謎とき百人一首 和歌から見える日本文化のふしぎ (新潮選書)

  • 新潮社 (2024年10月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784106039188

作品紹介・あらすじ

人気翻訳者が読み解く、ミステリアスで豊饒な和歌の世界! 日本人はなぜ「儚さ」に美の本質を見出したのか。なぜ「主語」を明記せずに歌を詠んだのか。なぜ「本歌取り」で新しさを表現しようとしたのか。なぜ「擬音語」や「言葉遊び」を多用したのか。『百人一首』全訳で日米の翻訳賞を受賞した英文学者が、百首の謎を一つ一つ解き明かす。日本文化に出会い直せる「最良の入門書」。

感想・レビュー・書評

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  • 百人一首との出会いは、小学生のとき。母がたくさん暗記している歌があることに触発され、覚えはじめました。和歌のリズムと、カルタの絵が好きでした。

    本書は、一首ごとに疑問提示され、英訳が付されています。歌人のエピソードあり、百人一首と関連する浮世絵、教科書の記述、ジェンダー問題にまで及び、知識が広がりました。

    筆者は、アイルランドと日本文化に近しさを感じられており、他国の方の日本愛をとても嬉しく思いました。

    さらに、日本文化を学んでいきたいです。

    • zeronana85さん
      いつも私の感想を読んでいただき、ありがとうございます。私は一文が長くなってしまうので、短歌、俳句、川柳が詠めたらいいなぁと思っています。
      日...
      いつも私の感想を読んでいただき、ありがとうございます。私は一文が長くなってしまうので、短歌、俳句、川柳が詠めたらいいなぁと思っています。
      日本語の美しさの一つ、行間の思いを掬い上げたいと思います
      2025/03/15
    • くにちゃんさん
      文は人なりという言葉がありますが、昨晩は、よい感想をたくさん読ませていただきました。こちらこそ、ありがとうございました。

      「行間の思いを掬...
      文は人なりという言葉がありますが、昨晩は、よい感想をたくさん読ませていただきました。こちらこそ、ありがとうございました。

      「行間の思いを掬い上げる」素敵な表現ですね!行間、余白….大切にしたいです。
      2025/03/15
    • zeronana85さん
      くにちゃんさんの感動を共有させていただき、わたしのほうこそ、ありがとうございました。
      くにちゃんさんの感動を共有させていただき、わたしのほうこそ、ありがとうございました。
      2025/03/15
  •  年末年始にかけて『百人一首』関連の本は、なるべく手にとるようにしている。
     今年は、アイルランド出身の研究者による一冊。日本語の古典の英訳に取り組んでおられる方だそうだ。
     本書の、各句の英訳と、丁寧な解説が百首あますことなく綴られていて読み応えある。

     過去の、百人一首成立の謎や、秘められた暗号といった外野的なお話、句それぞれの作者、解釈、用法にまつわる書物などとは一線を画した内容で実に面白い。

     英訳することで見えてくることの最大の関心ごとは「主語はだれか?」であろうか。
     序盤、5番目の歌、猿丸太夫の「奥山に~」で、いきなりその課題に言及する。

    「和歌に限らず日本語では、動作をしているのが誰なのか、はっきりしないことが多い。(中略)
    こういった特徴は、言語や文法だけの話にとどまらず、文化そのものも映し出していると思う。特に、「人間」は「人」の「間」と書くのだと気づいた時は、神秘的な感動を味わった。人間を関係性で定義する文化と、個人として捉えていく文化とでは、人間の捉え方が異なる。」

     表現の問題だけではなく、比較文化の話にもなっていくのが著者の特徴か。
     アイルランドで哲学の修士号を得たあと、米国で英文学の博士号を取得し、今は京都に暮らし、日本と世界をつなぐ架け橋として精力的に活動しているとか。古今東西の文化や風習を比較しながらの解説が面白いのだ。

     阿倍仲麻呂の「天の原ふりさけ見れば~」の月も、日本ではなく遣唐使として派遣された先、中国大陸で詠んだものというのは有名。和漢比較文学の研究者である大谷雅夫氏の指摘を引いて、

    「和歌は月を見て「今も昔も同じ月」と昔のことを思い出す傾向にあるのに対し、漢詩は「いま出ている同じ月を、遠方の友人も見ているだろう」と遠く離れた友人のことを思う、という。だからこの歌を、日本の注釈は、「かつて日本にいた時に見た月と同じなのだな」と解釈するが、中国の解釈は、「いま日本でも同じ月が出ているだろう」と訳すのだそうだ。
    西洋人の感覚は、どちらかというと中国的な感覚に近い。」

     と、同じ月を見ても思いが違うという話を展開する。
     自身の故郷のアイルランドの感覚から「夜が短いというより、昼が長いという感覚」と記す。モスクワで暮らした身としてもそれは非常によく分かる。「明るく開放的な昼が長く続くことを嬉しく感じていた」と、昼に注目しがちだが、「夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを~」の清原深養父の夜の短さに着目するところが新鮮だと驚く。
     そんな記述、こちらも新鮮だ。

     あとは、同音異義語の多い日本語の掛詞や、意味をも含んだ「枕詞」や「歌枕」をいかに訳出して意を伝えるかの、英訳の苦労が語られるのも実に興味深い。これは、かつてロバート・キャンベルの『井上陽水英訳詞集』を読んだ時と同じ感慨にふけることができる。曰く、「他文化を触媒として、自らの文化や価値観に新たな解釈が加わる快感を味わえる。」というやつだ。
    https://booklog.jp/users/yaj1102/archives/1/4065131316

     日本の歌文化への造詣も深く、「歌垣」、「歌合」、「見立て」などの解説、三十六歌仙以降「三十六」にまつわる日本文化への影響、「あわれ」と「をかし」の対比など、百人一首の歌をきっかけに縦横無尽に語りつくす。

     アイルランドの偉大な詩人であるイェイツの詩の話も出てくるのも興味深い。
     先日読んだ『小説』(野崎まど著)でも出て来た。これは、イェイツへのお誘いに他らならないかな。

  • 【請求記号:911.1 マ】

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