悪党たちの中華帝国 (新潮選書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106038884

作品紹介・あらすじ

中国の偉人はなぜ「悪党」ばかりなのか――? 後周の世宗・明の永楽帝ら、虐殺を重ねた支配者たち。安禄山・馮道ら、権力に執着した裏切者たち。王安石・梁啓超ら、独り善がりな改革者たち。李卓吾・康有為ら、過激な教えを説いた思想家たち。12人の生涯をたどり、彼らが「悪の道」に堕ちた背景を解き明かす。現代中国の悪党も射程に入れた、圧巻の1400年史!

感想・レビュー・書評

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  • 隋唐から中華民国までの「中華帝国」史上、ほぼ同じ時代ごとに6組の「対」、12名の「悪党」というべき人物を取り上げ、その「悪党」ぶりを検討し、それぞれの人物像を描きなおすとともに、「中華帝国」を構成する時代相の見直しも試みる。具体的に取り上げられる「悪党」は、唐の太宗、安禄山、馮道、後周の世宗、王安石、朱子、永楽帝、万暦帝、王陽明、李卓吾、康有為、梁啓超である。
    著者らしい格調高い文章で、一般にはあまり知られていないような人物を含め、それぞれの時代を代表する「悪党」から「中華帝国」の歴史の全体像が浮かび上がる好著である。「悪党」といいつつ、取り上げられるそれぞれの人物に対する著者の眼差しにはいずれも慈愛のようなものを感じた。
    これまであまり知っていなかった馮道や李卓吾の記述が特に興味深かった。

  • 第一章 「中華帝国」のあけぼの 大唐帝国
    1 唐の太宗 名君はつくられる
    2 安禄山 「逆臣」か「聖人」か

    第二章 カオスの帝国 五代
    3 馮道(ふうどう) 無節操の時代
    4 後周の世宗 最後の仏敵

    第三章 最強の最小帝国 宋
    5 王安石 「拗ね者宰相」
    6 朱子 封建主義を招いた「道学者先生」
    朱子は東洋のアリストテレスのような人だったのかな。
    それは言い過ぎか。朱子が体系化・理論化したのは儒教のついてだけみたいだし。

    第四章 再生した帝国・変貌する帝国 明
    7 永楽帝 甥殺しの簒奪者
    8 万暦帝 亡国の暗君

    第五章 挫折する近代 明
    9 王陽明 「異端」者の風景
    10 李卓吾 「儒教の反逆者」

    第六章 蘇る近代の変革 清末民国
    11 康有為 不易の思想家
    12 梁啓超 「彷徨模索」した知識人

  •  隋末から清末民初まで12人。その人物の前後の時代も解説し、通史にもなっている。単なる悪党列伝ではなく、その人物を通じ時代や中華帝国の変化を見る、又は時代がその人物を生んだ、という視点だ。当然ながら、近著の『明代とは何か』をはじめ著者の他の本と共通する評価も多い。
     煬帝の事績をなぞりつつ否定することで名君イメージを作った唐の太宗、内外の多元化が生んだ安禄山。カオスの時代の馮道、収拾の道筋をつけた柴栄。党争と亡国のきっかけを作った王安石、封建主義を招いた朱子。現物主義や朝貢一元体制を作った永楽帝、建前と社会の実情が乖離する中での万暦帝。庶民の力が増す中での王陽明、更に突き詰めた李卓吾。改革が求められる時代の康有為、更に国民国家まで意識した梁啓超。

  • 思い出しました。
    大英帝国もそうでしたが、筆者は講談調で書いているように思いました。漢字の使い方も、表現も少し捻っているというか、独特です。好き嫌いもあると思います。

  • 2022年11月号

  • 東2法経図・6F開架:282A/O42a//K

  • いわゆるビジネスパーソン向けの雑誌での連載を一冊にまとめたもの。中国史上の12人の悪党の生涯を紹介しているはずだが、あまり悪党という印象がない。企劃意図と内容に違和感あり。

  • どうでもいいけど岡本隆司さんってめっちゃイケメン

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著者プロフィール

1965年、京都市に生まれる。現在、京都府立大学文学部教授。著書、『近代中国と海関』(名古屋大学出版会、1999年、大平正芳記念賞)、『属国と自主のあいだ』(名古屋大学出版会、2004年、サントリー学芸賞)、『中国経済史』(編著、名古屋大学出版会、2013年)、『出使日記の時代』(共著、名古屋大学出版会、2014年)、『宗主権の世界史』(編著、名古屋大学出版会、2014年)、『中国の誕生』(名古屋大学出版会、2017年、アジア・太平洋賞特別賞、樫山純三賞)ほか

「2021年 『交隣と東アジア 近世から近代へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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