EU騒乱: テロと右傾化の次に来るもの (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037832

作品紹介・あらすじ

なぜ「欧州」は今、私たちをこんなに不安にさせるのか――。パリの無差別テロ、溢れる難民、財政破綻、そして右傾化――。「平和」をかかげ「民主主義」を育んだEUの国々が今、躓いている。在仏四十年、欧州を見続けたジャーナリストが見抜く「危機の本質」が「民主主義の現在地」を明らかにする! さまよえる世界の行方と日本が最も知るべき「本当の欧州」を捉えた緊急レポート。

感想・レビュー・書評

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  •  良書。でも『新潮選書』。「入門書」じゃあない。
     現代の欧州統合史が深い部分まで、そしてその軋轢まで、うまく纏められている。それだけに歯応え読み応え、ハンパない。
     頭から読み始めるとやや厳しいだろ。目次で馴染みのある箇所を先に拾って読み始める方が吉。

  • 本書では、まず、2014年から2015年にかけて起きたエポックメーキングな事件を追う。すなわち、欧州議会選挙での「欧州懐疑派」の台頭と、難民移民、格差問題。そしてギリシャ債務問題をめぐるチプラス政権と債権者の確執。
    この観察は、原点から、EUの歴史と思想を振り返ることに導いた。
    2005年にフランスやオランダで欧州憲法条約の批准が国民投票で否決されたとき、欧州の統合は終わった、といわれたが、果たしてそうなのだろうか?
    この問いの先には、「民主主義」が待っていた。
    役所でも劇場でも、パリの街を歩けば、いたるところにEUの青い旗がはためいている。大統領や首相の演説でもバックには国旗と並んで必ずEU旗がある。工事現場にはEUの補助議場と書いてある。第一、毎日ユーロを使っている。それなのにEUは、つねに人々の不満の対象であり、「民主主義の赤字」と批判され、不変の課題となっている。

  • EUについては全く知識不足だったが,本書でなんとかなりそうだ.第3章のEU誕生までの物語が良い.第二次大戦の5年後の1950年にフランスのロベール・シューマンが計画を発表した由.チャーチルやアデナウアーなどよく知った名前が出てくる.ECSC→ EEC→ EC→ EUと展開していく過程が良く理解できる.p188のリベラルとソシアルの話が面白かった.「フランス式をアメリカにあてはめてみると共和党はリベラルであり,民主党はソシアルになる」とある,またこの後に歴史的にもリベラルとソシアルの定義が変遷してきたことが書いてある.このような区分けは無意味ではないかと感じた.p172の「経済学の概念の貧困さ」は良い視点だと思う.ピケティの評価がフランスで低いのがよく分かる.シャルリエブド事件やパリ同時多発テロに関して,多民族国家のキーワードがライシテであると述べて,それの解説が続くが,野菜サラダに例えているのが面白かった.野菜が個人で,ドレッシングがフランス語であり人権 の由.難民問題についても記載があったが,正直 日本の役割が何なのかよくわからない.

  • 329.37||Hi

  • 【新着図書ピックアップ!】EU騒乱: テロと右傾化の次に来るもの 無差別テロ、溢れる難民、財政破綻、そして右傾化。「本当の欧州」とは。
    【New Book!】An indiscriminate terror, flows of refugees and displaced persons, financial reversal, and, Rightward tilt, what is about to break out in Europe?

  • パリの無差別テロ、溢れる難民、そして右傾化 ―― 。「平和」をかかげ「民主主義」を育んだEUの国々が今、躓いている。在仏40年、欧州を見続けたジャーナリストがEUが抱える問題点と「民主主義の現在地」を明らかにする。

    第1章 欧州議会選挙ショック
    第2章 EUとギリシャの危険なドラマ
    第3章 「共同体」の選択
    第4章 別の欧州
    第5章 民主主義の出口

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