世界史を変えた新素材 (新潮選書)

  • 新潮社 (2018年10月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784106038334

作品紹介・あらすじ

「材料科学」の視点で描く驚異のグローバル・ヒストリー! 金、鉄、紙、絹、陶磁器、コラーゲン、ゴム、プラスチック、アルミニウム、シリコン……「材料科学」の視点から、文明に革新を起こしてきた12の新素材の物語を描く。「鉄器時代」から「メタマテリアル時代」へと進化を遂げた人類を待ち受ける未来とは――ベストセラー『炭素文明論』に続く大興奮のポピュラー・サイエンス。

感想・レビュー・書評

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  • 簡単過ぎず、難し過ぎず。
    前著『炭素文明論』は「世界史×科学」の分野があることを指し示してくれた。日常に潜むSTEMに嫌気がさした時、自分が『炭素文明論』を読んだという事実を思い出すと幾分か心が落ち着く。

    本書も例外ではなく、大当たり!
    世界史上に見られる新素材12種を順番に追い、解説にも簡単と難解の落差が見られない。(つまり全編通して分かりやすい) メモ代わりにしたいところだが、ここに全12種は収まりきらんのでいつもながら数点ピックアップ…

    金:貨幣から今やスマホにまで搭載されており、その輝きは「太陽の色に似ている」とは…思わず溜息が漏れた。
    相対的に白金(プラチナ)が歴史上持て囃されなかった理由も明らかになる。(20世紀になってようやくカルティエが、貴金属として白金をジュエリーに採用したんだとか)

    鉄:世界史の授業でもお馴染みのキングオブ金属。(ヒッタイト…取り敢えず懐かしい笑) 地球上に沢山存在するゆえに民衆も簡単に手にすることが出来たという鉄。それを更に強化した鋼や錆びなくしたステンレスに変えた叡智に改めて感服する。それで人類が繁栄すると早くに分かっていたら、何百年も錬金術に勤しむ必要なんてなかったろうに。(浅い見解…)

    炭酸カルシウム:「千両役者」とは、これいかに⁉︎ なるほど、チョークにセメント…、果ては真珠まで⁉︎ セメントと同じ素材を使ったらそりゃ丈夫な貝殻が出来るよね…中身の真珠もそれとは、本当に何にでも化ける。。鮮やかに飛び六方を踏む役者を見送った後みたいに、章が終わっても呆然としていた。

    シリコン:別名「ケイ素」。炭素とは兄弟元素…周期表の並びもテキトーではなかったか笑(思えば常識) 炭素と違って生物とは結びつけない分、材料として役に立ってくれている。シリコンバレー誕生秘話も何だか熱量を感じて面白かった。

    メタマテリアル(超越物質):初耳…上手く活用できれば「透明マント」の開発も夢ではないらしい。
    当時の段階では作り出せない未来の材料・製品を夢見た過去の人達みたいに、自分達も「メタマテリアル」の先にある透明マントを羨望しているのかも。

    佐藤氏による「世界史×科学」は、今日もこうして一読者の中に夢ある反応を生み出したのでした。(つづく。つづける!)

  • 新しい材料は変革をもたらして文明を発展させるという意味で、人類の歴史に果たしてきた役割は大きい。

    ファインセラミックスは、純度100%近い材料を用いて、粒のサイズ、焼成温度をコントロールして作る焼き物。コンデンサや電池の電極、高温超電導材料が作り出されている。

    コラーゲンは、アミノ酸の鎖が3本絡み合った長い繊維で、ヒドロキシ基によって3本の鎖が結合されている。細胞間の隙間を埋めて貼り合わせる役割を持つほか、骨もコラーゲン繊維の間をリン酸カルシウムの結晶が埋めた構造をしている。コラーゲンは、人間のたんぱく質の3分の1を占める。コラーゲンを煮込むと鎖がほどけて水分を含んだゼラチンになる。木製の弓に動物の骨や腱をゼラチンを主成分とした膠を接着剤として貼り合わせた小型かつ軽量の複合弓は、モンゴル帝国の世界征服において主要な役割を演じた。

    恒星内の核融合によって、ヘリウム、炭素、ネオン、酸素、ケイ素、鉄が作られる。鉄が原子核の中で最も安定している。ヒッタイトが開発したのは、海綿状の鉄を木炭の中で熱することで硬く強靭な鋼鉄を作る技術だった。鉄の耐食性を高めるために、スズでメッキしたブリキ、亜鉛でメッキしたトタン、ガラス質を焼き付けた琺瑯、クロムを加えたステンレスが生まれた。

