親鸞と日本主義 (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106038143

作品紹介・あらすじ

なぜ“南無阿弥陀仏”は、ファシズムと接続したのか――。大正から昭和初期にかけて起きた親鸞ブーム。その絶対他力や自然法爾の思想は、やがて“国体”を正当化する論理として、右翼や国粋主義者の拠り所となる。ある者は煩悶の末に、ある者は戦争の大義を説くために「弥陀の本願=天皇の大御心」と主張した。「親鸞思想と国体」という近代日本の盲点を衝き、信仰と愛国の危険な関係に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 宗教

  • 中島岳志さんの本を全部とは言わないまでも読み続けていて、この本はトークイベント&サイン会にも行った。もう1年以上も前になる。
    浄土真宗、親鸞聖人、歎異抄への関心も割とあり、「愛国と信仰の構造」もとても勉強になったので、すぐに読み始めるはずが。
    中島さんの本の出版は続き、図書館で借りた本はさっさと読むのに、自分で買った本は…
    先月買った「保守と大東亜戦争」は読み始める前に行方不明になってしまった。

  • 購入 2018/06/03

  • 戦前の浄土真宗と国体論のつながり等、寡聞にして全く知らなかった。大谷派の論議は読み応えがあり、思想や宗教の危うさを感じさせる。力作だと思う。

  • 著者による「血盟団事件」を読んだ時に、宮沢賢治と5.15事件の青年将校たちに共通に流れる血としての日蓮宗を知った時、宗教が現実と交わる時に発揮する禍々しさにたじろぎました。本書では親鸞の教えの「他力本願」「悪人正機説」がいかに日本が戦争に突入する時のナショナリズムの形成に繋がっていったかを検証していきます。キーワードは「煩悶青年」。理想と現実の狭間に悩む自意識過剰の青年たちが「自力」に傷つき「他力」の赦しを求める青春が親鸞に出逢って救われていく、そんな一個一個の物語が激しく日本を神の国にしていくことが怖くなります。そして青春の悩みは性欲との葛藤。笑っちゃうくらいにこの本には自分の性欲を持て余す青年が登場します。もしかしたら第二次世界戦争に向かう日本も明治時代が赤ん坊時代だとすると青春まっただ中で、有り余る性欲をアジア大陸や太平洋にぶちまけたのかも、ね。そして放出してしまった青年らしく、戦後は何もなかったようにスルーってのも笑えるくらい。翻って、性欲の少ない現代の草食ニッポンが求める宗教はなんなんだろう?もとめるナショナリズムはなんなんだろう?と思いました。

  • 日本主義を信奉した知識人、文化人の中には、深く親鸞の思想を研究したものが散見された。
    親鸞の思想がどのように日本主義に転換していくのか、いくつかの実例を挙げて検証している。

  • 親鸞の説く絶対他力の考え方が非常によく理解できたが後書きにあるように国体主義者が置き去りにした「平凡の非凡」こそがその根本にあるということを忘れずにいることが肝要なのだろうが、今の周囲を見るとき非凡であるが為に平凡を劣位に見、それを切って捨てるかのような利己的な言説が溢れている。親鸞の思想をもっと深く学んでみたい思いにさせてくれる著作でした

  • 終章が結論ということではあるが、倉田百三、吉川英治の右翼思考は知らなかった。

  • 知識が追い付かず斜め読み。
     
    あとがきに著者は真宗大谷派の教学員を務めてらっしゃるとあり、本書の内容からすると良い意味で意外なことに感じられた。

  • 大正から昭和初期にかけて、親鸞の思想が皇国主義と結びついていった。

    本書は、いかにして親鸞の思想がこれらの右翼思想に取り込まれて行ったかを当時の文献を紐解いている。各章のテーマは、歌人同人(三井甲之)、ベストセラー作家(倉田百三)、教誨師(刑務所専属の僧侶)、大衆文学(吉川英治)、浄土真宗の教義の変遷。

    親鸞の教えにある阿弥陀如来の「他力」が天皇崇拝に置き換えられるとともに国体論を補強する中心的な概念になった。そして「天皇陛下万歳」と言って死ぬ瞬間の恍惚感に究極の信仰の境地を見出す、というようなことが思想家や宗教家によって論じられた。太平洋戦争末期の特攻攻撃などに先立って、このような議論が論壇・宗教界においてなされていたことを知り、気持ち悪く思った。

    最終章は少々読みにくいが、時間をおいて再読したい。

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著者プロフィール

1975年大阪府生まれ。大阪外国語大学卒業。京都大学大学院博士課程修了。京都大学人文科学研究所研修員、ハーバード大学南アジア研究所研究員、北海道大学公共政策大学院准教授を経て、現在は東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。専攻は南アジア地域研究、近代日本政治思想。2005年『中村屋のボース』で大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞大賞受賞。著書に『ナショナリズムと宗教』『インドの時代』『パール判事』『朝日平吾の鬱屈』『秋葉原事件』『「リベラル保守」宣言』『血盟団事件』『岩波茂雄』『アジア主義』『下中彌三郎』『親鸞と日本主義』『保守と立憲』などがある。『報道ステーション』のコメンテーター等、メディアへの出演も多数。

「2018年 『保守のヒント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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