妻に捧げた1778話 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
3.18
  • (39)
  • (142)
  • (268)
  • (81)
  • (20)
本棚登録 : 2493
感想 : 235
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106100697

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 妻のために毎日一遍ずつお話を書き続けた。本書に収録されたのはそのごく一部。
    印象的だったのは妻の言葉。

     入院が一か月以上になり、もはや形成挽回が不可能であるのが明白になった頃のこと。
     …
    「わたし、してもらいたいことがある」
     …
    「お葬式の名前は、作家眉村卓夫人、村上悦子にして欲しい」
     来られる人がわからないと困るからと理由をつけたが、妻の本心は、共に人生を過ごし、ずっと協力者であったことを証明したいーということだったに違いない。私にはそれが痛いほどよくわかった。
     …
     通夜と告別式の案内のために道筋に立てられた表示板には、そうしるされ、遺体と共に車で会場に向かう私と娘は、ああ出ているね、と言い合ったのだ。告別式で私は、この経緯を参列の方々に申し上げ、了解を乞うたのである。そのとき私の脳裏には、前年の三月に二人で松尾寺に詣ったさい、祈願の札に、病気平癒と書けと私が二度も言ったのに、妻は聞かず、文運長久とだけしるしたことが、よぎっていた。私の協力者であることに、妻は自負心と誇りを持っていたのだ。

     こういう方と一緒になりたいものですね。

  • ガズレーサーさんオススメ、
    泣きはしなかったけど、、一組の夫婦のあり方ですか、、

  • 良し悪し云々いう作品じゃないよね。

  • 2004年5月新潮新書刊。1778話中の19編とエッセイを収録。「つれあいが亡くなった時に新しいことを始めてはいけない。必ずおかしくなる。」というアドバイスの話が出てきて、納得してしまいました。眉村さん自身は、亡くなる前からおかしかったのかもと言われていて、これも響きました。

  • アメトーーク!でみて、ずっと読もうと思っていた本。やっと読了。最終回の最後の一文「また一緒に暮らしましょう。」は涙腺崩壊不可避。そして、奥さんが自分の葬儀は「眉村卓の妻」としてやってほしいって言っていたのが、すごく印象的だったし、素敵だなって思いました。夫婦で色々な事があると思うけど、支え合ってたんだなって。そんな奥さんを亡くしてしまった眉村さんの気持ちを思うと胸が痛みます。

  • 図書館で借りた本。余命1年と宣告された妻のためだけに書いたショートストーリーを抜粋した内容で、SFやエッセイもある。看病日記では無いが、妻の容体と出来事を年表にして夫婦で生きた年表も最後にまとめている。ショートストーリーは活字出版目的で書いていなかったので、極普通の話が多かったかな。

  • これもまた一つの二人の生きた証。

  • 沁みましたぁ‼︎
    伝わる、愛…情…で、いいのかな。
    結局、支えあっている。よ、ね。

    章のまとめ方がよくって。
    特にラストの章。
    想い出の中に少しだけ。

    224古い硬貨 1116蝉になる 1680聞いて忘れて下さい

  • 小説家の夫と、その夫と共に歩んだ妻との営みがあった。街に出かけたり、娘と遊園地に行ったり、俳句を批評しあったり。その一環として夫の書いた小説を読み感想を言うという営みがあった。病気で臥せる配偶者からの一方的なコミュニケーションになりがちであるが、眉村夫妻はそういう時に至っても夫からの働きかけがあったという証である。丁度近親者の葬儀があった時に読んだのだが、自分の死、または配偶者を送る、その時をどう迎えるのか、自分だったらどうするだろうか、どんなコミュニケーションを取ろうかと考え始めるキッカケになった本。

  • 読了。

    以前アメトーークでカズレーザーがオススメしていたので読んでみた。
    二時間もかからずサクッと読めた。

    なぜだかあまり悲壮感は漂っていないように感じたけれど、途中で作句した作品を見ると、とても辛かったろうと思った。

    それにしても一日一話なんて!それを1778日続けるなんて!
    なんでも続けるってのはすごいことだね。

    表紙の折り返しに最後の行に綴ったことの一部を書いてあったので興ざめだよ。まさかと思ったら本当にそのままだった。やめて欲しい。
    (180822)

全235件中 101 - 110件を表示

著者プロフィール

1934 - 2019。SF作家。1979年に『消滅の光輪』で泉鏡花文学賞および星雲賞を受賞。また1987年に『夕焼けの回転木馬』で日本文芸大賞を受賞。代表作にジュブナイルSFの名作といわれる『なぞの転校生』『ねらわれた学園』などがある。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

眉村卓の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×