    105年、樹皮や麻を灰と共に煮ることにより、セルロースを取り出して作る現代と同様の紙の製法が中国で発明された。751年のタラス河畔の戦いで捕虜になった唐軍兵によってアッバース朝に伝わり、第2回十字軍の際に捕虜となったフランス兵が帰郷後に製紙業を興した。活版印刷は宋で発明され、ヨーロッパでは1450年頃からグーテンベルクが開始した。イスラム圏では印刷することが300年の間禁止されたため、印刷技術が普及しなかったことが、科学技術の面でヨーロッパに逆転を許した大きな要因と指摘されている(ニコラス・バスベインズ)。

    石灰岩に粘土、珪石、酸化鉄などを混合して高温で焼いてできた生石灰(CaO)を粉砕したものがセメントで、それに砂や砂利を混ぜて強度を増したものがコンクリート。

    ゴムは、イソプレン(C5H8)が長く一直線につながったもの。天然のゴムは夏には溶け、冬には固くなる代物だったが、アメリカのチャールズ・グットイヤーは、ゴムに硫黄を加えて加熱することで耐熱性を持たせることに成功した。球技の多くが19世紀後半に協会を結成したり、現在に続く大会が開始されたのは、良質のゴムが普及したことによる。ただし、グットイヤー社は半世紀後に設立されたもので、資本関係はない。スコットランドのジョン・ダンロップは、1889年に空気入りタイヤを生産する会社を設立した。

    プラスチックは、合成樹脂などの高分子物質を主原料としたもの。セルロースと硝酸を化合したニトロセルロースに樟脳を混ぜて硬化したものがセルロイド。象牙で作られていたメガネフレーム、ピアノの鍵盤などに用いられたほか、映画フィルムに用いられたが、燃えやすいために現在ではほとんど使われなくなっている。ポリエチレンは1939年に生産工場が作られ、軽量で絶縁性に優れていることから、第二次世界大戦中のレーダー開発に大きな役割を果たした。現在も、全プラスチックの4分の1を占めている。ペットボトルは、1982年の食品衛生法改正によって飲料用に用いることができるようになった。海洋のマイクロプラスチックの総重量は、2050年頃には魚の総重量を超えるとの試算もされている。

    シリコン(ケイ素)は、金属のように電子が自由に動かないが、他の元素をほんの少しだけ混ぜることにより、電子が移動するようになる。半導体とは、不純物の量や光の当て方によって電気の通し具合をコントロールできる物質のこと。電子の少ないホウ素を混ぜたものをp型半導体、電子の多いリンを混ぜたものをn型半導体と呼ぶ。これらの半導体を組み合わせることによって、電流を一方だけ通すダイオードや、情報を記録する半導体メモリなどをつくることができる。トランジスタは、異なる性質の半導体をサンドイッチにしたもので、長寿命かつ低コストで生産でき、いくらでも小さくできる。シリコーンゴム(silicone)は、炭素とケイ素を人工的に結合させたもので、柔軟で耐久性が高く、熱にも強い。

    アメリカは、2011年に新材料の開発速度を2倍に上げる政策を打ちだして成功した。これを見て、中国も同様の計画を立てて急速に追い上げた。

  • 前に読んだ佐藤氏の著書が面白かったこともあり、手に取ってみました。
    想定していた以上に面白い内容でした。
    「素材」に着目したことが、この本の秀逸な点であり、佐藤氏の経歴や知識を存分に発揮できる内容につながったと思います。

    金、陶磁器、コラーゲン、鉄、紙(セルロース)、炭酸カルシウム、絹(フィブロイン)、ゴム(ポリイソプレン)、磁石、アルミニウム、プラスチック、シリコンの12種類の素材が取り上げられています。
    「12種」がそもそも絶妙だと思いますし、素材ごとのドラマも面白いですし、関連する物質(素材)や人(発見者や開発者)に関する説明も勘所を押さえていて、内容的には文句のつけどころがない本だと思います。
    昔読んで面白かった『「理科」で歴史を読みなおす』にも通ずるところが多く、どんどん次が読みたくなる本でした。

    ただ、1点気になったところがあります。
    それはタイトル。
    個人的には、『世界史を変えた新素材』ではなく、『世界史を動かした新素材』とした方がしっくり内容でした。
    おそらく、著者ではなく、編集側が考えたもので、あえての違和感を狙ったのだと思いますが、自分には「タイトルの付け方が雑」という印象が残り、唯一そこだけが残念でなりません。

