妻に捧げた1778話 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1470
レビュー : 179
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106100697

感想・レビュー・書評

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  • 僕が青春時代、既にオールドタイプのSF作家という認識でいました。何冊か読んだ事はあると思うのですがあまり覚えておりません。(不定期エスパーシリーズを読んだ記憶があります)
    本作はカズレーザーさんがアメトークの読書芸人で紹介した事で一気に広がったと思うのですが、(僕も見ていました)メチャクチャ感動する泣ける、という方向の紹介だった為泣かせて欲しい症候群の人々が群がったのがとっても残念でした。
    淡々とした筆致で奥様との日々を語り、短編を淡々とつづる。
    長い時間を共有した夫婦だからこそ醸し出せる奥深い空気感。
    誰にでも訪れる別れに、わが身を置いてこそ感じるしんとした切なさ寂しさ。
    最後の一文に込められた感情に背筋が伸びます。自分もこんな風に配偶者に向き合いたいと強く想いました。

    「感動するって聞いたのに泣けませんでした」というようなレビューを書いている人が沢山いるのにびっくり。どれだけ慟哭したいんだよとガックリ来ました。

  • 最後、泣きました。
    眉村さんがどれだけ奥さんのことを想っていらしたか、そしてお二人がどれだけ望ましい関係であられたかがよくわかりました。

    一日一話の物語をすべて読んでみたいです。
    単純に眉村さんの書く話がおもしろいと感じました。
    この本に収録されているものの中では、「ある書評」「書斎」「秒読み」などが読んでいてとてもワクワクしました。
    読んでいる途中はSF作家なんだ!ぐらいに思っていましたが、読み終わったあとに気がつきました。
    眉村卓さんは「ねらわれた学園」の原作者なんですね。
    現代版のアニメ映画しか観たことありませんが、設定がおもしろい作品だなと感じたのでいつか原作もチェックしてみたいと思っていました。
    いいきっかけになりそうです!

  • 構えて読んだのだけど、あっという間に読み切ってしまった。

    妻に「捧げた」とあるけれど、あとがきで想定した読者は妻であって、でもそれだけではない、誰が読んでも通じるものを、とある。
    この言い方が、とてもよく分かる。

    妻の病状が進むに従って、それを全く抜きにしては語れないであろう、無意識下の想像が浮かび上がってきたり。
    また、作者自身の想いが、物語を通して逆に気付かされるようなことだってあったはずだ。
    二人にしか味わえない何かが、きっとある。

    そして、二人の迎えた結末を知っている「私」が、リアルタイムで書かれたショート・ショート達を更に外側から読んでゆく。
    不思議な読書体験だった。

    1778話を連ねてゆく中で、その表側にはどんな1778日が在ったのか。
    作者が取り上げた幾つかのお話に添えられたあとがきから、ほんの少し垣間見える生活。
    長くなるほど、止めることで何か起きるんじゃないか、と思うこと。
    二人が看病する者と看病される者を離れ、共同作業として編んだ作品たちを、素敵に読ませていただいた。

    私としては、一万円が降ってくる話がお気に入り。
    結局一万円は消えてなくなった、という教訓めいた終わりにするのではなく、最後は消えてなくならなかった、という終わらせ方が意外だった。

    文庫版では更に多くの話が入っているよう。
    1776日目が飛んでいたことも気になるけれど、全話完全版を、是非とも美しい装丁の本で読んでみたいなぁと思う。

  • 作家眉村卓さんが病に伏した奥様の為に1日1作品の短い話を作り聞いて貰うことと決めて5年間の闘病に寄り添った1778作品の抜粋と眉村さんの所感です。夫婦が互いに信じ合い共に生きる為には二人の生きる根っこ目指す方向が同じでありさえすれば良い という箇所に共感しました。私達もそのようにありたいものです 笑。

  • 先に『僕と妻の1778話』(以下「僕と妻の」)を読み
    話題の本書を手にする。「僕と妻の」と比べると、
    お二人の日々(過去、現在)と創作時の心情が
    より深く語られており、
    短編を読むためなら「僕と妻の」(感想にも書いたが、
    解説とあとがきを含めて、一つの物語だと思う)、
    本書は、作家眉村卓とそれを陰で支えた(?)
    奥様の最後の日々、作家・家族のこころの動きが
    より深く語られ、あるひとつの夫婦の姿、
    闘病を支える、ともに戦う家族の姿、
    それを背景に創作された短編が紹介される回顧録
    エッセーと読んだ。

