- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106037931
作品紹介・あらすじ
現代人よ、「孤独」をそんなに悪者にするな! 「独居老人」「孤独死」など、まるで「ひとり」が社会悪であるかのように世間は言う。が、人は所詮、ひとりで生まれ、ひとりで死ぬ。「孤独」と向き合うことで、より豊かな生を得ることができるのだ。親鸞、道元、日蓮、一遍など先達の生き様を振り返り、日本思想の源流ともいえる「ひとりの覚悟」に光を当てる。
感想・レビュー・書評
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哲学者、宗教学者の山折先生のご著書、以前から親しんで来ましたが、親鸞、道玄、日蓮、一遍(法然にも触れる)らの有り様を追い、振り返り、「ひとりの覚悟」を掘り下げる一冊。
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持戒僧でも破戒僧でもない非僧非俗というセクトに属さない生き方をした親鸞、只管打坐で無を考え続けた道元、異端者としての日蓮。そして彼らを前後に挟む法然と一遍を題材に、「ひとり」を考える内容…というと壮大だが、中身は登場人物のゆかりの地を巡っての随筆や出生を外観するソフトなもの。むしろタイトル負けしている感すらある。
ただ、エッセー風なところもあって、鎌倉新仏教を広く浅く見るには優れて読みやすいと思います。序章が社会的な孤独問題から入っていっているので、この方面から人間にとっての孤独、一人とは何か? という真の意味での哲学的考察を期待すると肩透かしかもしれません。 -
「ひとり」の概念は生まれるときも死ぬときも所詮はひとりであるという事。一方で「個」はまさに英語に訳すところのindividual(分断し得ない)という状態を表すものであり全く違う概念である。それが孤独という言葉で表されたときにさして違わない概念として捉えられがちであるがその違いを理解して「ひとり」を楽しむ処方箋として有益な著作であった。
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「ひとり」を解釈する本。
親鸞,道元,日蓮それぞれの「ひとり」が興味深い。 -
17/06/30
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書籍タイトルは「「ひとり」の哲学」だが、その内容は雑誌
連載時につけられていたタイトル「日本人よ、ひとり往く
生と死を怖れることなかれ」の方が良く現しているだろう。
過去の日本の仏教者に焦点を当て、今を生きる日本人に
「ひとり」を提言する著者の叫びにも似た沈痛な思いが
伝わってくるように思う。半ば紀行のような内容なので
読みやすいのだが、何か重たいものが心の奥の方に残る、
そんな本だった。時間のない人も序章と終章だけでも読んで
みて欲しい。少なくともひとりであることは悪ではない。 -
「ひとり」を支える「こころ」。日本語の「こころ」は英語にない。やまと言葉の「こころ」は万葉集以来の千年の歴史。こころが騒ぐ、こころ苦しい、こころ残り。漢語の「心」は中国から来た。道徳心、愛国心、公共心。「こころ」は人間的な煩悩系の意識を、「心」は観念世界を志向する。「個」として自立し、「ひとり」で生きていく覚悟を持つ。「ひとり」は孤立ではなく、無量の同胞の中で生きること。