  • 時代は一人の天才による発明や思想、戦争のような外圧などにより大きく変転する。イノベーションにより歴史が変わり、青銅器文明、鉄器文明など象徴的技術で時代を区切る。まさに、初期の世界史は、素材の歴史だったのだ。

    雑学では無い、テーマ毎にきちんと整理された知識が学べる。初耳な事も多いし、確かにと合点する論拠も多い。一口に素材と言っても金属類だけでは無い。寒冷期を生き延びる為に毛皮が重要。毛皮はなめす必要があり、加工には唾液から、柿渋などのタンニンを用いるなど、ここでも技術の発展があった。死活問題として、毛皮を扱えた者だけが生存できたという超重要なターニングポイントでもあったのだ。

    これだけではないが、もう一つ面白いなと思ったのは紙の話。これが東西の芸術作品の歴史にも影響したのだという。先に紙を使いこなした東洋では、書道や水墨画など紙を画材とする芸術が発展。ヨーロッパにおける紙の大量生産は木材からのパルプ製造法を発明を待つ必要があり、西洋の芸術は彫刻が重要な位置を占めた。

    斯様に社会には技術との因果関係があり、それにより随分様相が異なってくる。現代で言えば、インターネットやスマホだろうか。スマホ以前とスマホ以降では、道でヒヤリとする頻度や電車の乗客の首の角度が違う。あらゆる情報が表に出されるせいで、検索に引っかからない店は無きものにされてしまう。これが続くとどういう世界を迎えていくのか。まさに時代の転換点にいるのかも知れないし、いつの時代もその過渡期だとも言えるかも知れない。

  • 「炭素文明論」の続編。「WEBでも考えるひと」の連載を加筆修正したもの。12の材料を取り上げている。以下メモは鉄と絹。ほかにメディアの王・セルロース、球技と車を産んだゴム、材料科学の暗い未来・プラスチック、炭素の脳を上回るケイ素などが面白かった

  • <目次>
    はじめに  「新素材」が歴史を動かす
    第1章   人類史を駆動した黄金の輝き~金
    第2章   一万年を生きた材料~陶磁器
    第3章   動物が生み出した最高傑作~コラーゲン
    第4章   文明を作った材料の王~鉄
    第5章   文化を伝播するメディアの王者~紙(セルロース)
    第6章   多彩な顔を持つ千両役者~炭酸カルシウム
    第7章   帝国を紡ぎだした材料~絹(フィブロイン)
    第8章   世界を縮めた物質~ゴム(ポリイソプレン)
    第9章   イノベーションを加速させる材料~磁石
    第10章   「軽い金属」の奇跡~アルミニウム
    第11章   変幻自在の万能材料~プラスチック
    第12章   無機世界の旗頭~シリコン
    終章    AIが左右する「材料科学」競争のゆくえ

    <内容>
    佐藤健一郎の科学史のシリーズ。これは「材料化学」の世界。「素材」をクローズアップしたもの。周期律表の秘密(縦系列は性質が似ている)とか、地球には鉄よりもアルミのほうが多く存在している(それも倍近く)とか、雑学的な話も面白い。こうした物質が世界史を動かしていたことは、とても興味深いものだ。
      

  • 【2021年度「教職員から本学学生に推薦する図書」による紹介】
    川村悟史さんの推薦図書です。

    <推薦理由>
    材料によって作り上げられた我ら人類文明のグローバルヒストリー.金・陶磁器・コラーゲン・鉄・紙・炭酸カルシウム・絹・ゴム・磁石・アルミニウム・プラスチック・シリコンの12種類の材料をカギに人類史を描く.まさに文理融合,教養書としてお勧めです.

    図書館の所蔵状況はこちらから確認できます!
    https://mcatalog.lib.muroran-it.ac.jp/webopac/TW00365974

  • 私は化学がとにかく苦手なのだが、本書は根気強く楽しく、歴史に絡めて説明されているので、とてもスムーズに読み進められた。

  • 文明を生み、人類を豊かにした様々な素材として、鉄やアルミなどの金属、コラーゲンやセルロース(紙)などの自然素材、陶磁器やゴムなど天然素材に人間が加工を加えたもの、そして、プラスチックやシリコーンなどの人口素材を取り上げ、その歴史や特性・用途について分かりやすく解説されている。サイエンスライターらしく話題も豊富で、読んでいて飽きないし面白い。

