教養としての上級語彙2 日本語を豊かにするための270語 (新潮選書)

  • 新潮社 (2024年8月21日発売)
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本 ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784106039140

作品紹介・あらすじ

会話や文章のレベルをアップさせる「武器になる言葉」が満載! 「暗暗裏」「将来する」「櫛比」「揣摩臆測」……メディアで大活躍の評論家が、表現力と思考力を高める言葉を厳選。言語の「幼児化」が敗戦後の国語改革に起因することを明らかにし、「漢字制限」と「ルビ規制」という二重の拘束から日本語を解き放つことを提言する。洗練された言葉使いが身につくスーパー語彙本、第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 通常あまり使わない言葉を集め、例文でその使い方を指南する面白い本だが、ほとんどの語句の意味は分かった.何度も強調していたが、敗戦時の国語改革として常用漢字を作り、ルビを廃止したことは、本当に思慮のない世策だった.障害者に害という文字があるため、障がい者を書くようになったが、もともと障碍者と書いていた.碍は、さまたげる、さしつかえる、さえぎる と言う意味があり、「病や怪我などが、自在に何かをなそうとするのをさまたげている」 という意味になる.障碍者という書き方を復活させるべきだ.ほんとにそう思う.憤ろしい(いきどおろしい)、恣にする(ほしいままにする)など、かなり難しい語句もあったが復習して使えるようになりたい.

  • 第一章 上級語彙の世界への誘いざない、再び。
    異例の反響を呼んだ前著/「初見の用例」という工夫/知れば使わずにはいられない構造/「上級国民」と「百姓読み」/「上級語彙」とは/読書習慣とボキャブラリー/「相続」される文化資本/目下進行中の「語彙の貧困化」に階級差はない/「語彙力」低下の真因/コトバは道具ではなく、存在そのものである/かつてはテレビも時流に媚びていなかった/仏教は「言語道・断」を目指す/ルビ廃止という愚行/言語観、日本語観を欠いた国語改革/安住紳一郎、痛恨事の原因/施策の意図せざる帰結
    第二章 言葉と言葉のあわい 時を刻む上級語彙から考える
    トワイライト・ゾーン/「あなたは誰?」の時刻/「いま」を生きる/売り手と買い手のあわい/コトバの秩序、コトバの裂け目/名状しがたきもの/山崎正和の慧眼/言葉が「心に入る」/使える語彙が増える喜び/輿論と世論とセロン/丹下左膳の片目、片腕/刹那は0・013秒/「瞬時」と「暫時」のあいだ/時の過ぎゆくままに
    第三章 「言葉の平明化」の根源 「国語の戦後体制」を超えて
    日本語は遅れているか?/黄泉の国の人になる/正書法とは何か/大岡昇平の「国語改革」批判/不完全な英字の表音
    第四章 語彙の豊饒を目指して 言葉の「進化」について
    言語の自然的進化/「憚る」の困難/情に棹させば流される/物する、果せる、果せるかな/ヨロンは「輿論」か、「世論」か/終戦直後の混乱にまぎれて/消される「輿論」/ココロザシを貫く/言葉の平明化は存在の平板化である/メタファーとしての「ほこさき」/「交ぜ書き」という「欺まん」/追従ではない追従/野放図が習い性と成り、児戯の類を身過ぎとす/言語=道具説の迷妄/音声中心主義というドグサ/夕凪にたゆたう蜃気楼/日本語は文字が意味を担っている/消長を来す/反=国語改革

  • 前作は随分堪能したものだけど、早くも続編登場。これは読まない手はない。当然、評判も良かったってことでしょう。そこで改めて前作のレビューを見直してみたんだけど、ピックアップした語彙のうち、モノに出来たものの少ないこと。一度読むだけでなく、折に触れ確認しないといけないな、と改めて痛感。で、本作からも当然気になる語彙はてんこ盛りで、後学のため下記に抜き書き。

    分限者(ぶんげん):裕福な者 衒気:ひけらかしたい気分 むきつけ:無遠慮 暗々裏:秘密裏 徴する:照合する 将来する:状況や結果をもたらす 相即不離:切っても切れない関係 矯める:悪習などを改め直す(角を矯めて牛を殺す) 唱道:率先して唱え導く 月旦(げったん):人物評 仔細らしい:意味ありげに 言詮:言葉による説明 敷衍:言説の趣旨を噛み砕き説く 継起:引き続いて事が起こる 具眼/活眼/炯眼:真偽を見分ける眼力 満腔:満身 暮夜:夜になったとき 泥む(なずむ):こだわる 熟字訓:例えば梅雨を「つゆ」 鬼籍:過去帳、点鬼簿 〜に入(い)る=泉下の客と成る 櫛比(しっぴ):櫛の歯のように隙間なく 放恣(ほうし):わがままで怠惰 木鐸:世の人を教導する者 暁闇:暗い夜明け前 片言隻句=一言半句:ほんの短い台詞 夜気(やき) 凝然:じっと動かない 弾指:指を弾くほどの短い時間 虞(おそれ):虞犯少年(罪を犯す虞)の虞 須臾:僅かの時間 倉皇:慌ただしいさま 荏苒(じんぜん):延び延びになるさま 揣摩憶測(しま〜):当て推量 斉一:皆、一様 冗長性:余分や多重性を持たす(というポジティブな意) 狂瀾を既倒に廻らす(きょうらん/きとう/めぐ):崩れかかった状況を元に戻す 矯激:並外れて激烈 閑却:等閑(なおざり=いい加減)にする 御座なり:当座を取り繕う 没却:無にする 蹉跌:つまづく 澎湃(ほうはい):盛んに湧き起こるさま 通弊:通有する/通性としての、弊害 向背:動静 明らめる:はっきりさせる 妙齢:若い女性の年齢 棹さす:動向を助長する 晦渋:難解 〜を突いて:〜ものかは:〜物ともせず 阿諛:へつらう 従容:焦らず悠々 習い性(せい)と成る:習慣が、天性となる 身過ぎ:生業 庶幾:乞い願う 擱筆(かくひつ):筆を擱く(おく)

  • ラジオで2が出たことを知って楽天ブックスで購入

  • 一昨年に出てベストセラーになった「語彙本」の続編だ。
    正編がとてもよかったので、今回は中身も見ずにポチった。

    語彙をもっと豊富にしたいライターは読んだほうがよいと思う。実用書だが、読み物としても面白い。

    下は正編の拙レビュー。
    『2』についての感想も、おおむね同じである。

    https://booklog.jp/users/gethigh316/archives/1/4106038919

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著者プロフィール

1962年、福岡県生まれ。相愛大学客員教授。慶応義塾大学文学部社会学科卒業。専門は仏教思想・政治哲学。サブカルチャーにも詳しい。近著に、『仏教論争―-「縁起」から本質を問う』(ちくま新書)、『ごまかさない仏教―-仏・法・僧から問い直す』(新潮選書、佐々木閑氏との共著)、『知的唯仏論―-マンガから知の最前線まで─ブッダの思想を現代に問う─』(新潮文庫、呉智英氏との共著)、『さみしさサヨナラ会議』(角川文庫、小池龍之介氏との共著)、『宮崎哲弥 仏教教理問答』(サンガ文庫、白川密成・釈撤宗・勝本華蓮・南直哉・林田康順の各氏との共著)、『日本のもと 憲法』(監修、講談社)など多数。

「2020年 『いまこそ「小松左京」を読み直す』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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