博物誌』(いずれもアルテスパブリッシング、吉田秀和賞およびサントリー学芸賞)、『未完のファシズム』(新潮選書、司馬遼太郎賞)、『鬼子の歌』(講談社)、『尊皇攘夷』(新潮選書)ほかがある。

「2023年 『日本の作曲2010-2019』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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