「空間」から読み解く世界史: 馬・航海・資本・電子 (新潮選書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037634

作品紹介・あらすじ

「空間革命」という独自の歴史観から、五千年の人類史を一気に俯瞰! 乾燥地帯で始まった穀物栽培、騎馬による異文化統合、大陸を結ぶ大西洋支配、地球規模の産業革命、そして無限大のネット空間……人は自らの活動空間を拡大していくことによって進化を遂げる。時間軸からではなく、六つの「空間革命」という枠組みによって文明誕生から今日までを通観してみると、全く新たな世界史像が現れてきた!

感想・レビュー・書評

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  • 世界史を「空間軸」で整理 カール・シュミット「陸と海と」の概念を流用
    世界史を二分するのは「大航海時代」陸の世界史から海の世界史への転換
    著者のフレームのスタート 内容は後継の本がベター

    「6つの空間革命」
    ①農業空間 大河流域 4大文明
    ②地域世界 大河+草原 遊牧民 馬
    ③ユーラシア形成 騎馬遊牧民の帝国
    ④大西洋世界 大航海時代 
    ⑤地球世界 産業革命 鉄道・蒸気船・電信
    ⑥電子世界 

  •  技術・産業に力点を置いた世界史。


    【簡易目次】
    目次 [003-007]

    はじめに 011
      世界史を空間的に考える  二枚の「世界図」が語る世界のイメージ  人口グラフは異質な世界史の接合を示す  世界史の道筋を組み立てる種々の歴史空間  空間革命とは何か

    第一章 人類の誕生から最初の空間革命へ 
    第一節 全てはアフリカ大地溝帯から始まる 023
    第二節 最初の空間革命 028
    第三節 対照的だったエジプト文明とメソポタミア文明 032
    第四節 商業的インドと政治が宗教を抱え込んだ中華世界 038
    第五節 人類の枢軸時代 044

    第二章 ウマと戦車による諸地域世界の創造 
    第一節 第二の空間革命は西アジアから 051
    第二節 対峙するリヴァイアサンとビヒモス 057
    第三節 乾燥地帯から湿潤地帯に中心を移したインド世界 068
    第四節 再生を繰り返す中華帝国 074

    第三章 騎馬遊牧民によるユーラシアの一体化 
    第一節 第三の空間革命と文明の東西交流 085
    第二節 ヒトコブラクダが誕生させたイスラーム帝国 088
    第三節 ユーラシア規模の商業圏の成立 094
    第四節 遊牧トルコ人の世界参加 102
    第五節 モンゴル人によるスーパー帝国の建設 107

    第四章 ユーラシア帝国の崩壊と「小さな世界」の再編 
    第一節 空中分解したユーラシア商業圏 123
    第二節 イスラーム空間の多様化 125
    第三節 伝統に回帰した明と最大の中華帝国・清 131

    第五章 大西洋と大森林地帯での空間革命の胎動
    第一節 ヨーロッパ大西洋岸の活性化 139
    第二節 北の大森林地帯を統合したロシア帝国 145

    第六章 分水嶺となる大航海時代 
    第一節 世界史の新しいエンジンとなった大西洋 149
    第二節 海洋時代へのトレンドを育てたポルトガル 157
    第三節 第四の空間革命と大西洋の開拓 161
    第四節 アメリカ大陸を飲み込んだスペイン 170
    第五節 大西洋空間の枠組みを築いたオランダ 178
    第六節 初めて本格的な海洋国家に転身したイギリス 184

    第七章 大西洋空間とつながる産業革命と市民革命 
    第一節 サトウキビ・プランテーションと資本主義経済 191
    第二節 産業革命と第五の空間革命 197
    第三節 地球を巡る動く道路 204
    第四節 大西洋を囲む国民国家 208

    第八章 ヨーロッパの膨張 
    第一節 イギリスと新たな国際金融制度 219
    第二節 海洋空間が育てた「大きなヨーロッパ」 224
    第三節 「大きなヨーロッパ」とアジアの諸帝国の衝突 227
    第四節 「大きなヨーロッパ」に組み込まれる東アジア 235
    第五節 帝国主義時代とイギリスとドイツの対立 238
    第六節 太平洋への進出を目指すアメリカ 243
    第七節 「大きなヨーロッパ」に飲み込まれたアフリカとオセアニア 251

    第九章 グローバル化する世界 
    第一節 第一次世界大戦と一九世紀秩序の崩壊 255
    第二節 「大きな世界」を瓦解させた世界恐慌 265
    第三節 アメリカの経済覇権と冷戦 274
    第四節 世界企業の一般化と地球空間秩序の転換 280
    第五節 第六の空間革命と多様化する世界 284

    おわりに [298-309]
    参考文献 [301-303]

  • 世界史を空間の観点からまとめている。高校の世界史と違って、全体を俯瞰して眺められるので、世界全体の因果関係を捉えるのに向いている。東南アジアにイスラム教が伝播した流れが興味深い。

  • [評価]
    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    本書のタイトルに世界史とあるが通史ではないことを注意が必要だ。
    むしろある程度は世界史の流れを把握していないと各々の地域にスポットを当てた際に前後する時代の把握が難しくなる。自分も読んでいて苦労した。
    さて本書では世界史を「空間」という観点から解説しているが空間軸に最も大きな変化が起きたのが大航海時代しており、ここまでがユーラシア大陸を中心とした「陸の歴史」が大西洋、インド洋、太平洋を中心とする「海の歴史」に変化したのだとある。
    このような「空間革命」は歴史上で何度も発生しており、それに大きく貢献した要素がサブタイトルの「馬・航海・資本・電子」であることを考察している。
    この本を読んでいると今までに読んできた世界史やテーマ史の知識や社会システムの知識などが関連付けられていることを強く感じ、さらには新たに詳細な歴史を知りたくなる。
    また、空間の結び付きが人類の発展を促し、さらには空間同士が直接接続することで人類が豊かになってきたことを理解することができた。現在では電子空間という陸や海などのような制限がほぼ存在しない新たな空間を生み出され、人類はさらに発展するのだろう。
    ただ、「空間革命」が発生する際には既存の空間を大きく変化させる事が多かったようだ。インターネットという新たな空間の発生は人類発展と共に大きな傷みが伴うのではないかと一抹の不安も感じた。

  • 世界史を空間をベースにした見方でまとめた面白い本だ.遊牧民が馬を使って統合を果たした2600年前.イスラムを基本にした騎馬遊牧民によるユーラシアの統合(1400年前).大航海時代で諸大陸が結びついた500年前.産業革命後の交通手段の発達による地球全体が統合された200年前.その後の電子空間が地球規模で形成された現在までの動き.このような視点で世界史を見ることの楽しさを知ることができた.

  •  「世界史」は、高校時代、あまり得意ではありませんでした。
     バラバラな知識の寄せ集めに感じられたからです。
     バラバラな知識を砂をかむ思いで、
     ただ暗記する科目に思えたからです。

     『「空間」から読み解く世界史』を読んでいると、
     いままでバラバラだった知識同士が
     つながっていくのが分かります。
     そこと、こことが、つながっているのか。
     そうだったのか。

     つながるのは、快感。
     (2015年06月03日)

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著者プロフィール

1942年,東京生まれ.東京教育大学文学部史学科卒業.
都立三田高等学校,九段高等学校,筑波大学附属高等学校教諭(世界史担当),筑波大学講師(常勤)などを経て,現在は北海道教育大学教育学部教授.
1975年から1988年までNHK高校講座「世界史」(ラジオ・TV)常勤講師.

「2005年 『ハイパワー世界史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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