大統領たちの五〇年史 フォードからバイデンまで (新潮選書)

  • 新潮社 (2024年9月26日発売)
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本 ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784106039164

作品紹介・あらすじ

半世紀を振り返ると見えてくる、アメリカの未来。ベトナム敗戦に始まり、冷戦終結、九・一一、グローバル化、イラク戦争、貧富の格差、米中対立までの五〇年――カーター、レーガン、ブッシュ父子、クリントン、オバマそしてトランプと、最強の超大国を動かした九人のリーダーたちの功罪と知られざる内幕を一気読み。「次のアメリカ」を見通すための政治外交史の決定版!

感想・レビュー・書評

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  • 過去の著書『アメリカ外交』を更新し、さらにオバマ以降のオバマより前から続く「否定の時期」を加筆した内容となっている。著者の人物やその周辺での出来事の描写はやはり読んでいて知的好奇心が刺激されるし、それがオバマ、トランプ、バイデンにも切れ味鋭い。
    個人的に印象深かったのは、かつてよりもカーターの人権外交への評価が高いような印象を持ったことと、ブッシュJr.への高い評価、またトランプへの頗る低い評価である。

  • 1974年に就任したフォード大統領から、2024年に再選される第二次トランプ政権まで、約50年間にわたるアメリカ大統領たちの系譜を、簡潔にまとめています。

    各大統領の出自や、選出に至るまでの経歴、そして国内外の政治・外交での立ち位置、政権中枢の顔ぶれについてまとめられており、一気に読了できます。

    人柄については客観的な描写にとどめられておりますが、ブッシュ・ジュニアが退任後に負傷した兵士たちの油絵を描いているエピソードや、トランプをして”史上初の白人大統領”(黒人作家のタナハシ・コーツ)と言わしめている背景など、初めて知った事実に驚くと同時に、俯瞰的にアメリカ政治の大きな流れを把握することができ、とても参考になりました。

    2050年には4億人を超える人口をもつといわれるアメリカの政治、経済、文化面での影響力が、勃興する中国やインドとの関係の中でどう変遷していくのか、今後もアメリカに関する書籍を手にとってみたくなる思いがしました。

  • 用語解説などなく難解
    かなり専門的な知識ない人にとってはきつい

  • ストーリーで米国大統領のしてきたことがわかる、意外とない本。トランプ大統領が再戦してなんでと思った人や、小さな頃の米国とのやりとりを改めてみてみたい人にオススメ。

  • トランプ政権をもう少し長い時間軸の中で考えたくて、読んでみた。

    わかりやすくて包括的なレーガンの評伝を書いた著者の本ということで、レーガンの項目はコンパクトにその評伝をサマライズしたという感じ。そして、同じようなトーンで他の大統領もその人にフォーカスしてサマライズしてある。

    人物にフォーカスがされているため、ある意味、時代の大きな流れが見えにくくなっているところもある気がして、50年を大統領を通じて振り返るというよりは、どういう人がこの50年間大統領になって、どんなことをしたか、ということは間接的に浮かび上がってくるという感触かな?

    リアルタイムでは文句をいろいろ言っていたわけだが、こうしてみるとレーガンとブッシュの時代がアメリカのある意味ピークだったんだな、と思う。(この50年より前をみると、もっと良い時期もあったんだろうけど。70年代以降は、ベトナム戦争の傷やクォーターゲートの権力へ不信からもう一度立ちあがろうとする時代なので)

    カーターとか、当時、日本から見ると割と共感できるし、大統領退任後の働きは偉大なものがあるわけだが、アメリカではああいう人はやっぱウケないんだな。つまり、自分の力の限界をわきまえて地味にコツコツやっていこうという調子では元気が出ない。偉大なアメリカ!というトーンが必要なんだな。

    そういう意味で、ネオコンは、冷戦後に民主主義を世界に広めようとして、失敗してしまったわけだが、ある意味、彼らも偉大なアメリカの拡大という視点だったんだな。

    トランプは、アメリカを偉大にすると言いつつも、政策的には内向き、ある意味アメリカの歴史的な基本スタンスと言える孤立主義的だ。そこに彼の新しさがあるのだな。

    そういうトランプが、宗教原理主義的な票集めもあってか、イスラエル・パレスチナに関するコミットの仕方は極めて危険な言動が目立つ。

    国際政治というのは不思議なもので、平和を求める人が戦争を始めたり、拡大したりすることになったりする。トランプも本人の意図に反して、パレスチナの泥沼に嵌りこんでしまうことになるのではないかと思ってしまった。

  • 村田先生は、まあ、トランプ大嫌いなのわかってる。とってもわかる。
    それはそうとしてその、政治家でも何でもないトランプが当選、しかも再選されたことも事実。
    そこを分析する本ではないが。

    50年、9人の米大統領。日本も、世界も相当翻弄されたが。

    4年を単位で、揺り返すことのできる仕組みは、危うくもあり、だからこそ、安全弁になってる面もあるのだな。
    大体、大きな期待と共に就任するのは、その前の歪みが大きくなって、国民にストレスが溜まってるから。
    実際政を担ってみれば、そりゃあ、うまくいかないことは多々あるし、多面的に問題が起きて、だけど、社会と情勢は変わっても、なかなか政治方針を変えることも出来ない。どっち転んでも、裏切りとか変節とか、無能とか言われる。

    じゃあ、すげ変える。

    そういうのが、大統領選挙かあ、と思った。

    若い頃から結構、問題意識持って大統領を目指す人もいれば、偶然的な人もいれば、大統領になることだけが目的っぽい人もいる。

    世代と社会の問題か、人材の枯渇が目立って来た感じか。

  •  フォードからバイデンまで、9人の大統領の時代を、外交特にアジア外交にやや重きを置きながらたどる。
     大統領中心の政治史だが、実際にはどこまで大統領の個性により政治が左右されるのか不明だ。しかしやはり大統領制であり、その個人の影響は議員内閣制よりは大きいのか。
     なお著者は、米国内の貧富の差の階層化や社会の分断、大統領の威信低下は認めつつも、その衰退論には見る者の願望や程度問題もあると、一定の留保をつけている。

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著者プロフィール

同志社大学教授

「2023年 『国際政治学をつかむ〔第3版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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