本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784106039225
作品紹介・あらすじ
倭寇が中国の歴史を動かしてきた――驚きの「倭寇史観」! 日本史学は「倭寇は日本人主体ではない」と立証した。それでは、彼らは何者だったのか。グローバルな視座から東アジアの長期的な構造をとらえなおし、倭寇が収束したとされる17世紀以降も次々と「海賊」が現れ、今なお「中華」の秩序を揺さぶり続けている状況を解き明かす。世界史の見方が大きく変わる、岡本史学の決定版!
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
歴史の中で倭寇が果たした役割を新たな視点から探求する本作は、倭寇を単なる海賊としてではなく、東アジアの複雑な交流と経済活動の一部として捉え直します。著者は「華夷同体」という概念を用いて、倭寇の背景にあ...
感想・レビュー・書評
-
倭寇といっても、所謂前後期倭寇については前半で終わり。海域アジアが独自の統制で動いていたことを倭寇的とする。
それ以降は、いわゆる中華政府の影響から離れたところで、海外との交流や経済活動を行う「華夷同体」と言う語をキーに中国史における夷界との関わりを語る。
倭寇を知りたいという狙いとは異なるかも知れない。中国史の一視点。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シナの海岸を荒らし回ったという、日本海賊、倭寇。
とはいえ、特に後半は日本人ではなく、シナ人も含む外国人も多かったのが実態だという。
それまで海から攻められたことのないシナにとって、東から海を渡ってくる東夷は、倭に相違なかった。
それが、他の民族であったとしても、シナには関係ない。
寇というが、要するに海の民の交易が平素で、それがまあ、乱暴ごとになったことも含むと。
14世紀の倭寇は治安の悪化による物だが、16世紀のそれは、日本は鎖国状態であったこともあるし、シナの政治形態と周辺の産業、生活乖離があって、中央の政治に従わない海の民が「倭寇」となった。
著者は、「華夷同体」という言葉を使う。
中央の矛盾に背を向けた「華人」が、「夷人」と協力し、またその力を借りてブイブイ言わす。それが倭寇の本質であると。
そんなとこか。
その観点から、アヘン戦争もそれ以降の紛争も、今の習近平に至るまで、中央と「倭寇」のせめぎ合いであると喝破する。倭寇とは中国そのものであり、そういう視点から中国を睥睨すれば理解できる。
いやその、多分、東洋史学の方はそう思うのかもしれませんが、世間一般は「倭寇」なんて言葉を使わないでずーっとシナの矛盾をそう捉えて来てる気がする。
生産と政治の矛盾を、政治が統制しようとする。
笑うね。
その矛盾から共産主義社会になると謳っていたと思うんだが、共産主義が、生産の矛盾を潰すんだって。
本筋ではないが、共産主義がいかに机上の空論かって笑ける。
しかし、本の内容は特に問題ないと思うが、タイトルを見てそう、こういう本が読みたかってっていう人、どのくらいいるんだろうか。 -
倭寇の「華夷同体」構造に注目し、その視点で現代中国まで見る。中華としての体制や建前と離れた所で、儲けなど実利のために華と夷が一体となる構造を指す。著者は倭寇の概念を広げ、これを「倭寇」的行動様式とも呼ぶ。
明朝時代の本来の「倭寇」自身はもちろんそうだ。その収束後も、清朝時代の「互市」、アヘン貿易、「洋務」、「変法」。孫文の三民主義と「革命」。国共合作。満洲国。「改革開放」と「一国二制度」。これら全てを「華夷同体」で読み解いていく。
興味を惹かれた点いくつか。アヘン貿易でも戦争でも清朝の建前とは別に加担した華人は存在。「洋務」は、「華夷同体」を理解した李鴻章だから可能だった。孫文の思想は中華王朝的な独裁と西洋近代的な民主から成り、これもやはり「華夷同体」の発露。香港は、北京から見れば「華夷同体」の中で海外に傾倒した「倭寇」。
やや著者の牽強付会かと思わなくもないが、上からの規制やプライドと下の現実の乖離はよく理解できる。 -
倭寇の本質として「華夷同体」という構造を見出し、「倭寇」的なものは、狭義の倭寇収束後も中国史の中でたびたび立ち現れているということを論じている。
近世・近代中国史を「倭寇」という観点で読み直すような試みで、知的面白さがあった。
著者の文章を悪文と指摘する向きもあるようだが、個人的には、昭和以前の歴史家のような、漢文の教養を感じさせる味のある文体だと思う。 -
日本史の教科書で習った倭寇は知識としては一面的に過ぎません。この本が上梓されたのでもっと知る必要があると考えて読んでみましたが、生半可な歴史の知識では理解が覚束ない内容でした。そのため、今回は筆者にも失礼と考えてレビューの星印はつけませんでした。とはいえ中世の「倭寇的状況」(本文に説明あります)から現在に至るまで、中華に於いて「華夷同体」という事象がくびきのように離れず、香港の一国二制度も矛盾を孕みつつ最近まで続いていたのだとわかりました。台湾に対する態度も然り、彼の国の統治者にとって最早その矛盾は、許すわけにはいかないということなのでしょう。
著者プロフィール
岡本隆司の作品
本棚登録 :
感想 :