  • 大学院の授業(材料)の課題図書。

    材料は専門でないしあまり興味もなかったので読み始めるのに抵抗があったが、雑学的な話が多くとても読みやすかった。

  • [墨田区図書館]

    思っていたよりも、豆知識本みたいな作りで面白かった。
    同著者の「世界史を変えた薬」を読んだ後だったので、文調も分かっていただけに読み流ししやすかった。

    ・鉄→韃靼人(タタール)→たたら製鉄→タタルスタン共和国
    Painting theForcebridge

    ・ナノセルロース→セルロースファイバー

    ・真珠産地は世界に5箇所、うち2箇所は湾、マーガレットやマーガリン、匁は真珠の重さだけには今も国際標準

    ・桑原桑原、日本書紀頭部から蚕、渋沢栄一、桑畑記号の廃止、スパイダーシルク

    ・マッキントッシュ、ペニー・レイン

    ・磁石に種類?俵万智の父、強力なのはネオジム?

    ・アルミ、ホールとポール・エルー産まれと死去、発明に名前。

    ・プラスティック、ティベリウスは職人を殺した、プラスティックとは人工的な高分子、だから可溶性が低い、マイクロプラスティの話も、2018年だからか、

    ・シリコン、半導体、ドーピング、ケイ素の脳な炭素の脳を追い抜く、HPはシリコンバレー最初の会社

  • 本書は、世界に大きな変革をもたらした12の材料(金、陶磁器、コラーゲン、鉄、紙(セルロース)、炭酸カルシウム、絹(フィブロイン)、ゴム(ポリイソプレン)、磁石、アルミニウム、プラスチック、シリコン)を取り上げ、材料が生み出された経緯や歴史との関わりを解説した書。「炭素文明論」の続編。

    身の回りのありきたりな材料について、実は知らないことばかり。とても勉強になった。例えば、

    「コラーゲンは細胞と細胞の隙間を埋め、互いに貼り合わせる役割をも」ち、「神代のタンパク質のうち、三分の一はコラーゲン」であリ、「植物の生み出した最高の材料がセルロースなら、動物が作り出した最高の材料は、コラーゲン」である、

    「純粋な鉄自身は、実は銀白色の柔らかい金属」であり「地球全体でいくとその重量の約三割が鉄」、「陽子二六個、ち中性子三〇個が集まってできた鉄の原子核は、全ての原子核の中で最も安定なものの一つであり、これ以上小さくても大きくても不安定に向かう」、

    八世紀から一三世紀にかけて世界最高水準にあったイスラム圏の科学技術力がその後衰退したのは「印刷技術の導入に抵抗したため、知識の普及が阻害された」ため、

    「昭和初期には、全畑地面積の四分の一をおいて桑畑が占めていた」ほど依然は養蚕が盛んだった、

    アルミニウムは地表における存続度が第三位と豊富なのにも関わらず「金属アルミニウムの歴史はわずか二〇〇年にも満たない」のは、アルミニウムの「酸素との結びつきがあまりに強力であるため」、

    「地上を走る車両に革命をもたらした材料がゴムなら、航空機の時代を呼んだ材料はアルミニウムである」、

    等は常識として知っていないとなあ、と思った。

    そういえば、子供の頃住んでいた地域に桑畑残ってたなあ。時々、上に伸びた枝がバッサリ刈られて丸坊主になってた。あの桑の葉は何処に運ばれてたんだろうか? 桑畑でカミキリ虫を捕まえて遊んだ記憶もある。今や遠い昭和の思い出になってしまった。

  • 題名通り「素材」をテーマにした科学読み物。
    金や鉄、紙、シリコンなど12の素材を取り上げて、その素材の歴史と化学、ちょっとしたトレビアを加えたもの。
    WEB雑誌の連載をもとにしたもので、それぞれは小編程度。しかし著者の広範な知識と巧みな文章に好奇心をくすぐられ、あっという間に読み終えた。
    半導体の元となるシリコンなど、これだけでも一冊の本にして読んでみたい。

  • 世界史というより材料史で、技術の発展のみでなく、文明・文化の発展にいかに素材が寄与しているかが記されている点がよい。既存の代替に加え、思想や価値の具現化に寄与していることに納得。あと文章、エピソードなど読み物として読みやすい

