妻に捧げた1778話 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2494
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106100697

感想・レビュー・書評

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  • 妻に捧げた1778話
    著:眉村 卓

    余命1年を宣告された妻に対して一日一作品、妻のために作品を綴る。そして妻に向けたその作品はプロである著者が商業的な読み物として世に出せるものという水準が求められている。

    妻に向けながらもその先にある読者を考慮する作品。
    全1778話の中から厳選された作品が本書にて編纂されている。

    著書の作品を紡ぎあげる目的は何だったのだろう。余命一年を宣告された妻に対しての想いを綴るそれは、手紙でもなく、そしてその作品によって完治を図るものでもないように思う。ただ目の前の人に喜んでもらう。その妻の喜びは裏・将来の読者を意識した喜びが叶えてはじめて妻も喜ぶ。

    難しく深い作品が本書にはつめこまれている。
    どんな心境で読み進めるべきか迷う時も多いものの、何か期待を込めて読んでいる自分がいた。

    一日一作品を紡ぐ大変さはあったとは思うが、妻と著者との関係はこの作品によって永遠なものとなっている。話すとはまた違った残り方に心が動いた。

  • がっかりした。つまらなくて。

  •  前評判から、感動してボロボロ泣きながら読むような話かと思っていたが、違った。

     当時の感情を露わにして涙を誘うでもなく、エッセイ部分でも穏やかに当時のことを思い出して綴られているように感じた。それだけに、毎日一話ずつ書いているお話の最期の数日の作品が、著者自身で設けた制約も捨て、どうしようもなく滲み出した日記のようで、胸に迫ってくるものがある。
     看病疲れから妻の病室でうつらうつらしていた時に確かに妻の声が聞こえた、という1777話を、もう眠り続けて聞ける状態ではない妻に対して、「何日か前から、書いたものを読んで聞いてもらうのはやめていたけれども、これは枕元で真面目に朗読したのである。」p.183 とされている。元気になってほしい、目を覚ましてほしい、もう一度持ち直してほしい、と強く思ってはいらしただろうが、現実に最期が近付いていることを実感している中で、せめて幻聴でもいいからもう一度だけ声が聞きたいと願われたのだろうと思うと、涙が滲んだ。
     
     一番印象的だったのは、次の一文。
     「私の協力者であることに、妻は自負心と誇りを持っていたのだ。」p.74

  • 全話が掲載されてるのかと思ったが、エッセイっぽかった。
    全話読んでみたい。

  • 優しい。奥様に対する強い思いを感じた。

  • 導入がとてもすばらしいので最後までよんでしまった

  • 最後の話に感動した。
    夫婦2人がお互い自分の辛さを見せずにお互いを想い合っているのがわかった。

  • ‪【 #読書感想文 】‬

    ‪妻に捧げた1778話‬

    ‪2019年の目標に本を1冊以上読むを掲げて、最初に読んだ本。カズレーザーさんがお薦めしてたことと、読書初心者の私にはショートショートの方が読み易いかという理由で選んだ。‬
    ‪癌の妻に毎日1話短編小説を、亡くなるまで書き続け、その何話かと注釈付の1冊。

    ‪ショートショートについては、1778話中のごく一部なので、他の物も是非読んでみたいなと思うほど面白かった。SFは苦手だけれど、世にも奇妙な物語はついつい見てしまうって人にお薦めしたい。‬
    ‪いくつかの制約を決めて書いておられるけれど、最後は筆者の気持ちが抑えきれない所に人間だものを感じた。‬

  • 「たまには人の薦めに従って読んでみる」で読んでみた。自身にとっての反省は、その読書期間は細切れではなく一気に読み切るべきであったということ。せっかくより抜きと注釈とで簡潔にまとめてもらっていたがゆえに。

    所帯持ちではない自分にとっては即座に感情移入できるような内容ではなかったものの、大切な人を失う時期がわりとわかりやすい形ですぐそこにあるということがみえるとき、人はどういう行動を取るべきか、その一例を見せてもらえたという意味で価値は大きい。

    また近い内に(願わくは一気に読了できる環境で)その表紙を開いてみて、その先にあるもの、大切な人と過ごせる時間がいつまで続くかわからない日常の生活の中で、人はどう行動してゆくべきなのか…といったようなことにも思いを巡らせ、実際になにかを実行に移せるきっかけとしたい…、そんな風に思わせられた次第。

  •  Kindle版を購入。その日のうちにさくっと読んだ。でも、著者の気持ちを考えると、あまり気楽にも読めない。自分が同じ状況になったら、僕は何をするだろうか。何もできないだろうか....。そんなことを思わざるを得ない。一番いいのは、僕が著者のような経験をしなくてもすむように僕が先にいくことかな(^^;;
     それにしても、老眼が気になるようになってから本を読むのが辛くなってたんだけど、kindleにしてから読書量が増えた。珍しいうちだけかもしれないが...。

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著者プロフィール

1934 - 2019。SF作家。1979年に『消滅の光輪』で泉鏡花文学賞および星雲賞を受賞。また1987年に『夕焼けの回転木馬』で日本文芸大賞を受賞。代表作にジュブナイルSFの名作といわれる『なぞの転校生』『ねらわれた学園』などがある。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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