    「僕と妻の」では作家である夫、その第一の読者である妻という、これまでの形を残された時間の中で
    できる限り続けていくことを、お二人が望み
    生まれた1778話という印象だったが、
    本書を読むと、作家である夫という姿を
    奥様が望み1778話が生まれたという印象が強い。

    葬儀への要望、祈願のお札のエピソードは
    不意打ちに近くガツンとやられた。
    同志として生き、相手を思い、一緒に暮らしたい
    と思う存在。そう思ってもらえるよういたく、
    そう思いたい。

  • 本屋で読書芸人を拝聴して読了。

    最終回が読みたくて手に取ったのだが
    あっというまに(ものの2時間くらいで)読めてしまう。
    癌を患った妻に一日一話、物語を書く。
    エッセイにはしない。
    必ずお話にする。
    原稿用紙3枚以上。
    病人の神経を逆なでしない。
    病気や人の死、深刻な問題、大所高所からのお説教、専門用語の乱発、ラブロマンス、官能小説、不倫は避ける。
    夢物語でもいいが、どこかで必ず日常につなげる。
    などなど、細かな規定を自ら設け、毎日書く。
    病床の妻が手にとって読むことが出来なくなってきてからはご本人が読み聞かせをしたらしい。

    奥様が死後、お葬式の際に表記する名前をお願いしたこと、読み続けたお話に対して、これでは他の人にわからないと感じたら文句をつけたこと、「慰め」ではなく「仕事」として物語を評価していたことが、ほんとうに著者を作家として尊敬し、認め、支えていたのだなあとわかった。

    そして最終回。
    亡くなられた直後に書かれた妻への物語は、ただただ、読んでくださいと言いたい。

  •  小説家がガンになった妻の為に1日1話ショートショートを書いた経験を振り返る。

     載っているショートショートは1778話のごく一部で(別の本に掲載)、その過程の妻とのやり取りなどが書かれている。ショートショートをその時の状況などを振り返りながら簡単に解説していて面白い。
     1000編を超えるショートショートもさることながら、妻の為に毎日書き続けたこと自体が一番の素晴らしいストーリーであると実感できるつくり。

  • 癌に侵された妻のために、1日一話ショートショートを書くことに決めた筆者。その日々は5年にも及ぶ。

    妻のためを思って書いた短編集でもあり、それが全てでもないという筆者の言わんとしているところは何となくわかる気がする。


    筆者の本意ではないかもしれないが、個人的にはショートショートそのものよりも筆者がショートショートを書き進める中で、妻の病状も含め、どのようなことを考えていたのかいわばエッセイのような部分に興味が惹かれた。

    そして、ラストの短編集で、
    ありがとうございました。
    また一緒に暮らしましょう。
    という言葉に心打たれた。

  • 読んでいて胸が苦しかった。
    がん患者の家族の気持ちが率直に書かれてる。
    いい夫婦。

  • 番組を観ていたので、
    とにかく最後のページが見たくて見たくて、
    それを我慢しながら読むのがつらかった。
    がっつり短編集かと思いきや、
    そうではなく、
    夫婦の在り方が淡々と書いてある。

    うちの両親もお互いに癌が発覚し、
    見舞いに行っている間は
    いろいろなことを思っていたのだろうな。
    今、二人とも健在で
    一緒に出かけて行く姿はまさに奇跡だな。

    泣いたかと言われれば、泣かなかった。
    だからといって、感動しなかったわけではない。

著者プロフィール

眉村卓(まゆむら たく)
1934年、大阪市西成区生まれ。大阪大学経済学部卒。耐火煉瓦会社勤務の傍ら、SF同人誌「宇宙塵」に参加。61年、「SFマガジン」第1回SFコンテストに投じた「下級アイデアマン」が佳作入選し、デビュー。63年、処女長編「燃える傾斜」刊行。その後コピーライターを経て、65年より専業作家に。企業社会と個人の関係をテーマにしたいわゆるインサイダー文学論を唱え、ショートショートやジュニアSFでも健筆をふるい、絶大な人気を博す。71年、未来の管理社会を描いたインサイダーSF「司政官」シリーズを開始。79年、その長編第一作『消滅の光輪』で第7回泉鏡花文学賞を受賞。癌を患った妻に日々、自作のショート・ショートを捧げた。妻が逝去したのち『妻に捧げた1778話』として発刊、大きな反響を呼んで2011年1月に映画化、代表作の一つに数えられる。

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