- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106038396
作品紹介・あらすじ
よく生きたのだから、そろそろ鎧を脱いで気楽にならないか。人は、後半生になると重荷を下ろしたくなるものだ。西行、親鸞、芭蕉、良寛に共通するのは、人生の折返し点を過ぎ、歌や句に傾倒していったこと。肩にのしかかった責務や思想、人間関係などから解き放たれ、旅に出て「うた」をつくった。孤独を楽しみ、軽やかな自由の世界にあそんだ。『「ひとり」の哲学』に続く、心にしみる人生論。
感想・レビュー・書評
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病を経ての本書で、山折先生は、西行、親鸞、芭蕉、良寛を追い、身軽になっていったその足跡を綴るもの。いま、90歳を越えておられると思いますが、身軽な暮らしをなさっているでしょうか。
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情緒的で詩的な表現が多くロマンチストな著者なんだなぁという感想。
ミニマリズム、禅、といった興味から、一切を棄てて身軽になるということをもう少し深く知りたいと思って読んだが、物理的な身軽さではなく、歳を重ねて凝り固まってきた思想からの解放を求める内容で、私が求めているものよりも一段先をいっている。それゆえ、膝を打つようなしっくり感は得られなかった。
しかし、本書で挙げられた4人の人物の晩年の生き方に俄然興味がわいたので、これを糸口にし探求を続けたい。 -
仙崖という人物にちょっと興味が。良寛のお茶のエピソードには引いた…みんな悩んで、背伸びして、吸収しまくり、次のレベルに達するのに捨てようとしても捨てられず…やっと最後には身軽になる。人生の、思想の、信仰の断捨離も大変だなー、と思いました。
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山折老師の「哲学」というか、エッセイに近い人生の「終末期」に関する考察である。簡潔にして平明な名文が、そのように感じさせるのだろう。インドでは古来、人生では「学生期」「家住期」「林住期」「遊行期」の四住期を経るのが理想とされるが、日本で特に「林住期」「遊行期」に特徴的な業績(?)を残した4人・・・西行・親鸞・芭蕉・良寛・・・を取り上げて、それぞれの業績とそれに至るまでの葛藤を描き、またそれぞれの思想の関連性を考察している。本書の冒頭で、著者が老境を迎えて処分を進めてきた書籍のうち、どうしても処分に踏み切きれなかった全集類を最近手放して、意外にも「身軽」さを感じた、と述べている。そしてそれが本書の題名の「身軽」となっているのであって、前記4人が老境になっていかに「身軽」(ニルバーナ)を迎えたか、が主テーマとなっているのでだ。それにしても、著者も触れているが、この本を書くに当たって資料を大量に入手したであろうから、著者は再度「身重」になってしまったのではなかろうか。