  • この人とサイモンシンの本は絶対に読むくらいに好きな作者。
    今回も歴史とその社会を形作る素材の進歩をエピソードを交えて講釈してくれるのが本当に楽しい。

  • 科学者から見た世界史。
    世界史というよりも材料科学が社会に与えたインパクトといったほうがわかりやすい。
    高校生の時に読みたかった。

  • 人類の文明にとって重要な材料として、金、陶磁器、コラーゲン、鉄、紙、炭酸カルシウム、絹、ゴム、磁石、アルミニウム、プラスチック、シリコンを取り上げて解説した好著だ.特にコラーゲンと炭酸カルシウムが異色だと感じた.終章のAIに関する記述も楽しめた.このような解説書はもっと読まれるべきだと思う.これらの事項をある程度把握してうえで世の中の事象を見つめる必要があると思っている.

  • 面白かった。短くうまくまとめてある。

    プラスティックや計算機が古代にあったのにその技術が伝わらなかったというところが面白かった。

  • 1冊ワンテーマの「炭素文明論」の姉妹篇で、こちらは複数の材料(「素材」を化学用語で言うとこうなる由)を取り上げ、人間との関わりを論じた本。
    化学者なのに(と門外漢には思える)「物理が苦手」とか書いちゃう著者の文章は相変わらず面白く、かつわかりやすく、文句なしに親しみやすい。
    一般向けのサイエンス・ライターというのはいつの世も1席は需要があるが、当代はこの人の独壇場か。

    2019/4/27〜4/28読了

  • 科学者による、歴史的に見て優れた素材について説明した本。金や陶磁器、鉄、紙、ゴムなど社会に大きな影響を与えた素材を簡潔に説明している。身近にある物の発明経緯や歴史的な価値を知ることができ、たいへん有意義な内容だった。
    「考古学というものはどこの国であれ、まず壺とその破片を探すところから始まる。土器、陶器、磁器などの発達度合いは、その文明の成熟度を測るよきバロメーターだ」p33
    「粘土を低温で焼いて作ったものは、いわゆる「素焼き」と呼ばれ、縄文式土器や弥生式土器は全てこれに当たる」p37
    「(地続きから島になったタスマニア)(人の行き来がなくなると文明は衰退する)結局タスマニアからは、ブーメランや骨製の釣り針、魚とりの罠や衣服を作る技術が、わずか数千年で失われてしまった。外部との交流を絶たれて自給自足の状態に追い込まれると、進歩が止まるどころか衰退さえ起きてしまう」p50
    「スズで鋼板をメッキしたブリキ、亜鉛でメッキしたトタン、ダラス質を焼き付けた琺瑯(ほうろう)」p73
    「(製紙の開始年)中国105年、スペイン1056年、イタリア1235年、ドイツ1391年、イギリス1494年、オランダ1586年、北米1690年。以外にもその拡大速度はかなり遅い」p88
    「東洋では、書道や水墨画など、紙を画材とする芸術が発展した。これに対し、西洋では長らく彫刻などが芸術分野において重要な地位を占め、絵画もフレスコ画や油絵といったジャンルが主流となってきた」p88
    「8世紀から13世紀にかけて、イスラム圏の科学技術は世界の最高水準にあったが、ルネサンス以降のヨーロッパに逆転を許し、大きく水を開けられた。これは、印刷技術の導入に抵抗したため、知識の普及が阻害されたことが大きな原因と指摘されている」p91
    「(ワシントンモニュメントの頂点をアルミキャップで覆った)このアルミニウム1オンス分だけで、この塔を建てた全労働者の1日分の給料をまかなえたという。ほんの数百年ほど前のアルミニウムは、金やプラチナなど足元にも及ばぬほどの高価な「貴金属」であったのだ」p165
    「破壊的なイノベーションとは、その種を発見することよりも、それを形あるものとして世に送り出すことのほうが、難しい」p180
    「(破壊的イノベーション)(トキワ荘など)才能の異常な結集と爆発が起きているケースには、いくつかの共通点がありそうだ。新しく切り開かれた分野であること、十分な資金が集まっていること、リスクのあるチャレンジができる状況であること、自由闊達に議論ができる環境であることなどだ」p210

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著者プロフィール

千葉大学大学院社会科学研究院准教授。1976年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)

〈主要業績〉
『「平等」理念と政治――大正・昭和戦前期の税制改正と地域主義』(吉田書店、2014年)
「大正期の東北振興運動――東北振興会と『東北日本』主幹浅野源吾」(『国家学会雑誌』第118巻第3・4号、2005年)

「2019年 『公正から問う近代日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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